朗読コンサート Stimme vol.1 終了
《言葉と音楽の邂逅》と銘打った朗読コンサートシリーズの第一回目「詩と音楽の饗宴」が、無事に終了いたしました。ご来場くださった皆さま、そして来られなかったけれども、激励のメッセージをくださりお気に留めてくださった方々に心より感謝いたします。
まったく存じ上げないお客様から、「とても良かったです。第二回目も楽しみにしています」とおっしゃっていただいたり、お出でくださった方たちが皆さん喜んでくださっていたのが、とても嬉しく励みになります。
中でも、長くイタリアで活躍なさっていた声楽家の方に、
「声楽のレパートリーではカバーできない音楽的欲求が充たされ(…)コンサートが終わって、体の奥から、『幸せ!!!』という声が聞こえたのです。(…)作品の研究の深さに感嘆!!!(…)こういうコンサートこそ、声楽家の皆さんに聴いて頂きたいです」
とのコメントを頂いたことが・・・・。私が「やりたい」と思ったことを、こんなにも深く汲み取って頂いて、涙が出るほど嬉しかったです。この企画を立てたことが、充分すぎるほど報われた思いです。
私はずっと文学研究を続けてきて、自分は表に出るよりも、書庫に埋もれて文章で発表するほうが性に合っていると信じていました。けれども、子どもの小学校で絵本の読み聞かせボランティアをやるようになり、子どもたちのキラキラした目に囲まれ、また朗読教室に通うようになって、これまでいわば内向きに省察してきたことを、「表現したい」と思うようになっていきました。もちろん、論文や学会発表も表現の一つではあるのですが、ずっとアマチュアで音楽活動をしてきていたこともあり、パフォーマンスとしての表現をしたくなったのです。
そして始めた朗読コンサートですが、理解者・協力者に恵まれながらも、周囲には半信半疑の人も少なくなく、決して平坦ではありませんでした。けれども、昨日の手応えは、今後も活動を続ける強い励みになりました。
次回は10月5日(日)14:00〜、慶應義塾大学三田キャンパス内にある北館ホールで行います。
どうぞよろしくお願いいたします(*^_^*)。
(2014/02/03)
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コメント
こんばんは!うちだです。
「詩と音楽の饗宴」コンサート公演成功おめでとう御座います。ブログ文の行間から嬉しさが滲み出ています。"パフォーマンスとしての表現”というのはいいですね。
私の友人がアマチュアオペラ団のトップをやっていたとき、舞台に立って聴衆から拍手を貰うのは、一種のトランス状態に近くなると云った。この言葉に刺激されて朗読の舞台ですが、私も同じことをしたものです。これは品格の点で比較するに値しませんが。
次回のプログラム、マニヤック向け、専門家にはよりおもしろくなりそうですね。
投稿: masa | 2014年2月 3日 (月) 21時14分
masaさん、どうもありがとうございます!
私もアマオケ生活が長かったので、弾き終わった後の拍手が媚薬のような力を持つことはよく知っています(笑)。
このシリーズは、音楽と言葉とが呼応し合いながら進行していくのが一番の特徴です。劇伴音楽(=効果を上げるためのBGM)ではなく、わざわざ一個の作品として完成された曲を選んでの共演は、まずはテクストと音楽の選定、そしてどのように構成するかという所から作品空間づくりがスタートします。それは文学も音楽もある程度解っていなければやはりできないことなので、演奏家のアドバイスを頂きながらも大変な困難を伴う作業です。
独立した楽曲をテクストのBGMに貶めることは私にはできませんので(もちろん、初めからテクストと絡めることを前提に作曲されたものは別です)、音楽は音楽、詩は詩だけの呈示となります。これこそ、音芸術と詩芸術との、まさに邂逅だとしみじみ感じながら朗読させて頂きました。
「パフォーマンスとしての表現」と書くと、誤解されてしまうかもしれませんが、過ぎたるは及ばざるがごとしの言葉の通り、私はあくまで原作の雰囲気を大切にし、端正さを崩さないように心がけています。一人芝居のような読み方や、朗読劇、そして前回の教室で新顔の方が質問なさったように(耳だけで聴いた場合に解りにくいという理由なら一考の余地がありますが)単に読みにくいというだけの安易な理由で勝手に文章を改竄することは、文学者としての私のスタンスではないのです。と言って、やたら図式化したり書き込み記号に凝ったりして枠に囚われてしまい生気を欠いた読みではつまらないと思いますけれど(^^;。
ちなみに、私のテクストへの書き込みは、自分に判りさえすれば良いので、主に楽譜への書き込みと同じ感じでやっています。形式化はかならずや形骸化に繋がってしまいますので、ルーチンにならず、常に新鮮な発見ができると良いなと思っています。
投稿: ウルズラ | 2014年2月 3日 (月) 22時27分
コンサートの後のホットされているひととき、おじゃまさまで、ちょっとオシャベリを。
朗読のテキストをそんなにまで深く読み込んでいるとは、自分へ叱咤激励にもなりました。
さて、昨年末のNHK Eテレ「コンサート2013」番組に「CLASSICA」HPのタイトルがプロットされ、2014年はR・シュトラウス生誕150年で話題になりましたね。
ところで、そのオペラ「薔薇の騎士」1994年カルロス・クライバーとともに東京文化会館にやってきたマルシャリン夫人役の「Dame Felicity Lott」さんは私がファンとする人なんです。実はだいぶ前六本木にWEVEという音楽メデァCD・VTRなど専門のショッピングビル店があり、そこにオペラだけのコーナーがありました。そこで見つけたのが、カントリー風のワンピースをまとったなんとも貴族的な雰囲気を醸しだした写真のジャケット。それがロットさんのモーツアルトのアリアのCD。
それ以来憧れていましたが、その後随分月日がたった、2009年10月、NHKホールに来日したのです。R・シュトラウスの晩年のオペラ「カプリッチョ」の"最後の場”終演のあと、楽屋を訪ねていきました。憧れの人との対面でした。あの時のCDをみせ、それにサインを貰ったのです。
そして、ファンレターに返事をもらったのです、また来日して今度はリサイタルをやりたいと。
そして、東北地方の震災のあった直後の4月、東京文会館は17年ぶりと言うロットさんのリサイタル。これもよかったな、歌詞の対訳を調べるのに会館の音楽資料室へいったりして。震災の日本の明日がよくなりますようにと、アンコールでR・シュトラウスの「Morgen]を歌ってくれた。
その後一年、2012年4月、いまだに忘れませんとメールレターをおくり、それに温かい返事をいただいた。
ロットさんのサイン入りCDはフレームに入れて飾ってあります。
そう、ロットさんは私の心の友のようなものです。
masa
(拙ブログ2009/6月、2011/4月、2011/6月そして2012/4月)
投稿: masa | 2014年2月 6日 (木) 23時32分
masaさん、コメントをどうもありがとうございます。こういうお話は楽しいですね♫
素敵な思い出をお持ちで羨ましいです。と言いますのも、私は「ああ、素晴らしい」と感動しても「出待ち」や楽屋に感動を伝えに行けるほどの積極性と行動力を持っていないのです。それでもサインを頂いたのはヴァイオリニストのヘンリク・シェリングと、二度目に来日した時にユーリ・バシュメットに頂いた二つだけです。
今も大好きな歌手さんがいらっしゃるのですが、今度リサイタルの折にサインを頂こうかどうしようか、この期に及んでお悩み中です(苦笑)。
また、お話をお聞かせください(^_^)。
投稿: ウルズラ | 2014年2月 8日 (土) 12時10分