ソロは、ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を営んだ。湖水と森の四季の移り変り、動植物の生態、読書と思索等々が、「詩人博物学者」の清純な感覚で綴られる。湖とその周辺の写真多数を収める新訳。(Amazon)
たまに読むのが,いい本ってのがある。
一日で読んでも,良さがよく分からないという類の本が。
ソローの「森の生活」ってのも,そういう本だと思う。
たまに本棚から取り出して読んでみると,
自給自足の生活の中で,森という自然の中で生きる
彼の深い洞察というのが分かる。
固い表現が多いのは多いが,その中での自然の描写などは,
その光景をまざまざと想像できるような文体である。
その事からも,彼の真摯な姿勢が伝わってくる。
こういう真面目さが,読みにくい理由でもあるんだけどね。
ソローは,本書の「森の生活」が有名だが,
エッセイなんかも翻訳されれば読んでみたい。
子供の頃,趣味がアウトドアというのはよく分からないものだった,
なぜわざわざ不便な場所に行くのか,もっと面白いものがあるだろうと,
近くにキャンプ場がある身としてはそんなことを思っていた。
こちとらそのキャンプ場の近くでずっと過ごしてるんですが,なにか。
高知市という曲がりなりにも県庁所在地に住むようになって,
キャンプに行ったりする意味のようなものがなんとなく分かるようになった。
人の多い都市で生活をすると,地に足がついていないような感覚におそわれる。
周囲の時間に流され,ただ目的なくとにかく生きているのではないか。
そんな時ゆっくり自分の時間を迎えるため,しばしば都市の喧騒を離れたくなる。
私の実家は,周りに畑や田んぼや海があり,季節によってサイクルがあった。
季節ごとに実る野菜や現れる魚,レンゲが咲き誇る田んぼなど,そういう自然があった。
学校帰りに,そんな背景の道を数キロ歩いて帰った。
こういうのは年をとると,あの時の良さというものが分かってくる,
「森の生活」にも似たような良さがある。
はじめて読んだ時には,こんなものかという印象だった。
しかし,すこしたって読み返してみると,その自然の描写が実は良かったということが。
先日となりの市に用事で行った折,砂利道を通った。
それがすごく懐かしかった。
子供の時ミカン取りを手伝っていた。
ミカンの収穫をした時,キャリを後ろに積み,帰る道は舗装されたない道だ。
今でもあの道は,舗装はされてないと思う。
あるのは田んぼと畑なんかで,民家はほとんどなかったはずだ。
その道は,タイヤと設置する部分は凹んでおり,
その2つ凹んだ場所の間はタイヤに踏まれていないため中心の道は草が生えたままだ。
ミカン取りに疲れて,あのガタガタ道でも眠ってしまったものだ。
子供の頃は,そういう光景が日常だった,いつしかそういうのは自然に忘れていってしまった。
アスファルトで覆われた道路は快適だが,その中で生活をしていると,
時折自然のあふれる場所に帰りたくなることがある。
この感覚をもっている私たちにとって,
ソローの「森の生活」の同じような自然観をもっているのだと思う。
「森の生活」は,自然と相対し,その中で自分を見つめなおす大切さを教えてくれる一冊だ。
☆☆☆☆
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- 2013/01/16(水) 02:39:57|
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訪問ありがとうございます☆わたしも自給自足が夢です~。
- 2013/01/16(水) 20:17:07 |
- URL |
- りま #-
- [ 編集 ]
はじめまして
よく見に来させていただいています。
ソロー、懐かしいです。大学時代に環境のことを勉強してたので読みました。
読み直してみようかという気分になりました。
いつも見させていただいているので、リンクさせていただければうれしいです。
大丈夫でしょうか。
- 2013/01/16(水) 21:45:17 |
- URL |
- あおくじら #-
- [ 編集 ]
自分は、おそらく日本で最も人が多い都市で生活しているので、この喧騒を離れたいというのはよくわかります
ただ、おそろしく出不精なのでw
自然の中に身を置きに行きたいとは思わないです
なので、自宅には必要以上にモノを置かない、増やさない
住む場所も閑静な住宅街
という感じで、無意識的にバランスを取ってますね
- 2013/01/16(水) 21:48:31 |
- URL |
- blackout #-
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ヒメキリンさん
あけまして おめでとうございます。
ご無沙汰していますが・・・
自然のことを、ほとんど学習していません。
それでも木が生い茂った場所に立ち寄ると、
野生の厳しさや、尊さを感じます。
サバイバルの技術はないのですが、
野宿が出来るようになりたいと、漠然とした目標があります。
今年もヨロシクお願いします。
- 2013/01/16(水) 23:41:33 |
- URL |
- radish #Y7SJeVSc
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> ヒメキリンさん
>
> あけまして おめでとうございます。
> ご無沙汰していますが・・・
> 自然のことを、ほとんど学習していません。
> それでも木が生い茂った場所に立ち寄ると、
> 野生の厳しさや、尊さを感じます。
> サバイバルの技術はないのですが、
> 野宿が出来るようになりたいと、漠然とした目標があります。
>
> 今年もヨロシクお願いします。
radishさん コメありがとうございます
今年もよろしくお願いします。
最近のキャンプ場はなんでもありますから,
手軽に気軽にできると思いますよ。
実家の近くのキャンプは,
トイレも水洗だし,コンセントもあるし,水道も完備ですし。
- 2013/01/20(日) 16:46:23 |
- URL |
- ヒメキリン #-
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> 自分は、おそらく日本で最も人が多い都市で生活しているので、この喧騒を離れたいというのはよくわかります
>
> ただ、おそろしく出不精なのでw
>
> 自然の中に身を置きに行きたいとは思わないです
>
> なので、自宅には必要以上にモノを置かない、増やさない
> 住む場所も閑静な住宅街
>
> という感じで、無意識的にバランスを取ってますね
blackoutさん コメありがとうございます
実家は,もう目の前に木々が生えそろった山なんで,
昔から自然に囲まれていたんで,そういうのもあるのかも。
学校帰りに山に虫取りとか,普通に行ってましたし。
- 2013/01/20(日) 16:49:28 |
- URL |
- ヒメキリン #-
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> はじめまして
> よく見に来させていただいています。
> ソロー、懐かしいです。大学時代に環境のことを勉強してたので読みました。
> 読み直してみようかという気分になりました。
>
> いつも見させていただいているので、リンクさせていただければうれしいです。
> 大丈夫でしょうか。
あおくじらさん コメありがとうございます
リンクフリーです。
リンク教えて貰えれば,相互リンクします。
確かにAmazonなんかのレビューで,大学で勉強して読むというのが多そうですね。
私は,超絶主義を調べていて出会いました。
- 2013/01/20(日) 16:51:35 |
- URL |
- ヒメキリン #-
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> 訪問ありがとうございます☆わたしも自給自足が夢です~。
りまさん コメありがとうございます
完全な自給自足は厳しいですが,野菜とかは作ってみたいです。
- 2013/01/20(日) 16:54:47 |
- URL |
- ヒメキリン #-
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