調査

デジタル技術が「お役所体質」の改善を推進--アクセンチュア調査

NO BUDGET

2016-12-25 07:00

 アクセンチュアは11月15日、福祉サービス、警察・司法、税務、出入国管理、年金・社会保障、行政といった、市民に直接かかわるさまざまな機関におけるデジタル技術の導入状況をまとめた調査レポート「Emerging Technologies in Public Service」を公表した。それによると、高度なアナリティクスをはじめとするデジタル技術は、行政や公共サービスに携わる行政機関に急速な変化をもたらし、規制コンプライアンス、レガシーIT基盤への対応や役所文化といった、長らく指摘されてきた問題の克服を推進。市民のニーズ沿った行政サービスの実現に貢献することが明らかになったという。同社日本法人が12月14日、抄訳で伝えた。


 それによると、調査対象となった行政機関の3分の2以上(70%)がデジタル技術のもつ可能性を評価していたものの、検証を終えて本格導入に移るケースは少数(25%)に限られるという結果となった。なお、ほとんどの組織で依然として旧来型の業務基盤が用いられている中でも、予測モデリングを含めた高度なアナリティクス技術に代表されるデジタル技術は、かつてない規模で導入されつつあるとのこと。

 予測モデリングを含めた高度なアナリティクスの導入を進めている行政機関の半数近く(48%)は、こうした技術の主な導入目的として「職員の業務改善やサポート」を挙げており、5分の4(80%)の回答者がこうしたデジタル技術の導入によって、職員の「仕事の満足度」が向上すると回答した。

 調査対象となった行政機関において、高度なアナリティクスは「業務パフォーマンス評価」に用いられており、年金/社会保障(50%)、税務(49%)の各分野では、回答者の約半数が導入にあたって最も重視する理由として挙げている。また、「データ保護やセキュリティの問題への対応」は、出入国管理では52%、税務では46%、年金・社会保障では39%と、複数の分野でアナリティクス活用を行う最大の理由として挙げられた。

 また今回の調査では、「市民の満足度の向上」のためには、動画分析や生体認証、機械学習、モノのインターネット化(IoT)といった、さらなるデジタル技術の導入が重視されていることが明らかになっている。回答者全体の4分の3以上(78%)が、機械学習技術を導入中、もしくは導入済みと回答している。

  • 最新テクノロジー導入のメリット
  •  本調査において、デジタル技術の導入に期待されるメリットとして最も多く挙げられたのが、「自動化による働き方の改善」「サービスの改革と新サービスの開発」「コスト削減」だった。


 デジタル技術導入のための投資を決定する際に最も期待する点は、すべての分野の回答者に共通して「リスクの低減とセキュリティの向上」が挙げられており、これらに関連する技術は、税務および年金・社会保障に関連する機関で検証や導入が最も進んでいることが明らかになった。

 分野別にみると、税務、行政、警察・司法、出入国管理の各機関では、「サービスの改革と新規サービスの開発」が2番目に多く、総合社会サービス、年金・社会保障分野では自動化による業務効率化も期待されるメリットとして挙げられている。

 この調査で同社は、日本、オーストラリア、フィンランド、フランス、ドイツ、ノルウェー、シンガポール、英国、米国の9カ国において、市民サービスの創出・維持・拡大および予算・購入・政策決定に関わる、さまざまなレベルの行政機関の技術責任者774人を対象に、デジタル技術の導入および試験導入の状況についてのオンライン調査を実施した。また、補足調査として対象各国の技術専門家に対し、さらにテーマを掘り下げた定性調査も行った。調査対象としたデジタル技術には、高度なアナリティクスおよび予測モデリング、モノのインターネット化(IoT)、インテリジェント・プロセスオートメーション、動画アナリティクス、生体認証/アイデンティティ アナリティクス、機械学習、自然言語処理/生成が含まれる。

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