読むと不謹慎かも知れないライトノベル+α

これからしばらくは、世界が災厄に見舞われるような設定のライトノベルなどは自粛されるのかも知れないのでしょうか?しかし言ってしまえば例えば銀英伝にだって核を使用する描写があるし、そもそも読書という娯楽自体が…というジレンマに陥るのも、ちと悲しい。という訳で、元々は「魔法少女まどか☆マギカ好きにオススメのライトノベル」で考えていたタイトルをそのまま流用して、「タイムリー過ぎて読むか読まざるか悩む…」的な感じに選んでみました。

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

魔法少女まどか☆マギカ観てるんなら読んでおくべきだろ、虚淵的な意味で…と考えていた件がもはや虚しい。クラスでわけると、まどかアーチャー杏子ランサーなのは言わずもがな、マミさんは近接戦闘を考慮するとアーチャーよりかはキャスターっぽい。さやかはセイバーオルタ。ほむらは完全にアヴェンジャーだこれ…てな具合で盛り上がれますよ!虚しいけど。
さて置き、Zeroの舞台って冬木=神戸で、阪神大震災がモチーフなんですよね。内容的には大地震がどうこう起きるような描写もないので、直接想起させる事もないですが色々な意味でタイムリーはタイムリー…なのかも知れません。
Strange Strange (HJ文庫)

Strange Strange (HJ文庫)

多分これが精神的に一番きつそう。最後の短編は本当に今読むと洒落になって無い。コミカルでポップな絶望感と同時多発テロ的な舞台設定は勿論のことやばいですが、キャラの心理描写が人の暗さ・黒さを浮き彫りにしてるのがね、もう。
個人的には大好物な物語だし、ラストの情景も変な希望が湧いてきて好きなのですが、流石に今読むのはなーと思わざるを得ない辺り、察して下さい。正しく文字通り、狂乱の暗黒小説!
塔の町、あたしたちの街2 (ファミ通文庫)

塔の町、あたしたちの街2 (ファミ通文庫)

壮絶なるバッドエンド。崩壊する街と被害を受ける人々。ヒロイン2人の辿る結末。こういった形で幕を下ろすライトノベルは非常に珍しいので、本来ならオススメしたいところなのですが、あまりにも状況が現実と重なっていて、内容以上に読むのが重くなるかも知れません。加えて、塔がもたらす恩恵がね…。
手放しで面白い、って話じゃないかも知れないし暗い気分にはなるので元々読む人は選んじゃう上での、今ですから。今後においても、そうは読めない全2巻。
天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

ライトノベル枠外ですが、これだけは外せないので。もう今から読むには遅すぎるかも知れない、恐るべき小説です。読んだ当時は子供心に衝撃を受けました、原発に対する人間のとるべきスタンスに対して。
物語は非常に面白いです。「日本の原発全てを止めなければ、最新鋭のヘリを原発に落とす」というテロ声明を軸としたストーリーラインと、作者が主張する原発と人との在り様。東野圭吾は、もう大分昔からこんな日が来る事をわかっていて、どうか来るなと思っていたのかも知れません。来ては、いけなかった。