故意か、過失(うっかり)か、不慮なのかで、賠償請求の有無、額が変わってきます。 置き石などのいたずらはあきらかに故意ですので、これにより運休や施設破損が生じた場合は、まず無条件に賠償請求をします。 踏切で列車の通過を待っているときに、誤ってアクセルとブレーキを踏み間違え、急発進して線路内に進入して列車と衝突などいう場合は、過失になろうかと思いますので、様々な事情、状況を考慮して賠償請求の有無を判断します。たとえば、携帯電話を使いながら運転していたとか、飲酒・酒気帯び運転とか、です。 ホーム歩行時に貧血で転倒して列車を止めてしまった、あるいは線路に転落して列車に轢かれた、などの場合も、状況を総合的に判断して賠償の有無を決めます。貧血で転倒したのか、突発的な自殺なのか、誰かに押されたのか、など、このあたりの判断は当局の検証結果による場合が多いです。飛び込み＝自殺とはなりません。くつが揃えてあるというだけでも自殺とは断定しないようです。駅の外の事情(経済事情、家庭や職場の事情などなど)を十分に考慮します。 バランスが非常に難しいですが、明確に自殺であっても、ご遺族にこれ以上に精神的、経済的負担を強いるのが困難な場合もありますし、だからといってペナルティなし、というのは鉄道側にすれば、いわば“飛び込まれ損”にもなってしまいます。また、今後の抑制にもなりません。一時期、JR中央線で飛び込みが急増したときは、抑制効果をねらい、多くのケースで賠償請求がなされたそうです。いわゆる、懲罰的損害賠償です。