以前シェアワールドの勧めという記事を書き、そして時々検索エンジン経由で訪問者があるのだが、本来のシェアワールドは以前書いたように誰でも書いてもいいという意味では無いらしい。
シェアード・ワールド - Wikipedia
シェアード・ワールド - Wikipedia
シェアード・ワールド (Shared world) とは、異なる数人の著者が同一の世界設定(あるいはキャラクター)を共有して執筆する小説で、ファンタジーやSFにおいてしばしば見られる形態である。つまり、シェアワールドとは複数人が共通の設定で書く物語群を示すという意味の言葉なのであり、それ以上でもそれ以下でもないのである。
じゃあ以前自分が書いたシェアワールドというのは何と言ったらいいのかというと、「フリーシェアワールド」と呼ぶべきだというのである。魔王14歳の幸福な電波というブログにおいてその解説とともにフリーシェアワールドという言葉についての提案があった。
フリーシェアワールドの提案
この「シェアワールド」の頭に「フリー」を付けるわけですけど、ここでの「フリー」はフリーソフトとかフリー素材とかに使われる意味での「フリー」です。単に「シェアワールド」と言った場合、原則としてその世界観(ワールド)は特定の個人・集団の間で共有(シェア)されます。さてしかし、以前私が例に挙げた「華代ちゃん」の場合はどうかというと、上記ブログのErlkonigさんの定義とは少々外れるようなのである。
たとえば先の『龍盤七朝』の例だと、この世界観が共有されるのは秋山さんと古橋さんの間だけです。ここで名前も知られていないような他社の新人作家が勝手にこの世界観を用いた作品を出版したら、メディアワークスに訴訟を起こされるかもしれません。でも「フリーシェアワールド」の場合、そこの権利関係が「フリー」になるわけです。
フリーシェアワールドは矛盾した設定を許容する
・ 作品と作品の間で、設定に矛盾が生じるのでは?
ぶっちゃけ生じます。むしろ矛盾が生じることを前提に考えているのがFSWです。
「フリー」と宣言してしまう以上は、その世界がどう扱われるかは扱う人次第です。設定どうしが矛盾するのは勿論のこと、「わざと矛盾させる」という遊び方すらアリだと思います。もともと男と設定されていたキャラクターを女にして出しちゃう、とか。はてさて困った。自分がシェアワールドというものに初めて接したのが華代ちゃんなのでそういうものだと思ってたのだが、じゃあ私の思ってたシェアワールドというものはどう定義したらいいのだろう? まとめると以下の通りになるのだが。
1)提案者が世界観やキャラクター等の規定を提示する。
2)その規定に沿って創作する限り、誰もが創作に参加できる。
3)その作品は提案者が決めた場において、もしくはいかなる場所でも自由に発表できる(いずれにするかは提案者が決める)
つまりシェアワールドへの参加は誰でも自由であるが、提案者が決めた(もしくはみんなが創作していく中で決まってきた)世界観というものがあり、それを壊さないように創作するという不文律というものは守らなければならないということである。
そこで私は逆提案したい。フリーシェアワールドという言葉の意味はあくまで参加が自由であるということに留めるべきであり、世界観の矛盾を許容するという意味まで入れるべきではないのではないかと思う。やはりシェアワールドというのは1つの作品群というか世界観であり、そのイメージを壊すべきではないと思うから。
ちなみに、華代ちゃんにおいて設定などが矛盾するような話は番外編として認められている。だからそのような話を認めるのであれば、番外編として書くように規定すべきと思うがどうだろうか。
と書いたところで我がとうそうというブログにおいて「完全FSW」「部分FSW」という言葉を見つけた。
[雑記]FSWについて
以上から、FSW宣言の趣旨は『誰でも勝手にやっていいよ、全体が把握不可能になるのを認めるよ、全員共通の正式設定を決めれなくするよ』みたいなことになりそうです。これが本来の、というか提案者が使っているフリーシェアワールドの解釈。
どこまで作って良いかについての制限こちらが私の思っていたシェアワールドのことみたい。華代ちゃんならまだしもハンター・シリーズともなると、みんなが好き勝手書いていくと収拾がつかなくなるから制限があって当然と考えるのだけど。
本命、キャラ設定部分については流用はいいけれど手を加えるな、とかの制限です。私がid:misaki_17さんの『月夜のおとぎばなしシリーズ』にやらかしちゃった結果の制限や、tume(上)さん(いずれ流れるかも)の懸念からなされるであろう制限などです。
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この記事へのコメント
はじめまして。最初にフリーシェアワールド(以下FSW)の提案をした魔王14歳です。
前提として、私がFSWを提案した意図は次のようなものになります。
>提案者が決めた(もしくはみんなが創作していく中で決まってきた)世界観というものがあり、それを壊さないように創作するという不文律というものは守らなければならないということである
高橋さんのおっしゃるとおり、一般の創作シェアワールドでは常にこういった不文律が存在します。
では、この不文律をあえて破ってみることで、既存の創作とは別の表現が可能になるのでは? という発想が、最初に私が書いたFSWの記事の意図なのです。この考え方の詳細については、最初の記事からリンクしておいた「神話」に関する記事( http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20060605/1149449776 )を読んでもらえれば理解してもらえるかと思います。
前提として、私がFSWを提案した意図は次のようなものになります。
>提案者が決めた(もしくはみんなが創作していく中で決まってきた)世界観というものがあり、それを壊さないように創作するという不文律というものは守らなければならないということである
高橋さんのおっしゃるとおり、一般の創作シェアワールドでは常にこういった不文律が存在します。
では、この不文律をあえて破ってみることで、既存の創作とは別の表現が可能になるのでは? という発想が、最初に私が書いたFSWの記事の意図なのです。この考え方の詳細については、最初の記事からリンクしておいた「神話」に関する記事( http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20060605/1149449776 )を読んでもらえれば理解してもらえるかと思います。
私の考えとしては、ジャンルとして何でもありなシェアワールドを作ってそれをFSWと呼ぶのではなく、あくまで参加が自由なシェアワールドということのみにしておいて、その中で「どのように解釈・改変してもよい。矛盾もかまわない」という規定を設ければいいのではないかと思うのですが。
もちろんそのようなシェアワールドを否定するものではありませんし、実験的にやってみるというのも面白いと思います。
ちなみに華代ちゃんは規定が緩めなので、数十人もの作者が計数百ものストーリーを発表しております。私の作った「華代ちゃんシリーズリンク」を参照してください。
http://blunderer.web.fc2.com/link/kayo.html
もちろんそのようなシェアワールドを否定するものではありませんし、実験的にやってみるというのも面白いと思います。
ちなみに華代ちゃんは規定が緩めなので、数十人もの作者が計数百ものストーリーを発表しております。私の作った「華代ちゃんシリーズリンク」を参照してください。
http://blunderer.web.fc2.com/link/kayo.html
高橋さんのおっしゃるようなシェアワールドには需要があると思いますし、そういう試みはもっと盛んになった方が面白いと思います。それは最初に私が提案してFSWと名付けた概念とは異なるというだけで、互助こそすれ対立するものだとは思いません。
それとも単に、FSWというネーミングに疑問があるということでしょうか。「制限のないシェアワールド」と「参加資格に関して制限のないシェアワールド」なら前者をフリーシェアワールドと呼んだ方が分かりやすいと思っていますけれど、既に別の意味で認識している人も多いですし名前に拘るつもりはありません。もうしばらく様子を見てFSWが別の意味で定着しそうなら、私の意図しているものには別の名前を用意してもいいと考えています。
それとも単に、FSWというネーミングに疑問があるということでしょうか。「制限のないシェアワールド」と「参加資格に関して制限のないシェアワールド」なら前者をフリーシェアワールドと呼んだ方が分かりやすいと思っていますけれど、既に別の意味で認識している人も多いですし名前に拘るつもりはありません。もうしばらく様子を見てFSWが別の意味で定着しそうなら、私の意図しているものには別の名前を用意してもいいと考えています。
>「制限のないシェアワールド」と「参加資格に関して制限のないシェアワールド」
自分の意見としては、まだ後者をどう呼ぶかも確定しないうちに(単なるシェアワールドと呼ぶのも不適切であるならば)前者について規定するのは時期尚早では? と思うわけです(前者は後者に含まれるわけですし)。
一応「オープンシェアワールド」なる呼び方も提案されているようですし、それは後者の名称として使用するにも適しているような気はします。
ただ、ソフトウェアにおける「フリーウェア」「オープンソース」という言葉に例えるなら逆の方がいいようにも思いますけど。
あと、名称や概念についてもう少し「参加資格に関して制限のないシェアワールド」に触れているWeb作家たちに広く呼びかけ、話し合いをするべきと思いますがいかがでしょうか。
自分の意見としては、まだ後者をどう呼ぶかも確定しないうちに(単なるシェアワールドと呼ぶのも不適切であるならば)前者について規定するのは時期尚早では? と思うわけです(前者は後者に含まれるわけですし)。
一応「オープンシェアワールド」なる呼び方も提案されているようですし、それは後者の名称として使用するにも適しているような気はします。
ただ、ソフトウェアにおける「フリーウェア」「オープンソース」という言葉に例えるなら逆の方がいいようにも思いますけど。
あと、名称や概念についてもう少し「参加資格に関して制限のないシェアワールド」に触れているWeb作家たちに広く呼びかけ、話し合いをするべきと思いますがいかがでしょうか。
>前者は後者に含まれる
ここは私と逆の考え方をされているようです。条件が少なくシンプルなものほど集合は大きく、条件をつけ加えて細分化したものほど集合が小さくなると私は思っているですけれど、まあ全体集合をどう取るかで変わってきそうな話でもありますね。
いずれにせよ、この問題は他に人たちの反応を見て考えていこうと思います。
ここは私と逆の考え方をされているようです。条件が少なくシンプルなものほど集合は大きく、条件をつけ加えて細分化したものほど集合が小さくなると私は思っているですけれど、まあ全体集合をどう取るかで変わってきそうな話でもありますね。
いずれにせよ、この問題は他に人たちの反応を見て考えていこうと思います。
そろそろメタ議論になってきたのでアレですが、BがAに含まれる場合にAであってBでないものは存在し得るが、BであってAでないものは存在し得ないということになります。イメージとしては二重円を描いて外側の円にA、内側の円にBと名づける感じです。
この場合、仮に「何も制限のないシェアワールド」をフリーシェアワールド(FSW)、「参加資格に関して制限のないシェアワールド」をオープンシェアワールド(OSW)とすると、OSWであってFSWでないものは存在するけどFSWであってOSWでないものは存在しませんから、FSWはOSWに含まれるということになります。
と書いてて思ったのですが、「参加資格に制限の無いシェアワールド」の方は「オープンシェアワールド(OSW)」と名づけるのが適切な気がしてきました(誰に対しても開かれているということから)。とりあえずこれで意見を聞いてみましょうかね。
この場合、仮に「何も制限のないシェアワールド」をフリーシェアワールド(FSW)、「参加資格に関して制限のないシェアワールド」をオープンシェアワールド(OSW)とすると、OSWであってFSWでないものは存在するけどFSWであってOSWでないものは存在しませんから、FSWはOSWに含まれるということになります。
と書いてて思ったのですが、「参加資格に制限の無いシェアワールド」の方は「オープンシェアワールド(OSW)」と名づけるのが適切な気がしてきました(誰に対しても開かれているということから)。とりあえずこれで意見を聞いてみましょうかね。
何が内で何が外かというのは、最初の全体集合の取り方によってひっくり返ることがあります。ボクシングとキックボクシングの関係などを考えてもらえれば分かりやすいでしょう。キックボクシングはスポーツの分類から言えばボクシングの中に含まれますけれど、純粋にルールという観点から見れば、ボクシングはキックボクシングにキック禁止というルールを追加したしたより小さな集合と考えられます。脱線してきたので、この話は私のサイトの方で改めて書きましょう。
OSWは名前から意味が類推しやすい良いネーミングですね。その段になれば、名前案のひとつとして提案していこうと思います。
OSWは名前から意味が類推しやすい良いネーミングですね。その段になれば、名前案のひとつとして提案していこうと思います。
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