高橋洋一兄貴w『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』


 ちょっとネット厨毒のみなさんに合わせてエントリー題名一部茶目っ気を発揮しました(わからない人はスルーしてかまいません)w。それはさておき高橋さんの新書をたまたま本屋で見かけたのですかさず購読。『財投改革の経済学』>『さらば!財務省』>本書、と難易度と値段の大きさが並んでいますが、もちろん新鮮な話題は本書の方が豊富です。


 基本的な視点は「上げ潮派」(日本で三人しかいないそうですが*1w)の特徴である成長率重視(デフレ脱却安定名目成長+小さな政府実現→日本の潜在成長率への寄与)のスタンスを、最近話題の「埋蔵金」、「暫定税率」、「公務員制度改革」、「地方改革」、日本銀行・財務省批判などを、ざっくばらんな対話形式で語り下ろした読みやすい内容になっています。日本の「官僚内閣制」とでもいうべき、官僚組織の問題先送り、情報隠蔽(御用学者論も高橋さんが書くと非常に説得力もつ 笑)、既得権無目的死守、政治家への日常的省益誘導的接触行為などが、まさに日本の問題の根源であるように思えるでしょう。上記の論点をここで詳しく書いてしまうと本書の営業妨害 笑)になるので自粛して、1箇所だけ引用。例の政府系ファンドへの批判的意見。

「そこ(=効果がないのに為替市場に介入する日本‥‥田中補遺)に注目した人が自民党でSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド、政府系ファンド)を提唱する人たちです。今、米国債は財務省が勝手に買っているわけなんだけれども、それに証券会社をかませたりして、もっと派手に運用しましょうという立場の人たちです。証券会社が絡めば手数料がたくさん落っこちるわけだから、「百兆の利権に群がっているんじゃないの」と言う人もいるよね(笑)。為替がスイスイ、スイスイと御都合主義で変更できるんだったら、そもそも変動相場制にならないんだよね。そういう素朴な疑問というのを分からないでやっている人が多いんだ。そんなに介入しちゃうと変動相場制にならなくなっちゃうでしょう(笑)」

1,2時間もあれば読破できる薄さと読みやすさが本書の最大の魅力でしょう。


*1:高橋、中川、竹中の団子じゃない三人です

 コミュニストはSEXがお上手?


 一昨日、試写会に招待していただき鑑賞。観たところはいまから20年前に職場だったところとちょうど道を挟んで真向かいの映画美学校。あんなに近くで何年か働いていたのに建物の中には入ったことはなかったので物珍しい。映画も非常に珍しいセックスを題材にしたドキュメンタリーの秀作。東西ドイツの統一で、いままで神秘のペールであった東ドイツのセックス事情が明らかに。しかも東ドイツの方がどうもセックスが偉くうまく、女性の満足度は異常に高く(オルガスム到達率85%)、しかもペニスも西よりも6mm長いという。これはどういった理由なのか? マルクス主義に即した社会的教育の成果なのか、はたまた経済的な制約が生み出したものなのか(女性の職場進出による騎上位かつ女性上位の交際慣習の成立など)、そもそも西ドイツの方がセックス市場が非効率的なのではないか、などなどいろんな角度から、東西ドイツのセックス事情を描いていて、時間も短いために偉くあっという間に観終えた印象。頂戴した資料にはガース柳下氏の「SEXをコミュニストから奪回せよ!」という文章があったが、いやコミュニストからの奪還というか、セックス市場への介入を、こんなにガース大帝が望んでおられるとは 笑)。

http://www.commusex.jp/(公式サイト)


 ところで男女ともに公営企業で働いていたわけで、その非効率的な労働時間の利用の反面で、セックス時間の機会費用がやたら低いのが、東ドイツのセックス上手の原因だったりして。つまり働くこともセックスすることもラーメン屋で行列を作っているのと同じ。暇(無駄)がないとできない。つまり社会主義が崩壊したのはセックスが上手になったからなんだよ、な、なんだってえぇ?!

 そして他方で、西ドイツの方は(非営利)セックスにかかる時間の機会費用が大きい。そのために機会費用の小さいセックス産業の成立余地が西ドイツでは生まれる、とか思ったりした*1。なかなか思考を刺激する映画である。


 しかしこれからはハリウッド大作は別に僕がわざわざ映画評もどきを書かなくてもいいから、こういった注目度がわりと低い、でもいい映画をここで紹介していくつもり。だから関係者の皆さん、田中を試写会にまた呼んでください 爆


 ところでT.コウェンがなぜ人はあんまりセックスしなくなるなど、わりとセックスと経済学関連のネタをまとめているので一括ご紹介。ここクリック

*1:不謹慎であるが、東ドイツでは営利セックス市場は成立していないためにアウタルキーになっていて、ひょっとしたら東ドイツ国民の厚生は営利セックス市場があれば改善されたかもしれない。例えば、性的な嗜好が多様なこと(例えば映画でも出てたSM、そして同性愛など)にどのくらい東ドイツの非営利セックス市場が対応していたかを考えてみてもいいかもしれない。もちろん非営利な範囲でフォローできる可能性もある。ボランティアセックスなど。映画の終りに東西ドイツが統一されてポルノショップなどに殺到する東ドイツ男性諸氏の映像やインタビューなども参考になる