『大乱闘スマッシュブラザーズX』

kodamatsukimi2008-05-08


 公式サイト http://www.smashbros.com/jp/index.html ASIN:B000FSELOS

・略して『スマブラX』。
 シリーズ1作目がN64、2作目がGCの『DX(デラックス)』で
 3作目のWii版本作はDが欠けてX。なぜえっくす。

・製作しているのは細かいことを言うと任天堂ではないのですが
 これまでの任天堂ブランドゲームで活躍してきたキャラクター、
 マリオとかリンクとかピカチュウなどが主となって
 オールスター入り乱れて戦う、対戦格闘ゲームです。
 任天堂は『ファイアーエムブレム』などを除いて
 キャラクター単体の魅力に頼るゲームが殆どないだけに
 あんまり知らないひとも大勢いらっしゃいますが。

・任天堂が対戦格闘ゲーム。殴り合い。珍しいです。
 その中身は『アーバンチャンピオン』とか『パンチアウト』のようなではなく
 スーパーが付かないほうの『マリオブラザーズ』で4人対戦するもの。
 体力ゲージがなく、相手を倒す方法はステージ外へ吹っ飛ばすリングアウト勝ちのみ。
 狭いステージで押しのけあい、時間内に落とされた回数が一番少ないひとの勝ち。
 操作は『スト2』とかの対戦格闘と同じなのですが、技入力は簡略化されているので
 ガチャガチャ乱打するだけでも楽しめます。

・このWii版の特徴は、ロードがたまに長いとか1人用モードが充実とか
 見た目がきれいになった気が最初するけどすぐ慣れるとか
 使用キャラクターが増えたけど、相変わらずこのひとだれだっけわからないとか
 ステージエディットとかカスリがあるとか
 色々あるのですが
 なんといってもオンライン全国対戦が可能になったこと。

・無線とかの設定は良くわからなくても
 LANアダプタを介してPCに伸びているケーブルをつなぎ変えてあげれば
 いつでも1人でも大乱闘が楽しめる。もちろん無料。
 顔が見えなくとも声は聞こえなくとも
 やはり回線の向こうに実在の人間がいるというのは違います。

・『スマブラ』は1人用モードがあっても、やはり面白いのは4人対戦。
 それがいつでも好きなときに出来るようになった。
 なんといってもそこが『スマブラX』の素晴らしいところです。
 対戦ゲームが気軽にオンラインで遊べるようになる。
 それだけで何も変わっていなくとも、それだけが大いに価値あるゲームです。



・『スマブラ』は、相手を倒す手段がリングアウトのみである、
 という一点で既存の対戦格闘を転換させた一品です。
 ガード、かわし、つかみから投げ、つながる連続技、距離を詰める移動の重要性など
 キャラクターの挙動とそれを操作する方法は
 他の対戦格闘ゲームとまったく変わるところはありません。
 他のゲームで鳴らした上級者が、1対1での対戦をするのでもきちんと楽しめる。
 見た目と違い手抜きはない仕様。間違いなく任天堂の「格ゲー」。
 でありながらガチャガチャ適当操作でも楽しめる。
 ブランドイメージに相応しくおとなもこどももおねーさんも、の全年齢向け。
 もっとも間口の広い格ゲーです。


・なぜなのか、どこが違うのか。
 多人数同時対戦ゲームは他にもあります。では何が『スマブラ』なのか。
 明らかな違いは、いつも画面上に並んでいる体力ゲージが画面下にあって
 単位が%で、多くのモードではダメージ受けると数値が増えて
 けれどいくら増えてもそれだけでは、負けになるのでないところ。

・ダメージ%が増えると、敵攻撃への吹き飛び耐性、防御力が弱くなっていく。
 また、各種攻撃が持つ飛ばし性能より防御力が低くなっていれば
 問答無用、一撃で画面外へ吹っ飛ばされる。
 つまり簡単に言うと、2種類の負け理由があります。
 ダメージ%が大きくなりすぎて、一撃で倒されてしまう場合。
 一撃必殺されるほどダメージ%は大きくなくとも、
 ステージの端から飛ばされ、復帰に失敗してしまった場合。

・よって勝利条件は、とにかくリングアウトをしないこと。
 敵を倒すことではなく生き残ること。
 時間一杯逃げ回っていても逃げ切れれば勝ちなのです。
 制限時間内に倒された回数を競う、というのが基本ルール。
 多人数対戦だから漁夫の利を狙って良い。
 ダメージをいくら受けても、とにかく画面外に飛ばされなければそれで勝ち。
 極端に言えば、一度も相手に攻撃を当てられなくとも勝つことが可能なのです。

・各キャラには空中発動可能の2段ジャンプが標準装備されていて
 また、技の中には上方向に突進するものもあって、それも空中発動可能。
 端にぶら下がった状態から登る時は無敵状態になるなどの補助もあり。
 姑息が許される。そういう仕組みなのです。


・1対1の2人対戦ではなく、4人で足を引っ張り合う1対1対1対1の大乱戦。
 残り時間から1位にはなれないことが確定しても、4位を避けることはできる。
 そのために弱きを助け強きをくじく。あるいは強きを避けて弱きをさらう
 どちらでも勝ち得る。

・それが『大乱闘スマッシュブラザーズ』。
 2人対戦で普通に楽しむことも出来るけれど、4人で邪魔しあってこそ楽しい。
 協力と競争を内包する対戦で、互いに足を引っ張り合うことで友情を育む。
 そういう対人4人対戦格闘ゲーム、『マリオブラザーズ』の進化版が『スマブラ』。
 じつに任天堂らしい、友達同士集まって楽しむに好適なゲームにございます。



・『スマブラ』の攻略本は買っていないのですが
 現在店頭で見かけるそれは、それはもう凄い分厚さ。
 たぶん中には、各キャラクターの技性能とか対戦相手ごとの対策などが
 隅々過剰に書かれているのでありましょう。
 あれを全部覚えるのだろうか。まだ教科書を頭に入れるほうが楽そうだ。

・対戦格闘というジャンルは、対ひと相手に競い合うアクションゲームです。
 コンピューター相手はどこまでいっても練習台。
 ほとんど同じものが家庭用で遊べるのに
 なぜゲームセンターで格ゲーに興ずるひとの減ることがないのか。
 それはゲームという遊び道具を介して、誰かに勝利することが楽しいゲームである、
 というものが対戦格闘ゲームだからです。
 上手く操作できることはもちろん気持ち良い。
 そしてその結果、誰かと同条件周知のルールの下で競い、
 勝利することは、楽しいのです。

・そのためには分厚い参考書も隅々まで目を通して頭に入れる。
 家で何度も自分の動作を、コンピューター操作の相手という鏡に向かって確認。
 勝つために必要なものは何か。
 操作技術。思ったとおり出したいとき任意の入力を精確にできるかどうか。
 知識。どう操作するとどうなるかを知り
 相手の動きからどう操作しているかを読み取り見切り間合いを見極め
 その局面で可能な手段と対抗手段の内、どれが適当かの知識を持って
 判断する。操作する。
 そして勝つ。

・格ゲーというのは、より速く操作入力できる方が勝ち、という浅いものではない。
 そんなことを競うだけで面白くはない。
 この手にはこう返し、けれどこうすればこうなって、しからばこうすればより良くて。
 正解が、相手の出した手によって変わるという駆引きが成立している。
 そして相手が自分と同じ人間だからこそ、先の予想が出来、また出来なくて
 ゆえに面白い。


・『スマブラX』も変わらず良く出来た格ゲーです。
 「最後の切り札」という仕掛けも加えられていますが、基本はいつものそれ。
 ロードが長いのも『マリオギャラクシー』と比べるからで対戦なら問題ないし
 1人用も、キャラクターに愛着もてるかはともかく練習モードとして充分。
 本編は対人対戦。オンラインで全国対戦対戦また対戦。
 飛ばし飛ばされひたすらエンドレスに対戦対戦。
 Wi-Fi対戦できる『スマブラ』。文句なしに良いゲームです。