Wisp-Blogは移転しました

---

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第21話「還るべき場所へ」
©創通・サンライズ・MBS



　独自の指揮系統を盾に、強引に鉄華団を襲撃するカルタ。この場を切り抜けたら話し合うことを決め、協力して立ち向かうオルガとビスケットだったが……
　2度と訪れぬ機会、第21話。戦闘開始前に山盛りも山盛りに積み立てられるビスケットの死亡フラグが印象的。何せ冒頭が彼の大事な妹であるクッキーとクラッカーの描写からである、「早く帰ってきたらいいね」ってこれむしろ死亡した時に重ねる台詞だもの……

　積み上げたフラグと裏腹に、ビスケットの死のきっかけはとても地味、というかそれ自体はけして盛り上がらないものです。敵に突撃して活路を切り開いたりしたわけでも、格好の良い言葉を残してオルガだけを助けたわけでもない。彼の死に様に燃えた、という人はきっと少ないでしょう。
　同時に、彼の死は特別に無残なものでもありません。ピアスしか残らなかったダンジのように一瞬で跡形も残らず死んだわけでもないし、恐怖に泣いて死んだわけでもない。彼の死に方に特別に戦慄した、という人も少ないのではないかと思います。
　確かに彼は追いつかれること必至の状況の中で、オルガを振り落として助けようとした。けれどそれは決して、自分の命をあきらめたわけではない。「だから死ねない。死にたく、ない」……彼の心にあるのは最後まで生への、そして生きて成したいことへの執念です。だから最後の言葉でも、オルガに後のことを託したりしない。「俺達で鉄華団を」と、未来図には自分が含まれている。
　けれど、ビスケットは死んだ。「ドラマチックな死に方」でも「現実的な死に方」でもなく、死んだ。「ビスケットの捨て身の覚悟は格好良かった！」だとか、「戦場だからこんな酷い死に方もするよね」だとかいった感慨はビスケットの退場劇には付随せず、視聴者の心にはただ彼の死という穴だけが空く。彼がもういなくなってしまったという事実が、本当にそれだけをもって僕の心を打ちのめす。そういう、死そのものを突きつけたのがこの21話であったように思います。

　プライヤ機構を持つレンチメイスの作劇的な使い方とか改めての阿頼耶識の有用性とか、他にも見るべき所は色々あると思うのですが、今回はここまで。これだけで、ご容赦ください。

関連：
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 感想リスト

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第1話「鉄と血と」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第2話「バルバトス」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第3話「散華」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第4話「命の値段」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第5話「赤い空の向こう」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第6話「彼等について」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第7話「いさなとり」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第8話「寄り添うかたち」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第9話「盃」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第10話「明日からの手紙」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第11話「ヒューマン・デブリ」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第12話「暗礁」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第13話「葬送」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第14話「希望を運ぶ船」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第15話「足跡のゆくえ」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第16話「フミタン・アドモス」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第17話「クーデリアの決意」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第18話「声」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第19話「願いの重力」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第20話「相棒」


にほんブログ村

【言及】
http://animegane1216.blog.fc2.com/blog-entry-3638.html
http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/2016/02/gtk-21.html
http://nijiirosekai.blog55.fc2.com/blog-entry-5496.html
http://grhm2307.blog.fc2.com/blog-entry-203.html
http://guutaranikki.blog4.fc2.com/blog-entry-12801.html
http://magi111p04.blog59.fc2.com/blog-entry-2521.html
http://natusola.blog105.fc2.com/blog-entry-4707.html
http://kaityou-osusume.seesaa.net/article/434378940.html
http://blog.livedoor.jp/rx_78g/archives/52148221.html
http://izan499.blog.fc2.com/blog-entry-1459.html
http://seeing04.blog39.fc2.com/blog-entry-5998.html
http://tarasite.blog.fc2.com/blog-entry-1485.html