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2015.09.15
目次
これまでに私Manboが鑑賞し、感想を書いたドラマの一覧です。
以下、ネタバレ抜きで軽く紹介します。
(評価はあくまで私の主観によるものです。)
映画に関してはこちらの別カテゴリへ。
※ここでは「純粋な武侠もの以外」の古装ものという意味で「古装」という分類を用いています
☆☆☆☆☆ … 問答無用でおすすめ 観ないと絶対損です
☆☆☆☆ … 相当面白い あと一歩あれば完璧だった
☆☆☆ … 悪くは無いのだが 全体としてはまあこれくらいかなという
☆☆ … 何か惹かれるポイントがあればどうぞ
☆ … 言わずもがな
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射雕英雄伝 ☆☆☆☆☆
2003年 全42話
漢民族の宋、女真族の金、そしてチンギス・ハーンの蒙古
三つの民族が覇を争う激動の時代に生を受けた二人の若者・郭靖と楊康が
それぞれに運命に翻弄されながら旅を続け、武術を修めていく内に
やがて「英雄」の意味を知ることになる…という冒険譚。
とにかく元気で前向きなストーリーが魅力。
他の武侠ものと比べても明らかに頭一つ飛びぬけてる
個性的なキャラクターたちも見どころだ。
ケチをつける場所がほとんどなく、武侠ドラマの入門としても
文句なしにこれで間違いないかと。
あと武侠ドラマ屈指の最高に格好良いオープニングは必見。
笑傲江湖 ☆☆☆★
2001年 全40話
江湖の武林(武術界)における門派の対立と陰謀に翻弄されながらも
主人公の若者・令狐冲が持ち前の大らかさと正直さで
真っ直ぐに生きていくという武侠物語。
舞台背景的に「射雕~」よりもいきなりだととっつきづらいところがあるので、
ある程度は江湖という世界観に慣れた人向けかも。
あと前半~中盤あたりまで結構鬱々とした展開が続くので
その分を差し引けば☆三つ半か四つでもいいくらいかな。
いかに主人公の令狐冲を丸ごと好きになれるかどうかが
この物語を楽しめるかどうかの分かれ目か。
すてきな爺様がたくさん出てくるので、そっちのほうにも期待できます。
七剣下天山 ☆☆☆☆☆
2005年 全39話
明が滅び清が興って間もない時代
漢民族を弾圧する清の圧制から人々を救うべく立ち上がった
七人の剣士たちの戦いの話。
ドラマとしての圧倒的な完成度
細やかに生き生きと描かれたそれぞれのキャラクター
見ごたえ抜群の剣劇アクション
情緒感溢れる劇伴曲
全てが非常に高いレベルでまとまっている。
背景からもわかる通り決して軽さや笑いはないストーリーなのだが、
それでも希望を求め、引き込まれて観てしまう。これはおすすめ。
あと剣士の一人、傅青主(爺)の格好良さが異常なので
それ目当てで見る価値もあり。
連城訣 ☆☆☆
2003年 総集編・全五部
手にした者は莫大な富を得るという、
とある剣譜(剣術の指南書)に隠された秘密「連城訣」をめぐる陰謀と、
それに巻き込まれ翻弄される朴訥な青年・狄雲の物語。
そもそも原作がそれほど長くないため
どうしても感情移入度では一歩劣ってしまうのがつらいが
話全体としての完成度はまずまず。
序盤で鬱々とした展開があるのは笑傲江湖と同じなのだが、
「主人公に入れ込む見方をしない」ということを早いうちから心がけておけば
こちらはさほどストレスなく見られる。
全体としては地味めだが、そこそこ安定した秀作。
天下第一 ☆☆☆
2004年 総集編・全六部
明の時代、あらゆる分野において天下第一の腕前を誇る
プロフェッショナルを集めた「天下第一荘」という組織があった。
内に宦官の横行、外に侵略の暗雲が立ち込める中
朝廷を守る特務機関「護龍山荘」の密偵たちの戦いと人間模様を描いた武侠物語。
いかにも香港テイストなコメディ描写と
対照的にずいぶん重いストーリーの不思議なバランスはなかなか楽しい。
登場人物が魅力的なのは他の作品に引けを取らず。
日本語版はダイジェストしか出ていないのがかなりマイナスっぽいが、
とりあえず時間の分の元は取ったと思えるかな。
でも個人的には終盤の展開にかなり不満があった。
「射雕~」「笑傲江湖」で主演をしていた李亜鵬の
このドラマでの役はかなりカッコいい。
断仇谷 ☆☆☆☆
(邦題:群雄武侠伝~断仇谷)
2003年 全30話
清の時代、都から遠く離れた辺境の地に
断仇谷と呼ばれる世のしがらみから解き放たれた谷があった。
江湖には山賊が跋扈しており、自治都市に住む者たちはその脅威に怯えながらも
たくましく日々を生きている。
そんな世界で、運命に翻弄される者たちの愛、陰謀、そして生き様を描いた武侠物語。
派手さはないが堅実でよく練られたシナリオ、
丹念に生き生きと描かれたキャラクターの魅力によって
続きが気になりさくさくと観て行ける。
人生笑いがあれば涙もあるとばかりに
特に中盤以降、結構ヘビーな展開もあるのだが
それでも何だかんだで行く末が気になって観続けてしまうパワーはあった。
また、CG抜きのアクションはさすが洪金寶監修というだけあり
見ごたえは抜群だ。
キャラクターの魅力と全体的な完成度から、オマケして☆四つ。
大旗英雄伝 ☆★
2005年 全41話
明朝末期。かつて混沌とした江湖武林を統一し、平和をもたらした鉄血大旗門は
傘下の五福連盟の裏切りにより崩壊、塞外へ落ち延びた。
数十年に渡る怨恨に決着をつけるべく中原へ帰還した大旗門の残党と五福連盟の戦い、
因縁、そしてそこに翻弄される者たちの生き様を描いた武侠物語。
これは正直、かなり厳しい。
題材としては決して悪くはない。
悪くはないのだが、構成力と演出力のなさが致命的である。
次々と予想を裏切り期待も裏切るストーリー運びに、憤死者続出の恐れ有り。
全く見るところの無いゴミとまでは言いませんが、鑑賞には愛が要求されます。
☆一つが妥当かとも思われたのですが、一応評価できる点もいくつかあること、
それと演員さんたち(ただしヒロイン・水霊光役以外)に敬意を表して
☆二つにしておきます(^^;
尋秦記 ☆☆☆☆
2001年 全40話
現代。香港の特殊警察官・項少龍は過ぎ去った愛する女性との時を取り戻すため、
ひょんなことからタイムマシンの起動実験に協力することになる。
目的地は紀元前247年。戦国時代を終わらせる歴史上最初の皇帝、
始皇帝の即位式を記録してくる使命が彼に課せられた。
ところが装置は誤作動を起こし、彼が実際に降り立ったのは
本来の目的地よりも三年早い紀元前250年の趙の国だった…
戦国時代に降り立った一人の現代人が繰り広げる、愛と冒険のSF武侠古装活劇。
これは、素直に面白い。
設定を見てもわかる通り、武侠モノとしてはかなり変化球なのだが
しかし息もつかせぬストーリー運び、予想もつかない展開、
次から次へと押し寄せるピンチを機転と侠気で乗り越える主人公、と
これはまぎれもなく武侠ドラマです。
思わず吹き出すお気楽なノリと、それに対し意外なほど練りこまれたストーリーに釘付け。
とりあえず、観ておいて損はないです。
碧血剣 ☆☆☆☆
2006年 全30話
明朝最後の皇帝、崇禎の時代。国のために尽くした忠臣・袁崇煥は
反逆者の汚名を着せられて崇禎に処刑され、その一族は皆殺しとなった。
一人生き延びた息子の袁承志は復讐を誓って崋山に篭り、修行に明け暮れる。
そして十二年。世は乱れ、民衆の嘆きは闖王・李自成による反乱へと向かい
その一方で、塞外からは虎視眈々と後金(清)が中原を狙っていた。
一つの王朝の終わりという時代の荒波の中で
父の仇討ちを期す主人公・袁承志の波乱の冒険を描いた武侠歴史活劇。
何はともあれアクションのレベルが最高。これだけでも観る価値はあると言えるでしょう。
金庸原作ながら歴史モノとしての色が濃く、
キャラクターや出来事の破天荒さなどは相変わらずだが、
だいぶ重厚に進むところもある。これは評価の分かれるところか。
とはいえ、何だかんだで観ている間は文句なしに楽しいということは間違いない。
金庸ものということで、数多くのイカす爺・親父たちとの出会いも期待して良いです。
八大豪侠 ☆☆☆
(邦題:八人の英雄)
2005年 全40話
北方の金の侵攻により二人の皇帝が捕えられ、都を江南・臨安に移した南宋の時代。
金を討つべく戦った南宋の将軍岳飛は奸臣秦檜の策略によって謀殺され、
朝廷で秦檜に歯向かえるものは誰もいなかった。
そんな中、かつての北宋の遺臣たちによって秘密組織・豪侠が結成される。
打倒秦檜、国土回復を目指す豪侠の英雄好漢八人が繰り広げる
数々の任務と戦いを描いた武侠アクションドラマ。
良くも悪くも王晶ドラマの典型といった感じ。
1本6話程度の中編をひとつの事件として、オムニバス形式風に進めるストーリー運びは
それなりに変化に富んでいてなかなか楽しいし、キャラクターの魅力も十分。
また王晶監督らしい「どんでん返し」も頻繁に使われており
これがカッチリ決まった時には素直に「あっ」と驚かせてくれる。
ただし「良くも悪くも」と書いた通り、時に裏をかくことばかりに終始し
視聴者置いてけぼりといった状態になることもあるのは何とも。
そこのところは、人によって好みの分かれる部分かも知れない。
雪山飛狐 ☆★
2007年 全40話
清代初頭。闖王・李自成が遺した秘密にまつわる因縁から
血の歴史を歩んだ側近の四将・胡家、苗家、田家、笵家の子孫たち。
江湖に飛天狐狸の異名を取る胡一刀、
そして同じく打遍天下無敵手と名高い苗人鳳
雪山から始まる二人の戦いを皮切りにした、親子二代に渡る恩讐と戦いの物語。
金庸原作を王晶監督でドラマ化という危険な化学反応。
その成果はというと…やはりいまひとつうまくなかったようです(^^;
原作の枷によって王晶持ち前の破天荒さ、勢いが失われてしまった。
人物描写が無茶苦茶とか演出がダメとか、そういったことはないのだが
言ってみれば混合液の中身が分離して、下に沈殿がたまってしまっているのに
上澄みの液だけをすくいとってしまったような感じかなぁ。
恋愛色が強い部分もあるので、逆にそういうものを楽しんで観れるなら
これはこれである意味「アリ」だと感じる人もいるかも知れない。
予想の範疇だが、爺的にはぜんぜん期待できなかったのは個人的に痛かった。
游剣江湖 ☆☆☆
2006年 全40話
明代。江湖の運送護衛業・鏢局の世界と武林を舞台にした武侠群像劇。
鏢局を営んでいた亡父を持つ青年・孟元超は
師父との山中での修行を終え、江湖に降り立った。
そこから様々な男女の愛憎と友情、恩讐、確執の物語が始まる…
軽妙な語り口と魅力的な人物描写によって
どんどん続きが気になって観てしまう…というのは良い武侠ドラマの基本条件であり、
その点においては及第点以上の出来であることは間違いない。
ところどころ粗もあるものの、二転三転する話の勢いで
それを気にならなくしてしまう演出も見事。
ただし人物の心理描写に関してややもたつきがあったり、
終盤やや失速してしまった感があるのが残念なところ。
そのために全体としての星評価はやや低めになったが、
ともかく観ている間はしっかりと楽しめることは間違いない。
楚留香傅奇 ☆☆
(邦題:怪盗 楚留香)
2007年 全43話(Part1:13+Part2:16+Part3:14の三部構成)
古龍原作の武侠活劇。
砂塵舞う西域と江南を舞台に、
江湖にその名を知られる怪盗・楚留香と仲間たち、
そして彼らが巻き込まれるいくつかの数奇な事件を描く。
基本的なキャラクターはそのままに、三部構成で三つの事件を連続的に描いています。
独立しているようで各章はリンクしているので、第一章から順に観ましょう。
多点同時進行があまり上手くなく、そのくせ多用するので
内容は全体的にかなり散漫な印象です。演員に思い入れがないとつらいかも。
その割に☆評価は甘めですが、
これはひとえに第二章のゲストキャラクターが出色であったためです。
武侠ドラマのキモはキャラクター力だなぁ、と逆説的に再確認させてくれました。
アクションは多いし、粗さは目立つもののギミックもそれなりに仕込まれているのですが…
たぶんおなじ☆三つなら、他のドラマのほうが面白いと思います(笑)
スンマセン、やっぱ☆ふたつにしました(爆)
大唐游侠伝 ☆☆☆★
2007年 全32話
舞台は唐代中期。時の皇帝・玄宗は楊貴妃にうつつを抜かしており、
皇帝の腹心安禄山が権力の座を狙っている。
そんな中、陰謀により父を亡くした若者・鉄摩勒は、とある目的を秘め
義父と共に、亡父の義兄弟である当代随一の剣客・段圭璋のもとを訪ねていた…
唐王朝の転換点となる一大イベント「安史の乱」を下敷きに
父の仇討ちを期す主人公・鉄摩勒の波乱の冒険を描いた、
梁羽生原作改編・張紀中製作総指揮による武侠歴史活劇。
すいません、最後の一行、「碧血剣」から一部コピペしました。
…が、実際のところ、毛色は似ています。
4:6もしくは3:7くらいで古装ものと武侠のハイブリッドな感じ。
武侠ものとして基本的なガジェットは取り揃えられており、
アクションも見せ方・映像技術共にハイレベルです。
とはいえこの手の歴史ハイブリッド武侠のご多分に漏れず、
歴史イベントが動き出すと良くも悪くも破天荒さが押さえ気味になってしまうので、
ここは好み・評価が人によって動くところですね。
個人的にはもうひとつ、突き抜けっぷりが欲しかった。
ともあれ、全体としては平均点以上の面白さは保証されています。
☆三つですけど、実質三つ半くらいです。
絲路豪侠 ☆☆☆
(邦題:シルクロード英雄伝)
2003年 全20話
前漢代の西域。
手に入れた者は天下無敵の力を得ると言われる天竺の秘宝・孔雀刀は
その当時、西域に流れ着いていた。
平定された西域を守護する武装集団・飛駝商隊と、
孔雀刀を求めて侵攻する天竺の密教集団・呪奴。
中原の刺客・燕逍遥は、とある依頼を受け、両者の衝突する西域へと足を踏み入れる…
孔雀刀を巡って交錯するさまざまな陰謀と思惑を描いた、武侠伝奇活劇。
前評判はかなり悪いドラマだったのですが、
決して作りが不真面目、適当、いい加減ということではないようです。
むしろ様々な伏線を出しては回収するといったミステリじたての作りは
プロット的にはなかなかで、観ていて謎解きや組み立ての楽しさを味わえます。
ただし、悪いのは、端的に言うとドラマ作りが「下手」ということですね。
ただでさえ謎かけ式でプロットがややこしいのに
伏線の見せ方や場面切り替え、流れ構成などがこなれておらず、
結果として、観る方に一定の労力を要求する内容となってしまっています。
とはいえ砂塵舞う西域というロケーションは相変わらず絵になるものであり、
また役者さんも華は少ないながらもなかなか頑張っており、好感度はそこそこ。
他に面白いドラマもありますが、20集という軽めのスケールも
考えようによっては悪くはないかも知れません。
神話 ☆☆☆★
(邦題:The Myth 神話)
2009年 全50話
フリーの青年カメラマン・易小川は、ひょんなことから発掘品の宝箱によって
始皇帝が中国統一を成し遂げた秦代へタイムスリップしてしまった。
一方、現代に残された小川の兄、考古学者の大川は
残された手がかりから小川失踪の謎を追い始める…
現代と古代、二つの視点を同時に追いながら進む、
時空を隔てた数奇な運命を辿る古装SFドラマ。
タイムスリップものということで『尋秦記』と似通っていますが、
こちらはより現代風にブラッシュアップ&現代との同時進行構成が異なっています。
これでもかとばかりに繰り出される悪ノリ楽屋ネタは良い意味で突っ込み必至。
主人公の軽妙かつ痛快な武侠的英雄好漢っぷりにどんどん引き込まれて観て行くことが出来ます。
ただし「恋愛」が物語を貫く大きなテーマであり、特に中盤以降それがクローズアップされてくると、
人によっては少々胃もたれするところもある…かも知れません。
ハチャメチャな展開に突っ込みどころも多々ありますが、ドラマとしての完成度はなかなかのものであり、
50集という長尺を押してでも一見の価値ありと言えます。
永楽英雄兒女 ☆★
2004年 全39話
明の第三代永楽帝の時代を舞台に
宮廷に江湖に繰り広げられる永楽帝のおてんば娘・蛮公主と
彼女に惚れられた朴訥なお調子者青年・馮天錫のドタバタ活劇。
永楽帝と、彼によって帝位を奪われた先帝・建文との確執とかいったよーな
本筋もあるにはあるのですが、いかんせん全ての要素がとっ散らかっており、
非常に散漫かつ行き当たりばったりにストーリーが進みます。
コメディを売りにしている割には下品・稚拙なものが多く、
それらがきちんとした「芸」になっていません。
大げさなSEに、音楽はこのプロデューサーは特に顕著ですが、相変わらず借り物ばかり。
余程何か惹かれるものがない限りは、正直、とても人におすすめできません。
やまなし・おちなし・意味なしとはこのことです。
七侠五義 ☆☆☆
2011年 全37話
北宋の第三代真宗の時代を舞台に
開封府の名判官・包拯とその仲間たちが巻き込まれる
様々な事件を描いた同名の古典小説改編の武侠サスペンス活劇。
おおむね作品としてのクオリティは及第点を満たしており、
包大人が腹芸なども駆使してあれこれ皇宮内の陰謀に挑んでいったりする一方で
アクションのほうもきっちり見せ場を用意していたりと、そつがないです。
ただし中盤ごろからだんだん箱庭の狭さというか、展開が若干もたついたりするところもあり、
オムニバス形式ゆえの縦糸の弱さから、鑑賞が足踏みしてしまう可能性も。
良くも悪くも突き抜け度がもうひとつといったところでしょうか。
(まあそういうのを求める作品ではないのかも知れませんが)
流星胡蝶剣 ☆☆☆
2010年 全30話
江湖の二大勢力"孫府"と"十二飛鵬幇"の抗争、
そしてその間に位置する暗殺集団を擁する妓楼"快活林"を舞台に
江湖に生きる人々の恩讐と愛憎を描いた、古龍原作改編の武侠陰謀活劇。
古龍原作ドラマの中では(とか言えるほどそんなにたくさん観てるわけではないんですが)
屈指の出来だと思います。
終始一貫した人物描写、矛盾のないしっかりしたストーリー構成と丁寧なキャラクター描写。
観ていて古龍小説の文章が行間に見えてくるくらいによく出来ています。
決して場面は多くはないのですが、アクションも良好。
ただ、これもまた古龍原作ということで人物関係のドロドロがけっこう話の中でのウェイトが大きく、
観ていて疲れてくることもままあります。
その辺りは痛し痒しといったところです。
NEW
関西無極刀 ☆☆☆★
2003年 全20話
砂塵吹き荒ぶ唐代の西域を舞台に、
宝刀・無極刀のありかを求める江湖の人々の思惑と
その中で翻弄される一組の少年少女の運命を描いた武侠文芸活劇。
張紀中プロデュースということで一定の品質は保証されています。
武侠ものですが、"アンチ武侠もの"と言っても良いテーゼが全編通して貫かれており、
普通の武侠もの的展開を期待してしまうと、人によってはもどかしく感じてしまうかも。
人の命が砂粒のように軽い唐代のサツバツとした西域・江湖の空気が
実によく描かれており、元ネタ映画からしてウェスタン武侠などと呼ばれるくらいです。
好みは分かれるかも知れませんが、一見の価値あり。
全20話と短めにまとまっているのも鑑賞しやすいポイントだと思います。
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三国演義 ☆☆
1994年 全84話
日本でもおよそ知らない者はいないというほど有名な「三国志」
その原作である三国志演義(原題「三国演義」)を原典に忠実にドラマ化。
漢王朝の末期に起きた民衆の武装蜂起・黄巾の乱を引き金に
魏・呉・蜀の三国が興り、そして最後は晋に帰結するまでを描いた一大叙事詩。
個人的には☆評価自体をつけられない作品なのだが、
まあ出来るだけ客観的に見るとこれくらいということで。
というか、これでもずいぶんオマケして☆二つだと思う(^^;
「三国志(三国志演義)」が好きなら問答無用で見ましょう。
そうではなく、特に思い入れがない人にとっては
やはり経年劣化が厳しい作品なので、途中で退屈してしまうかも。
繰り返しになるが、個人的にはこれ本当に大好きです。
成吉思汗 ☆☆☆☆
2000年 全30話
12~13世紀のモンゴルに生まれ、アジアに巨大な帝国を築き上げた草原の英雄
チンギス・ハーンの激動の一生を描いた歴史大河ドラマ。内蒙古製作。
歴史ドラマというと堅苦しく冗長、
あるいは尺が詰っていて感情移入しづらいといったイメージがあるかも知れないが
このドラマの場合あくまで一人の英雄の叙事詩として作られているため、
軍記物として普通に楽しめる内容となっている。
本場モンゴル産ということで、連続ドラマ形式というたっぷりとした尺の中
そこいらのパチモノとは違う確かなモンゴルの空気が画面から感じられるのも実に良い。
主人公のチンギス・ハーンだけではなく、
彼が人生の中ですれ違う様々な人物もまた
魅力に溢れて生き生きと描かれているのも特徴だ。
歴史ものが好き、あるいはチンギス・ハーンが好き、
このどちらかに当てはまるなら是非観ましょう。
一つだけ難を言うなら、このドラマを先に観た後で「射雕英雄伝」を観てしまうと、
チンギス・ハーンの描かれ方のあまりのギャップに
あちらが楽しめなくなってしまう恐れがあるという点だ(笑)
まあそんな心配が必要な人はなかなかいないと思うが、
先に「射雕英雄伝」を観てからコレを観た方が良いです。
東周列国・春秋篇 ☆☆☆☆☆
1996年 全30話
古代中国の王朝・周が東へ遷都してから、秦が全土を統一し初の帝国を築くまでの
五百年間にわたる春秋戦国時代の興亡を描いた歴史大河ドラマ。
前編にあたる「春秋篇」では春秋時代の二百年の出来事が描かれる。
ドラマ「成吉思汗」は一人の人物にフォーカスし、
30話という長い尺をたっぷりとそれに用いることによって
「堅苦しく冗長、あるいは尺が詰っていて感情移入しづらい」
という歴史モノの問題点を見事にクリアしていたが、
このドラマでは各々のエピソードを短編として独立させることによって
毎回描かれるテーマ、登場する人物、展開する出来事を絞り込み
絶妙のバランスでエンターテインメントとして成立させている。
はっきり言って、面白い。
個々のエピソードの面白さもさることながら
全体を貫いて描かれる歴史の流れの無情さも秀逸。
それらを遺憾なく表現してみせる役者さんたちと諸々の舞台装置も見事。
やや古いドラマであるためか、音が時々くぐもって聞き取りづらいこともあったので
☆四つ半くらいかも知れなかったのですが、
オマケして五つにしておいても良いと思わせるものが確かにありました。
歴史好き、古装好きならコレは外せません。観ましょう。
東周列国・戦国篇 ☆☆☆☆
1997年 全32話
古代中国の王朝・周が東へ遷都してから、秦が全土を統一し初の帝国を築くまでの
五百年間にわたる春秋戦国時代の興亡を描いた歴史大河ドラマ。
後編にあたる「戦国篇」では戦国時代の三百年の出来事が描かれる。
直接的に繋がるわけではないが
「春秋篇」から続く時代の流れでそのまま鑑賞という流れが一般的だろう。
よってこれ単体での紹介というのはしづらいのだが、
とりあえず言えることは「春秋篇」が時代を描いたドラマだったのに対し
「戦国篇」はどちらかというと人物を描いたドラマだということであり、
それによる功罪もまた存在するということだ。
全体的なクオリティでいうと春秋篇には一歩劣りますが
それでも歴史ものとしては及第点以上の出来だと思います。
☆3つ半くらいが妥当だったかも知れませんが、
あまりにも美しいゴスペル調のアカペラ「詩経」エンディングにオマケして☆4。
「春秋篇」「戦国篇」全部合わせると62集の長編になりますが
それを押してでも観る価値はあるでしょう。
水滸伝 ☆☆☆☆★
1998年 全43話
「三国演義」と並んで中国四大奇書に数えられる原作(百二十回本)を
同じく「三国演義」をドラマ化した中央電視台が映像化。
北宋の時代、真っ当に生きることを望みながらも
止むに止まれぬ事情により山賊に身を落とした好漢たちが山東・梁山泊に集う。
その戦い、生き様、そして行く末を描いた武侠大河ドラマ。
武侠ものの原型とも言うべき波乱万丈のストーリーは
次々と続きが気になり、黙々と見続けてしまう中毒性がある。
個々の好漢たちのエピソードそれぞれがいちいち面白く、
それらが集束して一つの大きな流れになり、そして散って行くというこの一大叙事詩は
観終わった後に心に確かな余韻を残します。
ドラマ作品としての完成度がかなり高く、原作を知らなくても普通にオススメ。
アクション設計、音楽、舞台装置、演員など全体的にレベルが高く、
武侠エンターテインメントとしての娯楽性も十分に備わっている。
荊軻傅奇 ☆☆
2004年 全32話
紀元前の戦国時代末期。
乱世を終わらせ中国史上初の統一を成し遂げた秦の始皇帝、
その始皇帝を暗殺しようとした男・荊軻の一生と
彼がその人生で行き交う様々な人物の思い、意地、そして生き様を描いた古装群像劇。
人物描写は悪くはないし、舞台装置もまずまず、
ストーリー運びにも無理はないのだが、
いかんせん「クソ真面目に」ドラマを作りすぎている感がある。
ありていにいうと、観ていて疲れるのです。
人物に入れ込むことができれば、なかなか面白く観れると思うのですが、
こればかりは個人差があるので何とも言い難いところ。
だいたい五話六話のあたりまで観て、自分に合っているのか判断するのが良いかも。
☆は二つ半ぐらいが妥当なところでしょうか。
(さすがに「大旗」と同列にするのは失礼だよな^^;)
楊家将 ☆☆☆
1991年 全32話
「三国演義」と並ぶ中国の人気作品を山西電視台が映像化。
舞台は宋代初期。中原を制覇した宋と、その国土を巡って南下をはかる契丹族の遼。
二つの勢力の争いの中に翻弄される亡国の将、楊継業と
その一族の壮烈な生き様を描いた古装戦争劇。
なにぶん年代ものということでその辺込みでの評価ですが、
たぶん原作の好みや相性の問題もあるんだろうなぁ。
とにかく次から次へと苦労続きの展開で、
観ていてぐったりしてしまうことも少なくありませんでした。
まあ、まるっきりの徒労ではなく、それなりに伝わってくるもの、得るものは
確かにあったのですが…
物語の主な舞台となる山西をロケ地とした(たぶん)場面のかずかず、
地に足の着いた人物描写など
ドラマを作っている側が、好きで作っているんだなぁということが
画面からきちんと伝わってくるのは、心地良い。
還珠格格 ☆☆☆☆☆
(邦題:還珠姫~プリンセスのつくりかた)
1997年 全24話
清・乾隆帝の時代。
生き別れた父と会うため、侍女と共に北京の都にやってきた少女・夏紫薇は
ひょんなことから義賊の少女・小燕子と出会う。
それが、後に皇宮を騒がせることになる還珠格格事件の始まりだった…
父娘の愛情、男女の愛情、嫉妬、陰謀、
様々な人の思いがうずまく皇宮を舞台にした、古装ホームドラマ。
これは面白い!
破綻なく緻密に構築されたストーリー構成や魅力溢れるキャラクター、
「いい加減さ」の皆無な丁寧な作り。ドラマとしての圧倒的な完成度の中で、
エンターテインメントの王道とは何たるかを存分に味わいつくせます。
24集と無駄なくコンパクトにまとまった尺の中で
作品世界にどっぷりと浸って、清代の空気を満喫できました。
武侠ものではないので打打殺殺は控えめながらも、
ストーリーの根底に流れる義侠心やころころと転がっていく絶妙なタイミングの引き
そして武侠ものではお約束の親馬鹿デレデレパパといった
本来の武侠ドラマ顔負けの諸要素も美味しい。オススメです。
大敦煌 ☆☆
2007年 全49話(上14+中18+下17の三部構成)
シルクロードの分岐点、西域・敦煌を舞台に、宋代に隠匿された秘宝・金字大蔵経と
それにまつわる人々の数奇な運命を描いた古装大河ドラマ。
宋代:西夏の野望とそれに翻弄される亡国の姫君、
清代末期:失踪した兄の消息を求める青年、
日中戦争間近の民国時代:敦煌の芸術に魅せられた若き画家、
と、時代を隔てた三つの物語が描かれる。
同じ舞台を使い、時代を辿って複数の物語を描くという試みは大変興味深く、
その舞台となる西域もロケーションとしては最高。
演員も一級品を取り揃えて、古装としての雰囲気作りはバッチリなのですが…
肝心のストーリー構成がかなり致命的です。
ドラマとしての盛り上げを全く考慮していないのかとさえ思える
凡庸以下の話運びや冗長な進行速度は、
「これだけの素材を揃えておいて…」と落胆せずにはおれません。
星は一つでも妥当かと思われたのですが、
演員さんに敬意を表して二つで。(って、こればっかだな…)
画面の雰囲気そのものは良いので、この長い旅路に出かける覚悟のある人は
視聴してみるのもまた一興かも知れません。
康熙王朝 ☆☆☆☆☆
2001年 全50話
清朝の四代皇帝、康熙帝。
成立後間もない清朝を安定させ、中国統一を成し遂げた
名君と名高い皇帝の一生を重厚に描いた、古装大河ドラマ。
前評判の高さは聞いていたのですが、それも納得の出来でした。とにかく、面白い!
舞台装置、演員、ストーリー、構成…これらが非常に高いレベルで融合し、
50集という長尺をじっくりと使って物語を描いていきます。
もちろん康熙帝本人だけでなく、周りの人々もまた
魅力たっぷりに描かれているというのは基本。
ドラマの進行速度は決して早くはないのですが、
舞台の上を賑わせて、こちらを飽きさせません。
時に笑いあり、時に涙あり。
そして何より「皇帝とはかくあるもの」を描き切ったストーリーには確かな説得力があります。
総合的な☆評価でいうと厳密には☆4.5くらいかなというところもあるのですが、
ともあれ50集という長さにひるんで手をつけていなかったりしたら、勿体無いです。
古装好きなら間違いなくお勧め。
封神榜 ☆☆☆☆
(封神榜之風鳴岐山) (邦題:封神演義)
2006年 全38話
紀元前11世紀に起きたといわれる古代中国の王朝・殷の滅亡と、その後を継ぐ周の成立。
二つの王朝の興亡を下地に、仙人道士が入り乱れて繰り広げられる超能力大戦を描いた
同名の古典伝奇小説のドラマ化。
范冰冰が主演で妲己役ということで、日本でもソフト化されました。
といっても、これは長大な原作の半分程度。
残り半分にあたる部分は「封神榜続集 武王伐紂」として、
続けて映像化されています。(2009年製作、日本語版は未発売)
そういうわけで、上部にあたるこのドラマなのですが、
じっくりと尺を使って古代中国のふしぎ世界を丁寧に描き上げており、
なかなかに楽しいです。
最新…とは言わないものの、CGやワイヤーアクションといった
武侠ドラマでおなじみの特殊効果を駆使した画面作りや、
元々の原作の持つ奇想天外・摩訶不思議・荒唐無稽な持ち味に加えて
適度にミックスされた独自要素・解釈の数々、
場面を盛り上げる劇伴曲など、バランスよくまとまっています。
ただし前半でじっくりと尺を使いすぎた反動か、
中盤以降から、やや「ノルマ消化」的に展開が詰っているようなところもありますが…
これは正直「もったいない!」と言いたいところ。
ともあれ全体としてはおおむね楽しめるドラマであることは間違いないです。
後編の日本語版発売を願って止みません。
大明王朝1566 ☆☆☆☆★
(邦題:大明王朝 ~嘉靖帝と海瑞~)
2006年 全46話
時は明朝中期、第十二代嘉靖帝の時代。
皇帝は二十年以上もの間皇宮の奥に引き篭って政務を放棄。
朝廷官府には汚職がはびこり
蒙古の侵入や倭寇の脅威を前にして、国庫は困窮していた。
緩やかに乱れていく世の中で、明日を、国を、民を思う者たちそれぞれの
様々な思惑と陰謀の交錯を描いた古装政治群像劇。
前評判通りの出来でした。人間ドラマが面白い!
明代中期という閉塞した時代を舞台に
それでも懸命に生きていく者達の生き様が、
重厚な演出、確かな演技力を備えた役者、荘厳な舞台装置によって
じっくりと丹念に描かれます。
派手なアクションなど要らない。会話劇だけでここまで物語は面白くなるのだなぁと
改めて実感させてくれます。
ときどき編集の意図が不明だったり、
群像劇であるが故に話が右へ左へと移るのがもどかしかったりもする時もあるのですが、
全体的にとてもハイレベルなドラマでした。
政治劇なので爺・オッサン率が異様に高いというのも、個人的に◎。
呂布与貂蝉 ☆☆★
(邦題:三国志 呂布と貂蝉)
2004年 全35話
後漢末期。
黄巾党の蜂起により国は乱れ、諸侯はそれぞれに野心を抱いて跋扈していた。
そんな乱世を舞台に、一組の男女が数奇な運命を辿りながら交錯する。
「三国志」の登場人物、呂布と貂蝉にスポットを当て
独自の解釈でその純愛を大胆に描いた古装伝奇ドラマ。
監督は陳凱歌(チェン・カイコー)です。
どう見てもネタドラマなのですが、
三国志だということを考えなければ、奇想天外な作品世界と話運びは
週刊少年漫画的な面白さがあります。
とはいえ、それは同時に説得力の欠如ということでもあるのですが…
演員さんや特殊効果まんさいのアクションなどは良いので、
深く考えなければあるいはアリかも知れません。
☆評価は二つ半くらいが妥当ですかね。
一枝梅 ☆☆☆☆☆
2008年 全20話
朝鮮王朝の第十六代・仁祖の時代。
大陸では清が興って明を滅ぼすその頃、
都・漢陽では、どんな厳重な警備をもすり抜けて貴族の館に忍び込み
犯行現場に一枝の梅の絵を残して去る、謎の義賊の噂が世を賑わせていた…
王朝をめぐる陰謀とその中に翻弄される運命、そして絡まり合う愛情と相克を描いた
韓国産・古装大河アクション。
韓国古装ですが、まずアホみたいな話数の長さがありません。
そしてエンターテインメントとして、とても完成度が高いです。
隙のない良質で丁寧な作り。
時にお約束に絶妙に応えつつ、時にこちらの予想を外す絶妙な話運び。
魅力あふれる数々のキャラクターと、気になるそのそれぞれの行く先。
20集という必要十分に整えられた尺の中で、存分に大河ドラマを楽しませてくれます。
これはおすすめです。
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以下、鑑賞予定作品(随時追加されます)
・萍踪侠影(邦題「ヒロイック・レジェンド」/武侠ドラマ・全35話)
・小魚儿與花無缺(邦題「プライド」/武侠ドラマ・全40話)
・天龍八部(武侠ドラマ・全40話)
・漢劉邦(邦題「劉邦と項羽」歴史大河ドラマ・全35話)
・風雲(邦題「風雲」「続・風雲」/武侠ドラマ・総集編全5+4集)
・海難(邦題「ビーチ」/青春ドラマ?・全20話)
・雍正王朝(歴史大河ドラマ・全44話)
・侠影仙踪(中文版/武侠ドラマ・全36話)
・鹿鼎記(武侠ドラマ、84年版・全40話)
・商道(韓国産/古装ドラマ・全50話)
・大唐芙蓉園(邦題「楊貴妃」/歴史大河ドラマ・全30話)
・侠侶探案(邦題「剣武侠侶」/武侠ドラマ・全2話?)
・貞観之治(邦題「皇帝 李世民」/歴史大河ドラマ・全50話)
・新上海灘(邦題「新・上海グランド」/準古装ドラマ・全42話)
・朱元璋(邦題「大明帝国 朱元璋」/歴史大河ドラマ・全46話)
・大秦帝国(歴史大河ドラマ・全51話 総集編?全5集)
以下、ネタバレ抜きで軽く紹介します。
(評価はあくまで私の主観によるものです。)
映画に関してはこちらの別カテゴリへ。
※ここでは「純粋な武侠もの以外」の古装ものという意味で「古装」という分類を用いています
☆☆☆☆☆ … 問答無用でおすすめ 観ないと絶対損です
☆☆☆☆ … 相当面白い あと一歩あれば完璧だった
☆☆☆ … 悪くは無いのだが 全体としてはまあこれくらいかなという
☆☆ … 何か惹かれるポイントがあればどうぞ
☆ … 言わずもがな
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射雕英雄伝 ☆☆☆☆☆
2003年 全42話
漢民族の宋、女真族の金、そしてチンギス・ハーンの蒙古
三つの民族が覇を争う激動の時代に生を受けた二人の若者・郭靖と楊康が
それぞれに運命に翻弄されながら旅を続け、武術を修めていく内に
やがて「英雄」の意味を知ることになる…という冒険譚。
とにかく元気で前向きなストーリーが魅力。
他の武侠ものと比べても明らかに頭一つ飛びぬけてる
個性的なキャラクターたちも見どころだ。
ケチをつける場所がほとんどなく、武侠ドラマの入門としても
文句なしにこれで間違いないかと。
あと武侠ドラマ屈指の最高に格好良いオープニングは必見。
笑傲江湖 ☆☆☆★
2001年 全40話
江湖の武林(武術界)における門派の対立と陰謀に翻弄されながらも
主人公の若者・令狐冲が持ち前の大らかさと正直さで
真っ直ぐに生きていくという武侠物語。
舞台背景的に「射雕~」よりもいきなりだととっつきづらいところがあるので、
ある程度は江湖という世界観に慣れた人向けかも。
あと前半~中盤あたりまで結構鬱々とした展開が続くので
その分を差し引けば☆三つ半か四つでもいいくらいかな。
いかに主人公の令狐冲を丸ごと好きになれるかどうかが
この物語を楽しめるかどうかの分かれ目か。
すてきな爺様がたくさん出てくるので、そっちのほうにも期待できます。
七剣下天山 ☆☆☆☆☆
2005年 全39話
明が滅び清が興って間もない時代
漢民族を弾圧する清の圧制から人々を救うべく立ち上がった
七人の剣士たちの戦いの話。
ドラマとしての圧倒的な完成度
細やかに生き生きと描かれたそれぞれのキャラクター
見ごたえ抜群の剣劇アクション
情緒感溢れる劇伴曲
全てが非常に高いレベルでまとまっている。
背景からもわかる通り決して軽さや笑いはないストーリーなのだが、
それでも希望を求め、引き込まれて観てしまう。これはおすすめ。
あと剣士の一人、傅青主(爺)の格好良さが異常なので
それ目当てで見る価値もあり。
連城訣 ☆☆☆
2003年 総集編・全五部
手にした者は莫大な富を得るという、
とある剣譜(剣術の指南書)に隠された秘密「連城訣」をめぐる陰謀と、
それに巻き込まれ翻弄される朴訥な青年・狄雲の物語。
そもそも原作がそれほど長くないため
どうしても感情移入度では一歩劣ってしまうのがつらいが
話全体としての完成度はまずまず。
序盤で鬱々とした展開があるのは笑傲江湖と同じなのだが、
「主人公に入れ込む見方をしない」ということを早いうちから心がけておけば
こちらはさほどストレスなく見られる。
全体としては地味めだが、そこそこ安定した秀作。
天下第一 ☆☆☆
2004年 総集編・全六部
明の時代、あらゆる分野において天下第一の腕前を誇る
プロフェッショナルを集めた「天下第一荘」という組織があった。
内に宦官の横行、外に侵略の暗雲が立ち込める中
朝廷を守る特務機関「護龍山荘」の密偵たちの戦いと人間模様を描いた武侠物語。
いかにも香港テイストなコメディ描写と
対照的にずいぶん重いストーリーの不思議なバランスはなかなか楽しい。
登場人物が魅力的なのは他の作品に引けを取らず。
日本語版はダイジェストしか出ていないのがかなりマイナスっぽいが、
とりあえず時間の分の元は取ったと思えるかな。
でも個人的には終盤の展開にかなり不満があった。
「射雕~」「笑傲江湖」で主演をしていた李亜鵬の
このドラマでの役はかなりカッコいい。
断仇谷 ☆☆☆☆
(邦題:群雄武侠伝~断仇谷)
2003年 全30話
清の時代、都から遠く離れた辺境の地に
断仇谷と呼ばれる世のしがらみから解き放たれた谷があった。
江湖には山賊が跋扈しており、自治都市に住む者たちはその脅威に怯えながらも
たくましく日々を生きている。
そんな世界で、運命に翻弄される者たちの愛、陰謀、そして生き様を描いた武侠物語。
派手さはないが堅実でよく練られたシナリオ、
丹念に生き生きと描かれたキャラクターの魅力によって
続きが気になりさくさくと観て行ける。
人生笑いがあれば涙もあるとばかりに
特に中盤以降、結構ヘビーな展開もあるのだが
それでも何だかんだで行く末が気になって観続けてしまうパワーはあった。
また、CG抜きのアクションはさすが洪金寶監修というだけあり
見ごたえは抜群だ。
キャラクターの魅力と全体的な完成度から、オマケして☆四つ。
大旗英雄伝 ☆★
2005年 全41話
明朝末期。かつて混沌とした江湖武林を統一し、平和をもたらした鉄血大旗門は
傘下の五福連盟の裏切りにより崩壊、塞外へ落ち延びた。
数十年に渡る怨恨に決着をつけるべく中原へ帰還した大旗門の残党と五福連盟の戦い、
因縁、そしてそこに翻弄される者たちの生き様を描いた武侠物語。
これは正直、かなり厳しい。
題材としては決して悪くはない。
悪くはないのだが、構成力と演出力のなさが致命的である。
次々と予想を裏切り期待も裏切るストーリー運びに、憤死者続出の恐れ有り。
全く見るところの無いゴミとまでは言いませんが、鑑賞には愛が要求されます。
☆一つが妥当かとも思われたのですが、一応評価できる点もいくつかあること、
それと演員さんたち(ただしヒロイン・水霊光役以外)に敬意を表して
☆二つにしておきます(^^;
尋秦記 ☆☆☆☆
2001年 全40話
現代。香港の特殊警察官・項少龍は過ぎ去った愛する女性との時を取り戻すため、
ひょんなことからタイムマシンの起動実験に協力することになる。
目的地は紀元前247年。戦国時代を終わらせる歴史上最初の皇帝、
始皇帝の即位式を記録してくる使命が彼に課せられた。
ところが装置は誤作動を起こし、彼が実際に降り立ったのは
本来の目的地よりも三年早い紀元前250年の趙の国だった…
戦国時代に降り立った一人の現代人が繰り広げる、愛と冒険のSF武侠古装活劇。
これは、素直に面白い。
設定を見てもわかる通り、武侠モノとしてはかなり変化球なのだが
しかし息もつかせぬストーリー運び、予想もつかない展開、
次から次へと押し寄せるピンチを機転と侠気で乗り越える主人公、と
これはまぎれもなく武侠ドラマです。
思わず吹き出すお気楽なノリと、それに対し意外なほど練りこまれたストーリーに釘付け。
とりあえず、観ておいて損はないです。
碧血剣 ☆☆☆☆
2006年 全30話
明朝最後の皇帝、崇禎の時代。国のために尽くした忠臣・袁崇煥は
反逆者の汚名を着せられて崇禎に処刑され、その一族は皆殺しとなった。
一人生き延びた息子の袁承志は復讐を誓って崋山に篭り、修行に明け暮れる。
そして十二年。世は乱れ、民衆の嘆きは闖王・李自成による反乱へと向かい
その一方で、塞外からは虎視眈々と後金(清)が中原を狙っていた。
一つの王朝の終わりという時代の荒波の中で
父の仇討ちを期す主人公・袁承志の波乱の冒険を描いた武侠歴史活劇。
何はともあれアクションのレベルが最高。これだけでも観る価値はあると言えるでしょう。
金庸原作ながら歴史モノとしての色が濃く、
キャラクターや出来事の破天荒さなどは相変わらずだが、
だいぶ重厚に進むところもある。これは評価の分かれるところか。
とはいえ、何だかんだで観ている間は文句なしに楽しいということは間違いない。
金庸ものということで、数多くのイカす爺・親父たちとの出会いも期待して良いです。
八大豪侠 ☆☆☆
(邦題:八人の英雄)
2005年 全40話
北方の金の侵攻により二人の皇帝が捕えられ、都を江南・臨安に移した南宋の時代。
金を討つべく戦った南宋の将軍岳飛は奸臣秦檜の策略によって謀殺され、
朝廷で秦檜に歯向かえるものは誰もいなかった。
そんな中、かつての北宋の遺臣たちによって秘密組織・豪侠が結成される。
打倒秦檜、国土回復を目指す豪侠の英雄好漢八人が繰り広げる
数々の任務と戦いを描いた武侠アクションドラマ。
良くも悪くも王晶ドラマの典型といった感じ。
1本6話程度の中編をひとつの事件として、オムニバス形式風に進めるストーリー運びは
それなりに変化に富んでいてなかなか楽しいし、キャラクターの魅力も十分。
また王晶監督らしい「どんでん返し」も頻繁に使われており
これがカッチリ決まった時には素直に「あっ」と驚かせてくれる。
ただし「良くも悪くも」と書いた通り、時に裏をかくことばかりに終始し
視聴者置いてけぼりといった状態になることもあるのは何とも。
そこのところは、人によって好みの分かれる部分かも知れない。
雪山飛狐 ☆★
2007年 全40話
清代初頭。闖王・李自成が遺した秘密にまつわる因縁から
血の歴史を歩んだ側近の四将・胡家、苗家、田家、笵家の子孫たち。
江湖に飛天狐狸の異名を取る胡一刀、
そして同じく打遍天下無敵手と名高い苗人鳳
雪山から始まる二人の戦いを皮切りにした、親子二代に渡る恩讐と戦いの物語。
金庸原作を王晶監督でドラマ化という危険な化学反応。
その成果はというと…やはりいまひとつうまくなかったようです(^^;
原作の枷によって王晶持ち前の破天荒さ、勢いが失われてしまった。
人物描写が無茶苦茶とか演出がダメとか、そういったことはないのだが
言ってみれば混合液の中身が分離して、下に沈殿がたまってしまっているのに
上澄みの液だけをすくいとってしまったような感じかなぁ。
恋愛色が強い部分もあるので、逆にそういうものを楽しんで観れるなら
これはこれである意味「アリ」だと感じる人もいるかも知れない。
予想の範疇だが、爺的にはぜんぜん期待できなかったのは個人的に痛かった。
游剣江湖 ☆☆☆
2006年 全40話
明代。江湖の運送護衛業・鏢局の世界と武林を舞台にした武侠群像劇。
鏢局を営んでいた亡父を持つ青年・孟元超は
師父との山中での修行を終え、江湖に降り立った。
そこから様々な男女の愛憎と友情、恩讐、確執の物語が始まる…
軽妙な語り口と魅力的な人物描写によって
どんどん続きが気になって観てしまう…というのは良い武侠ドラマの基本条件であり、
その点においては及第点以上の出来であることは間違いない。
ところどころ粗もあるものの、二転三転する話の勢いで
それを気にならなくしてしまう演出も見事。
ただし人物の心理描写に関してややもたつきがあったり、
終盤やや失速してしまった感があるのが残念なところ。
そのために全体としての星評価はやや低めになったが、
ともかく観ている間はしっかりと楽しめることは間違いない。
楚留香傅奇 ☆☆
(邦題:怪盗 楚留香)
2007年 全43話(Part1:13+Part2:16+Part3:14の三部構成)
古龍原作の武侠活劇。
砂塵舞う西域と江南を舞台に、
江湖にその名を知られる怪盗・楚留香と仲間たち、
そして彼らが巻き込まれるいくつかの数奇な事件を描く。
基本的なキャラクターはそのままに、三部構成で三つの事件を連続的に描いています。
独立しているようで各章はリンクしているので、第一章から順に観ましょう。
多点同時進行があまり上手くなく、そのくせ多用するので
内容は全体的にかなり散漫な印象です。演員に思い入れがないとつらいかも。
これはひとえに第二章のゲストキャラクターが出色であったためです。
武侠ドラマのキモはキャラクター力だなぁ、と逆説的に再確認させてくれました。
アクションは多いし、粗さは目立つもののギミックもそれなりに仕込まれているのですが…
たぶんおなじ☆三つなら、他のドラマのほうが面白いと思います(笑)
スンマセン、やっぱ☆ふたつにしました(爆)
大唐游侠伝 ☆☆☆★
2007年 全32話
舞台は唐代中期。時の皇帝・玄宗は楊貴妃にうつつを抜かしており、
皇帝の腹心安禄山が権力の座を狙っている。
そんな中、陰謀により父を亡くした若者・鉄摩勒は、とある目的を秘め
義父と共に、亡父の義兄弟である当代随一の剣客・段圭璋のもとを訪ねていた…
唐王朝の転換点となる一大イベント「安史の乱」を下敷きに
父の仇討ちを期す主人公・鉄摩勒の波乱の冒険を描いた、
梁羽生原作改編・張紀中製作総指揮による武侠歴史活劇。
すいません、最後の一行、「碧血剣」から一部コピペしました。
…が、実際のところ、毛色は似ています。
4:6もしくは3:7くらいで古装ものと武侠のハイブリッドな感じ。
武侠ものとして基本的なガジェットは取り揃えられており、
アクションも見せ方・映像技術共にハイレベルです。
とはいえこの手の歴史ハイブリッド武侠のご多分に漏れず、
歴史イベントが動き出すと良くも悪くも破天荒さが押さえ気味になってしまうので、
ここは好み・評価が人によって動くところですね。
個人的にはもうひとつ、突き抜けっぷりが欲しかった。
ともあれ、全体としては平均点以上の面白さは保証されています。
☆三つですけど、実質三つ半くらいです。
絲路豪侠 ☆☆☆
(邦題:シルクロード英雄伝)
2003年 全20話
前漢代の西域。
手に入れた者は天下無敵の力を得ると言われる天竺の秘宝・孔雀刀は
その当時、西域に流れ着いていた。
平定された西域を守護する武装集団・飛駝商隊と、
孔雀刀を求めて侵攻する天竺の密教集団・呪奴。
中原の刺客・燕逍遥は、とある依頼を受け、両者の衝突する西域へと足を踏み入れる…
孔雀刀を巡って交錯するさまざまな陰謀と思惑を描いた、武侠伝奇活劇。
前評判はかなり悪いドラマだったのですが、
決して作りが不真面目、適当、いい加減ということではないようです。
むしろ様々な伏線を出しては回収するといったミステリじたての作りは
プロット的にはなかなかで、観ていて謎解きや組み立ての楽しさを味わえます。
ただし、悪いのは、端的に言うとドラマ作りが「下手」ということですね。
ただでさえ謎かけ式でプロットがややこしいのに
伏線の見せ方や場面切り替え、流れ構成などがこなれておらず、
結果として、観る方に一定の労力を要求する内容となってしまっています。
とはいえ砂塵舞う西域というロケーションは相変わらず絵になるものであり、
また役者さんも華は少ないながらもなかなか頑張っており、好感度はそこそこ。
他に面白いドラマもありますが、20集という軽めのスケールも
考えようによっては悪くはないかも知れません。
神話 ☆☆☆★
(邦題:The Myth 神話)
2009年 全50話
フリーの青年カメラマン・易小川は、ひょんなことから発掘品の宝箱によって
始皇帝が中国統一を成し遂げた秦代へタイムスリップしてしまった。
一方、現代に残された小川の兄、考古学者の大川は
残された手がかりから小川失踪の謎を追い始める…
現代と古代、二つの視点を同時に追いながら進む、
時空を隔てた数奇な運命を辿る古装SFドラマ。
タイムスリップものということで『尋秦記』と似通っていますが、
こちらはより現代風にブラッシュアップ&現代との同時進行構成が異なっています。
これでもかとばかりに繰り出される悪ノリ楽屋ネタは良い意味で突っ込み必至。
主人公の軽妙かつ痛快な武侠的英雄好漢っぷりにどんどん引き込まれて観て行くことが出来ます。
ただし「恋愛」が物語を貫く大きなテーマであり、特に中盤以降それがクローズアップされてくると、
人によっては少々胃もたれするところもある…かも知れません。
ハチャメチャな展開に突っ込みどころも多々ありますが、ドラマとしての完成度はなかなかのものであり、
50集という長尺を押してでも一見の価値ありと言えます。
永楽英雄兒女 ☆★
2004年 全39話
明の第三代永楽帝の時代を舞台に
宮廷に江湖に繰り広げられる永楽帝のおてんば娘・蛮公主と
彼女に惚れられた朴訥なお調子者青年・馮天錫のドタバタ活劇。
永楽帝と、彼によって帝位を奪われた先帝・建文との確執とかいったよーな
本筋もあるにはあるのですが、いかんせん全ての要素がとっ散らかっており、
非常に散漫かつ行き当たりばったりにストーリーが進みます。
コメディを売りにしている割には下品・稚拙なものが多く、
それらがきちんとした「芸」になっていません。
大げさなSEに、音楽はこのプロデューサーは特に顕著ですが、相変わらず借り物ばかり。
余程何か惹かれるものがない限りは、正直、とても人におすすめできません。
やまなし・おちなし・意味なしとはこのことです。
七侠五義 ☆☆☆
2011年 全37話
北宋の第三代真宗の時代を舞台に
開封府の名判官・包拯とその仲間たちが巻き込まれる
様々な事件を描いた同名の古典小説改編の武侠サスペンス活劇。
おおむね作品としてのクオリティは及第点を満たしており、
包大人が腹芸なども駆使してあれこれ皇宮内の陰謀に挑んでいったりする一方で
アクションのほうもきっちり見せ場を用意していたりと、そつがないです。
ただし中盤ごろからだんだん箱庭の狭さというか、展開が若干もたついたりするところもあり、
オムニバス形式ゆえの縦糸の弱さから、鑑賞が足踏みしてしまう可能性も。
良くも悪くも突き抜け度がもうひとつといったところでしょうか。
(まあそういうのを求める作品ではないのかも知れませんが)
流星胡蝶剣 ☆☆☆
2010年 全30話
江湖の二大勢力"孫府"と"十二飛鵬幇"の抗争、
そしてその間に位置する暗殺集団を擁する妓楼"快活林"を舞台に
江湖に生きる人々の恩讐と愛憎を描いた、古龍原作改編の武侠陰謀活劇。
古龍原作ドラマの中では(とか言えるほどそんなにたくさん観てるわけではないんですが)
屈指の出来だと思います。
終始一貫した人物描写、矛盾のないしっかりしたストーリー構成と丁寧なキャラクター描写。
観ていて古龍小説の文章が行間に見えてくるくらいによく出来ています。
決して場面は多くはないのですが、アクションも良好。
ただ、これもまた古龍原作ということで人物関係のドロドロがけっこう話の中でのウェイトが大きく、
観ていて疲れてくることもままあります。
その辺りは痛し痒しといったところです。
NEW
関西無極刀 ☆☆☆★
2003年 全20話
砂塵吹き荒ぶ唐代の西域を舞台に、
宝刀・無極刀のありかを求める江湖の人々の思惑と
その中で翻弄される一組の少年少女の運命を描いた武侠文芸活劇。
張紀中プロデュースということで一定の品質は保証されています。
武侠ものですが、"アンチ武侠もの"と言っても良いテーゼが全編通して貫かれており、
普通の武侠もの的展開を期待してしまうと、人によってはもどかしく感じてしまうかも。
人の命が砂粒のように軽い唐代のサツバツとした西域・江湖の空気が
実によく描かれており、元ネタ映画からしてウェスタン武侠などと呼ばれるくらいです。
好みは分かれるかも知れませんが、一見の価値あり。
全20話と短めにまとまっているのも鑑賞しやすいポイントだと思います。
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三国演義 ☆☆
1994年 全84話
日本でもおよそ知らない者はいないというほど有名な「三国志」
その原作である三国志演義(原題「三国演義」)を原典に忠実にドラマ化。
漢王朝の末期に起きた民衆の武装蜂起・黄巾の乱を引き金に
魏・呉・蜀の三国が興り、そして最後は晋に帰結するまでを描いた一大叙事詩。
個人的には☆評価自体をつけられない作品なのだが、
まあ出来るだけ客観的に見るとこれくらいということで。
というか、これでもずいぶんオマケして☆二つだと思う(^^;
「三国志(三国志演義)」が好きなら問答無用で見ましょう。
そうではなく、特に思い入れがない人にとっては
やはり経年劣化が厳しい作品なので、途中で退屈してしまうかも。
繰り返しになるが、個人的にはこれ本当に大好きです。
成吉思汗 ☆☆☆☆
2000年 全30話
12~13世紀のモンゴルに生まれ、アジアに巨大な帝国を築き上げた草原の英雄
チンギス・ハーンの激動の一生を描いた歴史大河ドラマ。内蒙古製作。
歴史ドラマというと堅苦しく冗長、
あるいは尺が詰っていて感情移入しづらいといったイメージがあるかも知れないが
このドラマの場合あくまで一人の英雄の叙事詩として作られているため、
軍記物として普通に楽しめる内容となっている。
本場モンゴル産ということで、連続ドラマ形式というたっぷりとした尺の中
そこいらのパチモノとは違う確かなモンゴルの空気が画面から感じられるのも実に良い。
主人公のチンギス・ハーンだけではなく、
彼が人生の中ですれ違う様々な人物もまた
魅力に溢れて生き生きと描かれているのも特徴だ。
歴史ものが好き、あるいはチンギス・ハーンが好き、
このどちらかに当てはまるなら是非観ましょう。
一つだけ難を言うなら、このドラマを先に観た後で「射雕英雄伝」を観てしまうと、
チンギス・ハーンの描かれ方のあまりのギャップに
あちらが楽しめなくなってしまう恐れがあるという点だ(笑)
まあそんな心配が必要な人はなかなかいないと思うが、
先に「射雕英雄伝」を観てからコレを観た方が良いです。
東周列国・春秋篇 ☆☆☆☆☆
1996年 全30話
古代中国の王朝・周が東へ遷都してから、秦が全土を統一し初の帝国を築くまでの
五百年間にわたる春秋戦国時代の興亡を描いた歴史大河ドラマ。
前編にあたる「春秋篇」では春秋時代の二百年の出来事が描かれる。
ドラマ「成吉思汗」は一人の人物にフォーカスし、
30話という長い尺をたっぷりとそれに用いることによって
「堅苦しく冗長、あるいは尺が詰っていて感情移入しづらい」
という歴史モノの問題点を見事にクリアしていたが、
このドラマでは各々のエピソードを短編として独立させることによって
毎回描かれるテーマ、登場する人物、展開する出来事を絞り込み
絶妙のバランスでエンターテインメントとして成立させている。
はっきり言って、面白い。
個々のエピソードの面白さもさることながら
全体を貫いて描かれる歴史の流れの無情さも秀逸。
それらを遺憾なく表現してみせる役者さんたちと諸々の舞台装置も見事。
やや古いドラマであるためか、音が時々くぐもって聞き取りづらいこともあったので
☆四つ半くらいかも知れなかったのですが、
オマケして五つにしておいても良いと思わせるものが確かにありました。
歴史好き、古装好きならコレは外せません。観ましょう。
東周列国・戦国篇 ☆☆☆☆
1997年 全32話
古代中国の王朝・周が東へ遷都してから、秦が全土を統一し初の帝国を築くまでの
五百年間にわたる春秋戦国時代の興亡を描いた歴史大河ドラマ。
後編にあたる「戦国篇」では戦国時代の三百年の出来事が描かれる。
直接的に繋がるわけではないが
「春秋篇」から続く時代の流れでそのまま鑑賞という流れが一般的だろう。
よってこれ単体での紹介というのはしづらいのだが、
とりあえず言えることは「春秋篇」が時代を描いたドラマだったのに対し
「戦国篇」はどちらかというと人物を描いたドラマだということであり、
それによる功罪もまた存在するということだ。
全体的なクオリティでいうと春秋篇には一歩劣りますが
それでも歴史ものとしては及第点以上の出来だと思います。
☆3つ半くらいが妥当だったかも知れませんが、
あまりにも美しいゴスペル調のアカペラ「詩経」エンディングにオマケして☆4。
「春秋篇」「戦国篇」全部合わせると62集の長編になりますが
それを押してでも観る価値はあるでしょう。
水滸伝 ☆☆☆☆★
1998年 全43話
「三国演義」と並んで中国四大奇書に数えられる原作(百二十回本)を
同じく「三国演義」をドラマ化した中央電視台が映像化。
北宋の時代、真っ当に生きることを望みながらも
止むに止まれぬ事情により山賊に身を落とした好漢たちが山東・梁山泊に集う。
その戦い、生き様、そして行く末を描いた武侠大河ドラマ。
武侠ものの原型とも言うべき波乱万丈のストーリーは
次々と続きが気になり、黙々と見続けてしまう中毒性がある。
個々の好漢たちのエピソードそれぞれがいちいち面白く、
それらが集束して一つの大きな流れになり、そして散って行くというこの一大叙事詩は
観終わった後に心に確かな余韻を残します。
ドラマ作品としての完成度がかなり高く、原作を知らなくても普通にオススメ。
アクション設計、音楽、舞台装置、演員など全体的にレベルが高く、
武侠エンターテインメントとしての娯楽性も十分に備わっている。
荊軻傅奇 ☆☆
2004年 全32話
紀元前の戦国時代末期。
乱世を終わらせ中国史上初の統一を成し遂げた秦の始皇帝、
その始皇帝を暗殺しようとした男・荊軻の一生と
彼がその人生で行き交う様々な人物の思い、意地、そして生き様を描いた古装群像劇。
人物描写は悪くはないし、舞台装置もまずまず、
ストーリー運びにも無理はないのだが、
いかんせん「クソ真面目に」ドラマを作りすぎている感がある。
ありていにいうと、観ていて疲れるのです。
人物に入れ込むことができれば、なかなか面白く観れると思うのですが、
こればかりは個人差があるので何とも言い難いところ。
だいたい五話六話のあたりまで観て、自分に合っているのか判断するのが良いかも。
☆は二つ半ぐらいが妥当なところでしょうか。
(さすがに「大旗」と同列にするのは失礼だよな^^;)
楊家将 ☆☆☆
1991年 全32話
「三国演義」と並ぶ中国の人気作品を山西電視台が映像化。
舞台は宋代初期。中原を制覇した宋と、その国土を巡って南下をはかる契丹族の遼。
二つの勢力の争いの中に翻弄される亡国の将、楊継業と
その一族の壮烈な生き様を描いた古装戦争劇。
なにぶん年代ものということでその辺込みでの評価ですが、
たぶん原作の好みや相性の問題もあるんだろうなぁ。
とにかく次から次へと苦労続きの展開で、
観ていてぐったりしてしまうことも少なくありませんでした。
まあ、まるっきりの徒労ではなく、それなりに伝わってくるもの、得るものは
確かにあったのですが…
物語の主な舞台となる山西をロケ地とした(たぶん)場面のかずかず、
地に足の着いた人物描写など
ドラマを作っている側が、好きで作っているんだなぁということが
画面からきちんと伝わってくるのは、心地良い。
還珠格格 ☆☆☆☆☆
(邦題:還珠姫~プリンセスのつくりかた)
1997年 全24話
清・乾隆帝の時代。
生き別れた父と会うため、侍女と共に北京の都にやってきた少女・夏紫薇は
ひょんなことから義賊の少女・小燕子と出会う。
それが、後に皇宮を騒がせることになる還珠格格事件の始まりだった…
父娘の愛情、男女の愛情、嫉妬、陰謀、
様々な人の思いがうずまく皇宮を舞台にした、古装ホームドラマ。
これは面白い!
破綻なく緻密に構築されたストーリー構成や魅力溢れるキャラクター、
「いい加減さ」の皆無な丁寧な作り。ドラマとしての圧倒的な完成度の中で、
エンターテインメントの王道とは何たるかを存分に味わいつくせます。
24集と無駄なくコンパクトにまとまった尺の中で
作品世界にどっぷりと浸って、清代の空気を満喫できました。
武侠ものではないので打打殺殺は控えめながらも、
ストーリーの根底に流れる義侠心やころころと転がっていく絶妙なタイミングの引き
そして武侠ものではお約束の親馬鹿デレデレパパといった
本来の武侠ドラマ顔負けの諸要素も美味しい。オススメです。
大敦煌 ☆☆
2007年 全49話(上14+中18+下17の三部構成)
シルクロードの分岐点、西域・敦煌を舞台に、宋代に隠匿された秘宝・金字大蔵経と
それにまつわる人々の数奇な運命を描いた古装大河ドラマ。
宋代:西夏の野望とそれに翻弄される亡国の姫君、
清代末期:失踪した兄の消息を求める青年、
日中戦争間近の民国時代:敦煌の芸術に魅せられた若き画家、
と、時代を隔てた三つの物語が描かれる。
同じ舞台を使い、時代を辿って複数の物語を描くという試みは大変興味深く、
その舞台となる西域もロケーションとしては最高。
演員も一級品を取り揃えて、古装としての雰囲気作りはバッチリなのですが…
肝心のストーリー構成がかなり致命的です。
ドラマとしての盛り上げを全く考慮していないのかとさえ思える
凡庸以下の話運びや冗長な進行速度は、
「これだけの素材を揃えておいて…」と落胆せずにはおれません。
星は一つでも妥当かと思われたのですが、
演員さんに敬意を表して二つで。(って、こればっかだな…)
画面の雰囲気そのものは良いので、この長い旅路に出かける覚悟のある人は
視聴してみるのもまた一興かも知れません。
康熙王朝 ☆☆☆☆☆
2001年 全50話
清朝の四代皇帝、康熙帝。
成立後間もない清朝を安定させ、中国統一を成し遂げた
名君と名高い皇帝の一生を重厚に描いた、古装大河ドラマ。
前評判の高さは聞いていたのですが、それも納得の出来でした。とにかく、面白い!
舞台装置、演員、ストーリー、構成…これらが非常に高いレベルで融合し、
50集という長尺をじっくりと使って物語を描いていきます。
もちろん康熙帝本人だけでなく、周りの人々もまた
魅力たっぷりに描かれているというのは基本。
ドラマの進行速度は決して早くはないのですが、
舞台の上を賑わせて、こちらを飽きさせません。
時に笑いあり、時に涙あり。
そして何より「皇帝とはかくあるもの」を描き切ったストーリーには確かな説得力があります。
総合的な☆評価でいうと厳密には☆4.5くらいかなというところもあるのですが、
ともあれ50集という長さにひるんで手をつけていなかったりしたら、勿体無いです。
古装好きなら間違いなくお勧め。
封神榜 ☆☆☆☆
(封神榜之風鳴岐山) (邦題:封神演義)
2006年 全38話
紀元前11世紀に起きたといわれる古代中国の王朝・殷の滅亡と、その後を継ぐ周の成立。
二つの王朝の興亡を下地に、仙人道士が入り乱れて繰り広げられる超能力大戦を描いた
同名の古典伝奇小説のドラマ化。
范冰冰が主演で妲己役ということで、日本でもソフト化されました。
といっても、これは長大な原作の半分程度。
残り半分にあたる部分は「封神榜続集 武王伐紂」として、
続けて映像化されています。(2009年製作、日本語版は未発売)
そういうわけで、上部にあたるこのドラマなのですが、
じっくりと尺を使って古代中国のふしぎ世界を丁寧に描き上げており、
なかなかに楽しいです。
最新…とは言わないものの、CGやワイヤーアクションといった
武侠ドラマでおなじみの特殊効果を駆使した画面作りや、
元々の原作の持つ奇想天外・摩訶不思議・荒唐無稽な持ち味に加えて
適度にミックスされた独自要素・解釈の数々、
場面を盛り上げる劇伴曲など、バランスよくまとまっています。
ただし前半でじっくりと尺を使いすぎた反動か、
中盤以降から、やや「ノルマ消化」的に展開が詰っているようなところもありますが…
これは正直「もったいない!」と言いたいところ。
ともあれ全体としてはおおむね楽しめるドラマであることは間違いないです。
後編の日本語版発売を願って止みません。
大明王朝1566 ☆☆☆☆★
(邦題:大明王朝 ~嘉靖帝と海瑞~)
2006年 全46話
時は明朝中期、第十二代嘉靖帝の時代。
皇帝は二十年以上もの間皇宮の奥に引き篭って政務を放棄。
朝廷官府には汚職がはびこり
蒙古の侵入や倭寇の脅威を前にして、国庫は困窮していた。
緩やかに乱れていく世の中で、明日を、国を、民を思う者たちそれぞれの
様々な思惑と陰謀の交錯を描いた古装政治群像劇。
前評判通りの出来でした。人間ドラマが面白い!
明代中期という閉塞した時代を舞台に
それでも懸命に生きていく者達の生き様が、
重厚な演出、確かな演技力を備えた役者、荘厳な舞台装置によって
じっくりと丹念に描かれます。
派手なアクションなど要らない。会話劇だけでここまで物語は面白くなるのだなぁと
改めて実感させてくれます。
ときどき編集の意図が不明だったり、
群像劇であるが故に話が右へ左へと移るのがもどかしかったりもする時もあるのですが、
全体的にとてもハイレベルなドラマでした。
政治劇なので爺・オッサン率が異様に高いというのも、個人的に◎。
呂布与貂蝉 ☆☆★
(邦題:三国志 呂布と貂蝉)
2004年 全35話
後漢末期。
黄巾党の蜂起により国は乱れ、諸侯はそれぞれに野心を抱いて跋扈していた。
そんな乱世を舞台に、一組の男女が数奇な運命を辿りながら交錯する。
「三国志」の登場人物、呂布と貂蝉にスポットを当て
独自の解釈でその純愛を大胆に描いた古装伝奇ドラマ。
監督は陳凱歌(チェン・カイコー)です。
どう見てもネタドラマなのですが、
三国志だということを考えなければ、奇想天外な作品世界と話運びは
週刊少年漫画的な面白さがあります。
とはいえ、それは同時に説得力の欠如ということでもあるのですが…
演員さんや特殊効果まんさいのアクションなどは良いので、
深く考えなければあるいはアリかも知れません。
☆評価は二つ半くらいが妥当ですかね。
一枝梅 ☆☆☆☆☆
2008年 全20話
朝鮮王朝の第十六代・仁祖の時代。
大陸では清が興って明を滅ぼすその頃、
都・漢陽では、どんな厳重な警備をもすり抜けて貴族の館に忍び込み
犯行現場に一枝の梅の絵を残して去る、謎の義賊の噂が世を賑わせていた…
王朝をめぐる陰謀とその中に翻弄される運命、そして絡まり合う愛情と相克を描いた
韓国産・古装大河アクション。
韓国古装ですが、まずアホみたいな話数の長さがありません。
そしてエンターテインメントとして、とても完成度が高いです。
隙のない良質で丁寧な作り。
時にお約束に絶妙に応えつつ、時にこちらの予想を外す絶妙な話運び。
魅力あふれる数々のキャラクターと、気になるそのそれぞれの行く先。
20集という必要十分に整えられた尺の中で、存分に大河ドラマを楽しませてくれます。
これはおすすめです。
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以下、鑑賞予定作品(随時追加されます)
・萍踪侠影(邦題「ヒロイック・レジェンド」/武侠ドラマ・全35話)
・小魚儿與花無缺(邦題「プライド」/武侠ドラマ・全40話)
・天龍八部(武侠ドラマ・全40話)
・漢劉邦(邦題「劉邦と項羽」歴史大河ドラマ・全35話)
・風雲(邦題「風雲」「続・風雲」/武侠ドラマ・総集編全5+4集)
・海難(邦題「ビーチ」/青春ドラマ?・全20話)
・雍正王朝(歴史大河ドラマ・全44話)
・侠影仙踪(中文版/武侠ドラマ・全36話)
・鹿鼎記(武侠ドラマ、84年版・全40話)
・商道(韓国産/古装ドラマ・全50話)
・大唐芙蓉園(邦題「楊貴妃」/歴史大河ドラマ・全30話)
・侠侶探案(邦題「剣武侠侶」/武侠ドラマ・全2話?)
・貞観之治(邦題「皇帝 李世民」/歴史大河ドラマ・全50話)
・新上海灘(邦題「新・上海グランド」/準古装ドラマ・全42話)
・朱元璋(邦題「大明帝国 朱元璋」/歴史大河ドラマ・全46話)
・大秦帝国(歴史大河ドラマ・
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