法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『暴れん坊力士!!松太郎』第一話 のたり松太郎/第二話 さらば中学校

虫プロダクションでOVA化されたこともある『のたり松太郎』が、連載終了後16年目にしてTVアニメ化。第一話は公式に無料配信中。

同枠前作のローテスタッフから、貝澤幸男がSDに、小泉昇がキャラクターデザインへ移行。両者とも前枠では安定した仕事をしていたスタッフだけあって、初回の映像面は良い出来。
内容は、平成まで連載がつづいていたとはいえ、全体として昭和の猥雑さや陰鬱さを映しとった原作漫画を、規制されない範囲内でそのまま映像化*1。まるで押し入れに隠された古い日記を開いたような気分になった。2004年にアニメ化された時の『鉄人28号』や、大映ドラマをモチーフのひとつにしていたTVアニメ『BRIGADOON まりんとメラン』が、昭和を美化せず問題意識をもって描こうとしていたこととは、似ているようで大違い。
松太郎の横暴もとてつもないが、迷惑をかけられる一般人の反応にこそ感覚の違いがはっきりとあらわれる。弱者への優しさも慈しみもなく、かろうじて片鱗を見せたかと思えた女性教師はあっさりと挫折。松太郎を助けようと就職を斡旋する担任教師も口が悪いし考えが弱い。ただそれが、良くいえば松太郎と同じ視線で社会を見ているような雰囲気も生んでいた……というのは無理があるだろうか。

*1:原作は順を追わずまだらに読んだことがあるだけなので、実は雰囲気くらいしかおぼえていないが。