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« 出井さんがアドバンスニュースに登場 | トップページ | 『ジュリスト』2012年10月号(No.1446) »

2012年9月24日 (月)

本日の朝日社説は分かっている?

本日の朝日社説「労働契約法―非正規の改善へ活用を」は、それなりによく分かっている人が書いているようです。

http://www.asahi.com/paper/editorial20120924.html#Edit2

・・・大手スーパーのイトーヨーカ堂が今後3年で、正社員約8600人を半減させ、パートを約6800人増やす方針を打ち出した。安売り競争で低迷する業績を立て直すためという。

社員に占めるパートの割合は8割弱から9割に高まる。パートは時給制で、半年契約を更新しながら働く。

それだけ見ると、低い賃金で不安定な雇用が、またじわりと広がった印象を与える。

ただ、先の国会で成立した改正労働契約法は、この風景を変える可能性がある。

有期から無期への雇用転換を促すこの法律は、かえって「雇い止め」を誘発する懸念も指摘されている。だが、注目すべき点もある。「有期であることを理由に、無期雇用の社員との間で不合理な格差があってはならない」と決めたことだ。

正社員との待遇の差について「仕事内容が、このぐらい違うから」と説明する責任を会社側が負うと解すべきだろう。単に「パートだから我慢して当然」との姿勢は通用しなくなる。

ヨーカ堂の場合、パートを増やすのは、高齢化する顧客にきめ細かい接客サービスをするのが狙いという。安値だけでない価値を実現し、収益力を上げる責任を、これまで以上にパートに担ってもらうわけだ。

であれば、それに見合った処遇や、意欲と能力を引き出す昇進などの仕組みが必要になる。

法律の施行は来春になる見通しだ。それまでに各企業の労使は、不合理な格差の有無をチェックし、是正に向けた話し合いが求められる。

この動きは、正社員の働き方にも影響する。パートなど非正社員との間で、身分の違いではなく、仕事の違いで処遇を決める流れを後押しするからだ。

ただ、単に正社員の待遇を引き下げ、雇用保障を弱めるだけでは、社会が不安定化する。

確かに世間には、「ただ、単に正社員の待遇を引き下げ、雇用保障を弱めるだけ」を一つ覚えみたいに唱える人事コンサルタントもいるようですが(もっとも、コンサルトしているまっとうな企業があるという話を聞いたことはありませんが)、そういう人々が失念しているマクロ社会的な問題をちゃんと意識しているからです。

正社員の年功序列型賃金は、年齢とともに増える生活費をまかなうためのものだった。その代わり政府は、子育てや住宅などの分野で、公的サービスを拡充せずにすんだ。欧州の福祉国家との違いである。

仕事に応じた賃金になれば、家族を含めた生活に十分な額となるとは限らない。基礎的なサービスは社会で面倒をみる仕組みを、同時並行でつくりあげていくことが不可欠だ。

なんだか、どこかで誰かの本を読んだ跡がほのかに感じられなくもないですが、それはともかく、問題構成としてはこれくらいの構えが最低限必要なわけです。

(追記)

http://53317837.at.webry.info/201209/article_25.html(朝日新聞社説の「労契法改正で非正規改善」に?)

朝日新聞が、昨日の社説で「労働」について書いた。最近では珍しいことゆえに取り上げてみたい。濱口さんは高く評価されていたがが、自分としては(失礼!)、少し不安に思っている。

いや、実は、先日朝日の論説委員の方に説明したのが、わりとそのまま社説になってたものでして・・・。

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コメント

浅学ながら最近気付いたのがキリスト教的原理ていうのが基本的には (ローマ帝政い対する) 反権力、反権威ですよね。
欧米社会でもとりわけ、プロテスタントが主流の地域ではその趣が強いのかと。
だから、日本の保守とは根本的に思考が逆転しているのもむべなるかなと思う次第でございます。
あるいは日本が根本的に儒教社会故だけなのかもしれませんがまあよくわかりません。

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