国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国の分裂とユーゴスラビア紛争の類似性

2007年11月26日 | 中国
米国の世界覇権崩壊後の日本にとって最大の脅威は中国であることは自明だろう。その脅威に対抗して日本の独立と繁栄を維持するには、中国を分裂させることがほとんど唯一の方法ではないかと思われる。中国を分裂させる最大の原動力は、中国国内の巨大な貧富の格差である。貧困地域に金を奪われてきた富裕な沿海地域(広東省+香港、福建省、上海+江蘇省+ 浙江省)が北京政府から独立することになると想像する。また、中国西部では少数民族問題が分裂の引き金となるだろう。国家内部の貧富の格差が分裂を引き起こした先例としてはユーゴスラビアが挙げられる。ユーゴスラビアではセルビアが政治的主導権を握ったのに対して、富裕なスロベニアとクロアチアは多額の税金を徴収されそれが貧困な南部(特にマケドニアやコソボ)に振り向けられることに不満を高めていた。当時のスロベニアとマケドニアの所得格差は六倍であったという。一方の中国では、1人あたりGDPが最も多い上海市と最も少ない貴州省の差は12倍を超えていると言われ、旧ユーゴスラビアの二倍以上の国内格差が存在することになる。中国を旧ユーゴスラビアに喩えると、最先進地域であったスロベニアに相当するのが上海+香港であり、相対的先進地域であったクロアチアに相当するのが広東省・福建省・江蘇省・浙江省・北京市・天津市であろうか。そして、民族紛争を抱えるボスニア・ヘルツェゴビナとコソボに相当するのが新彊ウイグル自治区・チベット自治区・内モンゴル自治区であり、貧困地域であるマケドニアに相当するのが雲南省・貴州省などの南西部高原地域や河南省・山西省・陝西省・甘粛省などの黄河流域内陸部であろう。これらの地域では交通の不便さや工業用水の入手困難さのため工業化が困難であり、それ故に今後も貧困地域に留まると想像される。クロアチアは第二次大戦中に親ナチス政権が存在したが、中国でそれに相当するのは南京の汪兆銘政府であり、その支配域は上海+江蘇省+浙江省の華東沿海地域を含んでいる。この点でも旧ユーゴスラビアと中国は類似していると言えるだろう。私は、ユーゴスラビア紛争とはセルビア中心のユーゴスラビアが解体されて、オーストリアを中心とする秩序に再編成されていく過程であったと考えているが、来るべき中国分裂は北京政府中心の中国が解体されて日本を中心とする秩序に再編成される過程と言うことになるだろう。 . . . 本文を読む
コメント (14)