ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

アニー・ホール:ウッディアレンとダイアンキートンの等身大の「恋」の行方

2010å¹´05月16æ—¥ | æ˜ ç”»â™ª
1977年に公開されたウッディ・アレンの傑作恋愛コメディ。ウッディ・アレン節が炸裂し、単なる恋愛コメディでは終わらない「深み」や「味わい」に溢れている。「ハンナとその姉妹」や「ギター弾きの恋」など名作は数多くあるものの、その実験性や叙情性など「アニーホール」はその中でも別格。ダイアン・キートンの魅力もたっぷりで、アカデミー最優秀作品賞受賞作品。

【予告編】
ANNIE HALL - HQ Trailer ( 1977 )


【あらすじ】

ニューヨークとは限らない。大都会とは少々変わり者でも生きていける所だ。山の手に住むユダヤ系のアルビー(W・アレン)もそんな1人。彼はTVやナイトクラブのトークショーで稼ぐ漫談芸人。歳の頃は40、離婚歴1回のド近眼メガネ人間だ。そんな風采の上がらない小男の彼だが、なぜか女の子には人気がいい。彼の周りにはいつも女の子がウロチョロ。そんな彼がある日、友人のTVディレクターのロブ(T・ロバーツ)達とテニスに行って、1人の美人と出会った。会話もユニークな彼女の名は、アニー(D・キートン)。どこか屈託のない童女の雰囲気の彼女に出会ってからアルビーが変わった。アニーとのデートが日課の一つになったのだ。2人が同棲生活に入ったのはそれから間もなく。お互いにのぼせあがっていた2人も時がたつにつれて、お互いのアラが目についてきた。アルビーの周りには、あいかわらずTV局の女ロビン(J・マーゴリン)や、アリソン(C・ケーン)がいて、アニーは気になり、アルビーもアニーのつかみどころのない生き方がわからない。ましてアルビーは、男の独占欲にめざめてきたのだ。行きづまった2人の関係。2人は精神分析医の所に行き、2人の溝は埋まったかに見えた。だがそんなある日、アニーがいつものようにクラブで歌っていると、プロ歌手トニー(P・サイモン)が彼女の歌をほめ、カリフォルニアにくるようにすすめる。彼女は有頂天になり、精神状態も全快へとむかったが、アルビーはまだダメ。彼はアニーとトニー、果てはロブの仲まで疑い出したのだ。もうこうなってはおしまいだ。2人は別居を決意し、アニーはカリフォルニアに飛んで行った。一方、残されたアルビーを襲う寂寥感。アニーの後を追い、カリフォルニアに行き、やり直そうとアニーに迫るアルビーだったが、今のアニーは歌手としての成功の方が気になっていた--。(「goo 映画」より)

【レビュー】

女の子が喜びそうなラブ・ストーリーなら他にももっとあるだろう。「ゴースト / ニューヨークの幻」 「プリティ・ウーマン」「タイタニック」「トップガン」「愛と青春の旅立ち」「卒業」…でもこれらは夢見るだけのものだ。こんな風にドラマチックに運命の異性と出会い、恋愛し、ハッピーエンドあるいは悲恋に終わることなんてまずない。

それでも僕らは恋をするし、デートもするし、嫉妬もすればエッチもする。そのまま結婚することもあるだろうけど、別れもするし、傷つきもする。その時は最良のパートナーだと思っていても、長い人生では本当にそうなのかはわからないし、別離のあとで何度も思い出し、後悔することもあるだろう。「アニー・ホール」は都会で生きる人々のそんな等身大の恋愛や情熱、別れと傷心を見事に描き出している。

この映画の面白さは、もちろんウッディ・アレンの魅力が全開しているという点はあるとして、1つには「映画」表現としてストーリーを追いかけるだけの存在から「映画」ならではの表現方法を引き出したことにある。

独特の長回しで会話の妙を楽しませることはもちろん、回想シーンに大人になったアルビーが登場し、現実にはありえない回想シーンの人々と会話をさせたり、幕内から観客に話しかけたり、さらには本来であればその場にいるはずのないマクルーハンを登場させたり、実際の会話と平行して心の声を字幕で表示させたり、とタイムライン的にストーリーを追いかけるだけでない表現方法を駆使して「笑い」を作りだしている。

その一方でお決まりの「ラブストーリー」とは異なる、リアルな恋愛事情を映し出すことで、誰もが経験したことのあるようなささやかな悦びとせつなさを観客に共感させている。夕暮れのマンハッタンの河辺を散歩する2人。交わされるたわいもない会話。ちょっとした見栄や思い出話や、そういったものの間からあふれる親密さや2人だけにしか作り出せない空気感は、それが例えマンハッタンじゃないにしても誰にでも経験はあるだろう。ロブスターじゃなかったとしても、ちょっとした他愛のないことに2人ではしゃいだ時間は、

そうしたリアルな感情が描かれているからこそ、アルビーとアニーとの別離は切ない余韻を残す。それはもしかしたら、アルビーにとっては最良のハートナーだったのかもしれないし、アニーにとってはステップアップする過程で必要なパートナーだったのかもしないし、あるいはその反対だったかもしれない。しかしそのことだってどこにも確かな答えはないのだ。

何故、僕らは恋をするのだろう――そこには大した理由はないかもしれないけれど、やはり独りではいられない。不合理な感情を抱えながら、どこかにいるはずの「半神」を求め続けてしまうのだろう。


【評価】

総合:★★★★☆
ウッディアレン節炸裂!:★★★★★
この時代だからこそ生まれた名作です!:★★★★★

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