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ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ゲートウェイビジネスの終焉とその先に - 「ポイント流通」という仕掛け

2005å¹´03月26æ—¥ | è²¨å¹£ã€ãƒã‚¤ãƒ³ãƒˆ
ゲートウェイビジネスの終焉――iモードなど携帯キャリアを潤してきた1つの仕掛けが「ゲートウェイ」という仕組にあったことは今更説明が不要だろう。PCによるインターネット接続と違い、携帯からのインターネット接続にはまず通信キャリアが提供する「パケット網」を通り、そこからキャリアが用意した「ゲートウェイ」を抜けて「インターネット」に接続されるようになっている。しかし所謂「公式サイト」というのはこれらインターネットに抜けているわけではない。「ゲートウェイ」の内側に位置している。この「ゲートウェイ」の中か外かということは、実は天と地との開きを生み出すこととなっている。

公式サイトに登録されていれば、当然、サイトの認知度、ユーザーの到達率というものは非常に高く、また電話料金に重畳してコンテンツなどの「利用料」を徴収してもらうことが可能となる。

これはPC系インターネットのサイトで「デジタルコンテンツ」などの販売をしようとした場合と比較すると分かりやすいと思う。PC向けデジタルコンテンツの販売しているサイトは山ほどあるが、まずそのような「サイト」があると気付かないことも多い。また仮に目的のものを販売しているサイトにたどりついたとして、既にそのサイトの会員登録でもしてあれば別だろうが、1から会員登録をするとなると、その手間や課金のためのクレジット番号の登録のことを考えると、どうしても躊躇してしまう。これが携帯の「公式サイト」だと、ユーザーへの「リーチ」と「課金決済」の部分でこれらの障壁がかなり低いのだ。

これが俗に言う「ゲートウェイビジネス」といわれるモデルだ。

しかし仮に全ての携帯が「おサイフケータイ」化した場合、このモデルはこれまで同様の優位性を発揮できるのだろうか。

「リーチ」の部分についてはプロモーションの問題であり、これはこれで面白いネタなのだけれど、今日は置いておこう。「課金決済」の部分について言うと、これまでは「公式サイト」であれば新たな課金IDへの登録(=クレジット番号の登録など)といった障壁はなくてすんだわけであるが、仮に「おサイフケータイ」であれば事前にEdyなどの電子マネーが購入してあれば、その電子マネーを使った決済を行えば新たな課金IDの登録などは必要としない。「公式サイト」「勝手サイト」の違いに関わらず、ユーザーが所有している「電子マネー」でその都度支払えば済むのだ。

「課金決済」という部分での「公式サイト」「非公式サイト」の垣根はずっと低くなる。

またこのことは、販売するものが「携帯向けコンテンツに限らない」ということをも意味している。これまでの携帯の電話料金重畳による場合、あくまで「情報料」との扱いであり、また提供するサービスも当然「携帯向けコンテンツ」が大前提であった。しかし仮にEdyのような電子マネーでの決済となると、何も「情報」や「携帯向け」に限られない。物販だっていいし、PC向けのサービスであったって構わないのだ。

「携帯向けサイト」と「PC向けサイト」といった区分は消滅し、それらはあくまでそのサイトにたどり着くまでの導線でしかなく、そのサイトでどういった「サービス」や「商品」を提供していくのかということこそ、求められるのだろう。


ではクレジット払いを前提としたECサイトやデジタルコンテンツを販売しているサイトは、今後どうしたらいいのであろうか。

もちろん、こうしたEdyやSuicaといった「おサイフケータイ」対応の電子マネーを積極的に導入していくということは間違いではない。とはいえ、これはユーザービリティの向上にはなるけれど、1)「リーチ」の部分はおざなりであり新規顧客が増えるというわけではない、2)あくまでタダの決済機能であり、競合サイトも導入してしまえばそこで「差」を生み出すことが難しいことを考えると、まぁ、「マイナス」ではないが大きな期待はできないのだろう。

またEdyやSuicaといった電子マネーを使うということは、サイト(店舗)側からすると、その分の決済手数料を支払うことになる。場合によってはクレジットカードの方が手数料率が低いことだってある。

仮に自分達のサイトが様々な種類の有料サービスや物販などを手がけているのであれば、いっそ、自サイト用の電子マネー(ポイント)をFelica上で提供するということもありだろう。Edyのように電子マネーの発行機関として、B(小売店)とC(利用者)を仲介する必要がある場合、当然、その電子マネーの汎用性を高めるために店舗拡大や振込のためのコストがかかるが自らが発行機関を務めてしまえばそれらのコストは不要になる。自サイトで既に様々なサービスや物販などを提供しているのであれば、店舗獲得の必要もないし、汎用性を拡大も必要ないだろう。

以前から、「ポイント流通」がポータルサイトの活性化のための仕掛けになりうるのではないか、と書いているが、「ポイント」の購入を携帯電話で行ってしまえばいいのではないか、ということだ。

「割引」か「先払い」か -ポイント流通という仕掛け

現在、飛行機のマイレージや他の割引系ポイントがEdyと交換できるということもあって、Edyへの注目が集まっている。そのためEdyで「買えればいい」という方向に行きがちであるが、そうしてEdyの汎用性・流通性を高めるということは、新規の利用者が増える可能性を秘めている一方、他の販売チャンネルや競合サイトへの流出の可能性も高くなるということでもある。つまり「他の要素」でその上で利用者が自分達を選択する、というのであれば別であるがそうでなければ現状と何も変わらないということになりかねない。

自サイト用の「電子マネー(ポイント)」の発行にリスクを感じるのなら、EDYで直接「買う」のではなくサイト内ポイントと「交換する」という緩衝材として働かせることも可能だろう。サイト内流通貨幣として「ポイント」を利用することのメリットは大きいのだ。

とはいえ、ここでいっているような世界が実現するまでにはまだ時間がかかるだろう。FOMA70xシリーズですら「おサイフケータイ」の機能は削除されているし、auやvodafoneのモバイルFelica機能の実装も今年度後半だ。全ての「おサイフケータイ」化するまでに2年、それからユーザーに使い方が浸透するまでに更に1年~2年、3年後以降が実際のターゲットとなるのだろう。それまでにどのようなビジョンを描くか、どのような仕組を作り出すかが大切なのだろう。


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