ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

EQ2偽造貨幣事件!-情報としての貨幣流通がもたらすもの

2005å¹´08月14æ—¥ | è²¨å¹£ã€ãƒã‚¤ãƒ³ãƒˆ
あまりゲームの世界だけの話だと笑っていられないのだろう。これまでにも何度か、情報としての「貨幣」について書いてきたが、物理的媒体から情報へと「貨幣」が離脱してしまったとしたら、こうした危険性はつきものだ。実際、ハリウッド映画などを見ていると「金庫」から大金を盗むといったものもあるけれど、「エントラップメント」のようにコンピュータのデータをいじることで大金を盗むといったものも出てきている。「貨幣」がコンピュータ上の「情報」に過ぎないとしたら、それをネットワークを通じて移動させることも可能だろうし、そのデータを増やしたり減らしたりすることも難しくはない。それがゲームに閉じた「貨幣」に対して起こったということだ。

 ハッカーが「Everquest II」で大量の通貨偽造--20%のインフレ状態に
 「円」は電子マネーになるか-情報としての貨幣流通がもたらすもの

EQ2をやったことがないので何ともいえないのだけれど、今回の影響がゲームの中に閉じていたとしたら、この影響はどこに出たのだろうか。cnetの記事によると、「偽造を行ったプレイヤーらはその後、不正なプラチナの売却を「Station Exchange」で試みようとした。Station Exchangeは、EQ2で使われる武器、鎧、通貨などの仮想アイテムを売買する公式オークションシステムだ」とあるが、あくまでオークションに限定するならば、ユーザーが直接の被害者、信頼性を失いそれなりのシステム投資が求められるSony Online Entertainmentが間接被害者というところか。

しかしこれがEdyや楽天などのポイント制などがターゲットとなっていた場合はどうだうろ。Edyは加盟店のみが利用できるとはいえ、加盟店の規模も増えてきているし、またその加盟店おいては所謂「円」と同じように流通する。そんな状況でかってに20%のEdyが発行されたならどうなるだろう。契約の細かい取り決めは知らないが、店舗は利用されたEdyの換金を要求するだろう。責任は当然、ポイント(擬似貨幣)発行主体ビットワレット社にあるだろう。つまり薄利の電子マネー事業にもかかわらず、20%分の余分な負担を発行主体で負担するか、あるいは実際の「円」と「Edy」の兌換比率を変動させるかしかない。しかし後者の案は現実的ではない。利用者にその比率負担を課せば利用者が減るし、店舗側に課せば店舗側が離れていく。つまり発行主体が負担するしかないのだ。

これは「電子マネー」ほど直接的に貨幣の役割が求められていない「楽天スーパーポイント」でも同じことだ。ただしこちらの方がサービス設計としてはより複雑になっており、オペレーションもかなり知恵が必要だろう。しかし逆に言うと、そのオペレーションさえしっかりしていれば「Edy」よりもそうしたリスクは低いのかもしれない。

現在の「楽天スーパーポイント」もそうなのだが、決してEdyのように1円=1ポイントというような単純な交換比率ではない。それは当然、「楽天」に出店している店舗側からの徴収している費用が原資となっていることに間違いはないのだが、それ以外にも楽天やInfoseekなどのサービスを利用すればポイントが付加されるといった仕組になっている。その際にどの利用者にどれだけのポイントを付与するのかというのは楽天側のオペレーションにかかっている。つまりここを上手くコントロールすることで、利益や上述のような特別損失をフォローすることも可能だ。まぁ、特に特別損失がなくてもオペレーションの失敗によって損失が発生する場合もあるのだが。

個人的には、ポイント制は工夫とその裏腹の複雑なオペレーションによってまだまだ魅力的な使い方が可能だと思っている。タイミングを見て書きたいと思っている仕掛けも二つほどあるのだが、それはまた別途書こうと思う。

その一方で、「電子マネー」や「ポイント制」が所謂「円」を中心とした既存の貨幣制度を崩しうるのではないか、という疑念もますます深まっていくのだ。

 「楽天スーパーポイント」にみる、「ポイント流通」という仕掛け
 「ポイント制」と「地域通貨」-ポイント流通という仕掛け



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