この話題は、いつか書かなきゃ、でも、書くとなると大変だしなぁ、別に私は正解をもっているわけではないしなぁ、と、ずっと気になっていたこと。
ある意味、マーケティングの根幹に関わる概念とその定義、ですから、私なんかに解読できるわけもなく、今日は、なんとなく、普段感じていることをメモっておこうかな、と。
消費者 (Consumer): 一番一般的に使われる言葉。 Consumeする人、って、ずいぶんおおざっぱな、というか、前時代的な名前ですこと。
生活者: HHDさんでしたっけ、この言葉を世に出したの? 消費するかどうかは、生活の中で決めていくわけで、「未消費」のひとの意思を考えた造語ですかね。
国民: 東京大学卒のマーケッターだけが使用を許された言葉。 強調したい場合、頭に「一般」をつける。 (うそ。)
市民: 東京大学卒以外のマーケッターが使ってもいい言葉。 頭に「一般」を付けても仲間意識は消えない。 (もちろん、うそ。)
ターゲット: ターゲット消費者など、組み合わせて使うことも。 なんとなく、絞られた・狙われた感じがします。
視聴者・読者など: 広告になると突然出てくる言葉。 伝えるべき相手なのに、最初っから「興味があって見ている・聴いている・読んでいる」という意味合いがあって、常に受け身、というイメージがぬぐえない。
顧客: B-to-Bなどで使われることが多いでしょうか、でも、もともとの意味は、ストレートに「お客さん」。 あるいは、常連さんのニュアンスも。 ただし、流通業界などの第3者がチェーンの中に含まれる場合、顧客=取引先の会社という意味になることが。
お客様: デパートなどで使われることが多い。 「~は神様です」というと、急にニュアンスが変わる。 (国民が神様になると、困る人が多い?)
何気なく使っている言葉ですが、それぞれが持っているニュアンスの違いが、プランの立案や、広告表現の手法などに影響を与えてしまう、という、まさに「言葉にしてしまったがゆえの悲劇」が、あちこちで起きるわけですね。
消費者といえば、わかりやすいけど、商品やサービスを消費するカモ、というニュアンスが抜けないので、商売の相手を見下してしまう感じになります、どうしても。
生活者、私個人はめったに使わない言葉です。 なんとなく。 なんとなく身近に感じられないんですよ、すいません。
いずれにせよ、売り手の都合で使っている言葉です。 なので、どの言葉にも売り手のエゴが染み付いています。
ちなみに、私個人は、3つの言葉を使い分けるようにしています。
ターゲット: 定量的に、「数」として、お客様の量を把握するときに使います。 「冷たさ」の勝った言葉ですが、投資の大きさや戦略を決めたり、冷静に(左脳で)ものを考えるときに。 「冷たさ・血が通っていない」感じを常に注意しながら。
お客様: 一旦ターゲットを設定したあと、同じ人たちを「生きている人間」としてとらえ直すために、意識してこの言葉を使うようにしています。 「18~29歳の未婚有職女性」って言われてもそんな人にそもそも、会ったことないんで、「人間」に置き換えていきます。
私が考える、マーケティングでもっとも大切なステップです。 これをやらずに前に進むと、ろくなことはありません。
パートナー: 先日、Twitterでiida0420さんともお話ししたのですが、具体的な表現(パッケージや広告)を開発するときに、「お客様」をさらにもう一歩進めて、一緒にコミュニケーションを作るパートナーだととらえ直します。 英語ではBuddyとも言うようです、「同輩」と日本語に訳すこともあるようですね。 コミュニケーションは、たとえそれがマス媒体を通したものであったとしても、発信するだけでは成立しません。 受信する人がパズルの最後のピースをはめてくれて初めて成立します。 なので、メッセージの受け手であると同時に、コミュニケーションを完成させるためのパートナー、なんですね。
この3つをうまく使い分けていくと、ビジネスにもお客様にも「誠実な」マーケティングができるように思います。 「お客様」としてとらえている時間が全体の8割を占めますが。
「消費者」・「ターゲット」という言葉だけでマーケティングをやっていると、どういうわけか、相手を見下したようなプランを作ってしまいます。 「こんなことも知らないのかね? 教えてあげよう」とか、ね。 そういうのって、ばれるんですよ、相手に。 何度となく痛い目にあいました。
で、結局、結論としては、「人間(ひと)」ってことなんですけどね。 マス・マーケティングでも、その原則は変わらないわけで、誰も「消費者」になろうと思って生きてるわけはないんだし。 「ひと」じゃ、マーケティング用語にならないかなぁ、、、。
考えます。
お。