キルケゴール、訳:桝田啓三郎、現代の批判、他 1 篇、岩波書店、1981。
cover より:
現代は情熱を失った時代であり、人々は分別をふりまわすだけで、決して自ら行動に出ようとはしない。──さながら 20 世紀の現代を予言したともいえる書。読者は読み進むにつれ、その批判の生々しさに、まるでつい昨日書かれた著作のようだ、と嘆声をあげずにはいられないだろう。「天才と使徒との相違について」を併収。
読了。
「昨日書かれた著作のようだ」とは JASPERS の言だそうです。確かに:
現代は情熱を失った時代であり、人々は分別をふりまわすだけで、決して自ら行動に出ようとはしない。
──ここだけを切り取ると、JASPERS のそれのように成るのでしょうが、全体を読むとねぇ……。本書では挙げられず、2013 年の日本で最も見られるもの、と言えば、格差じゃないかなぁ?
私には、天才と使徒との相違について の方が面白かった。著者の天才論には頷ける。
しかし、又、訳:桝田啓三郎、か……。うんざりして来た。
キルケゴール、訳:桝田啓三郎、死にいたる病 現代の批判、中央公論新社、2003。
読了。
ちくま学芸文庫版と同じ訳者だった…… orz。ちくま学芸文庫版から訳注を削った、という感じです。
しかし、死にいたる病 は 1848 年に書かれたものなんですよね。古臭い、と言うか、何と言うか……、飽くまで、私が受けた印象が、ですが。
現代の批判 の方は、2013 年の現在でも読めるかな? と思ったのですが、やはりずれていますね。1850 年前後のデンマークと 2013 年の日本とを見ると、当然ですよね。
セーレン・キルケゴール、訳:桝田啓三郎、死にいたる病、筑摩書房、1996。
back cover より:
絶望とは、人間の精神のみがかかる「死にいたる病」である。キリスト教界の欺瞞を批判しつつ、無限なる神との関係における有限なる自己(単独者)をめぐって、絶望と罪の諸形態を徹底分析し、考え抜く──精神の強化と覚醒のために。自己疎外におちいった現代人の魂の、その核心への肉薄が、いまなお鮮烈に私たちをとらえてはなさない。キルケゴール晩年の思索を、デンマーク語原典から訳出し、詳細をきわめる訳注を付す。
読了。
「詳細をきわめる訳注を付す」……。確かに。「解説」も約 100 ペイジ。いつも考えるのですが、こういう形って、どうなのでしょう? 私は唯正確な訳を読みたいだけなのですが。
Author:vurr