データセンター投資、2016年は8割増--今後は建設費高止まりで手控えに

三浦優子

2016-05-13 13:06

 IDC Japanは5月12日、国内データセンターの投資動向を発表した。

 企業のITインフラのクラウドサービス利用がキャパシティ拡大を牽引することから、2015年末時点の国内事業者データセンターの延床面積は193万7140m2で、2020年末には212万682m2に達すると予測する。

 投資額で見ると、2016年に国内事業者データセンターの新設と増設の投資額は大規模な新設プロジェクトが複数完了することから、前年同期比81.9%増の1562億円となると予測している。

 ただし、2017年以降については、「2020年の東京五輪開催に向け、建設コストは高止まり状態となっている。そのため、2017年以降はデータセンター建設を手控えるところも出てくるのではないか。2020年まで低迷する可能性もある」(IDC Japan リサーチマネージャー 伊藤未明氏)と2016年が当面の投資額の上限となる可能性があると指摘する。

 データセンターへの投資は、IT投資を上回って伸びているという調査結果だが、「データセンターへの投資には、新規顧客獲得ではなく、既存顧客のために施設に投資しなければならない側面がある」(伊藤氏)ことからIT投資とは必ずしも投資動向が一致しないことになる。

耐震基準を満たすための建て替えが必要になる日本

 IDCは、日本だけでなくワールドワイドでデータセンターの投資動向を調査している。ワールドワイドでは2011年から、国内では2012年から定期的に全数調査でのセンサス調査をしている。

 調査の特徴は、一つの施設に複数の施設が間借りしているものはカウントせず、物理的な数、面積を調査。事業者のデータセンターだけでなく、10m2以下のものもある小規模な企業内データセンターも含めてカウントし、今後5年間の予測も算出している。

 2015年末時点では、企業内データセンターは8万544カ所、事業者のデータセンターは593カ所。サイト数では企業データセンターの数が圧倒的に多いものの、企業内データセンターのうち54.1%は、サーバクローゼットと分類する10m2未満のもので、31.7%が10~50m2のサーバルームに分類されるもの、11.9%が50~200m2の小規模データセンターに分類されるもので、規模が小さいものがほとんど。

IDC Japan リサーチマネージャー 伊藤未明氏
IDC Japan リサーチマネージャー 伊藤未明氏

 「サーバクローゼットは、通常の部屋でいえば4畳半未満であり、企業内データセンターの半数は4畳半程度ということになる」(伊藤氏)

 それに対し事業者のデータセンターは5000m2以上の超大規模にカウントされるデータセンターが11.0%、2000~5000m2の大規模データセンターにカウントされるものが12.3%と規模が大きなものがあることから、「事業者データセンターは、企業内データセンターよりも平均規模が大きくなっている」(伊藤氏)という違いがある。

 延床面積は、企業内データセンターは2015年末時点で723.6万m2で、事業者データセンターは193.7万m2

 「サーバルームには、サーバ設置スペース以外に監視室、電源設備室などがあり、搬入のためのトラック駐車スペースを持っているビルもある。大規模の場合、サーバ設置スペースは全体の4割から5割程度だが、サーバ設置スペース以外の部分も含めたものを延床面積としている。そのため、延床面積で比較すると、企業内データセンターに比べ事業者データセンターの数値がより大きくなる傾向がある」

 また、企業内データセンターの中でも「古い施設では、かつてメインフレームを置いていたスペースに、PCサーバを設置しているケースがある。メインフレーム時代は、ハードウェアが大きかった上に専用プリンタ、巨大な冷却装置で大きなスペースを取っていたが、それがPCサーバに集約されると、実際のサーバの専有面積は小さくなるだろう」という。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]