ここ数か月、とある事業のブランド戦略作りのお手伝いをさせていただいていたんですが、その方からレポートをいただいたので、ちょっと照れますが、ご紹介させていただきます。

事業主のKBさんと一緒に、ビジネスの分析、ユーザーさんのインタビュー、それらを元に何度も議論を重ねて、ブランド戦略を策定し、ようやく先日形になりました。 KBさんご自身で立ち上げた事業ですので、思い入れも強く、また、ご自身もマーケティングの仕事をされてきた方でしたので、弊社でまるごと引き受けてご提案するという形ではなく、文字通り「一緒に」やっていく感じで組み立てていきました。 とても楽しかったです。

「じゃ、KBさん、せっかくなんで、ブログに載せるようなレポート、書いてよ」とお願いして(強要して?)、書いていただいたものです。

 

 

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私、去る2017年、いろいろなタイミングや思いが重なりまして、食物繊維たっぷりのグラノーラなど作って、主にECで販売する事業を、ひとりで興しました。

ひとりで誰にも相談することなく、今までの経験や思いをかき集めて、「これなら売れる!(売れてもらわないと困る!)」と力一杯に思い込んでスタートしました。

そうして三年ほど経ち、ある程度お客さんがついて、ビジネス的に手ごたえを感じ始めてきたので、自分のブランドをそろそろググッと大きく育てたいぞ、と思い始めました。

 

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もっと広めるには、これまでよりも大きなお金をかけることが必要になるかもしれない

⇒ このまま、最初の思いつきのままで突き進んでしまって大丈夫か?

もっといろんな人に協力を仰がないと、大きく遠くまで進められないかもしれない

⇒ 協力してくれるひとたちに、今の姿、これからの方針を、期待感とともにちゃんと説明できるのか?

 

・・・急に、すごく不安になってきました。

 

つまり、これまでを振り返り、一緒に、客観的にブランド戦略を見直してくれる人が必要でした。

 

(ようやく、今こそ、ついに、えとじやさんに相談する時だ)、そう思いました。

 

そして、つい最近、その成果がまとまりましたので、その過程で味わった素晴らしい体験を、おすそ分けのつもりで書かせていただきます。

 

ひとつは、ユーザーのインサイトを理解するお話。

マーケティングの基本だとは思うのですが、ちゃんと理解する、とは、ここまで難しいものか、と思い知らされました。

もうひとつは、ターゲットとベネフィットとの関係を言語化するお話です。

洗練された名人芸を見ているような感覚に陥りました。

 

 

1.        ユーザーを理解する

まず今のビジネスとブランドの振り返りのために、最初にアドバイスいただいたのは、今のユーザーさんのことをちゃんと理解しよう、ということ。

ユーザーさんのインタビューからです。

コロナの影響で、訪問調査は叶わず、WEBインタビューでした。

インタビュアーは、和。さん。

お。さんと私は後ろ(?)から覗いていました。

 

それまでもちょこちょこと、えとじやのみなさんとお話ししたり、ブログも読んで、いろいろ学ばせていただいていましたし、私でも、まあそれなりにお客さんを捉えることはできるだろう、そもそもこの製品もブランドも広告も全部、自分で考えたもんだしね、とちょっと自信をもって臨みました。

 

ところがどっこい、すっとこどっこい。

そんな甘いものではではありませんでしたね。

ひとりひとりのインタビューの後、その感想を話していると、えとじやさんたちが見てるその人と、私が見ているその人とでは、けっこう違ってるわけです。

あれ、そこって、そう解釈する?、と。

 

まず、どこに焦点を当てるかが全然違いました。

お二人からは、そんなところに注目してるの?という感想がポロポロ出てくる。 つまり1回のインタビューでゲットする情報の量が全然違うんです。

このあたりが、えとじやさんが訪問調査を大切にされている理由の一つだと思うのですが、例えば、「あの人の後ろの方にちょこっと映ってた食材の容器にラベルが張ってあって、きれいに並べてあったじゃないですか?、あんな風にするってことは・・・」とか。 うっ、覚えてねぇ・・・みたいなことがたくさん。

 

同じところを見ている時だってあります。 でも、その人のおんなじ仕草や言葉をどう捉えるか、が、ちょっとずつ違っていることに気づきます。

これはたぶんですが、その人から得る情報の量が全然違うので、それぞれの情報を組み合わせたときに、ひとつひとつの言動の捉え方が変わってくるんだと思います。

さらに、物差しの長さ?、地図の広さ?、これがまた全然違う。

お二人の頭の中には、今見ているその人だけでなく、過去にもう何万人?という調査してきた人たちの特徴がばばばばっと広がっていて、今見ている言動が、その何万人?の人たちの中でどの辺に位置しているのかも含めて、その言動を評価しているっぽい。

そりゃ、捉え方が違ってくるだろうな、と。

 

で、まだ終わりません。

インタビューを複数人やるわけですが、お二人は常にその人たちの共通点をとらえて線、面、立体にして話されます。

「あの人の○○○という発言は、あっちの人の▲▲▲という発言と同じ意味ですよね。」

とか、

「最初の人はちょっと違ったけど、あとの人はみんな●●●してたので、たぶん・・・」みたいな。

私の場合は、ひとりひとりの、ひとつひとつの言動で気になったことを、「あのひと、■■■って言ってました!」と、ひとつの点にすぐに引っ張られて、強調しちゃう。

 

それに輪をかけて厄介なのが、思い込みや願望というやつです。

私だって、せっかく調査をするわけですから、お客さんのことを深くしっかり理解しようと思っていますし、その結果、ビジネスの方向修正も辞さない気持ちでした。

でも結局、私が見ていたのは私が見たい部分だけで、私が出しかけた答えは、私がそうあってほしいと最初から決めちゃっていた姿だったみたいです。

だいたい、最初から「答え」を出そうとしている時点で、おかしい、おこがましい。

ほんとにユーザーのことを理解したいの?、って感じですね。

 

もちろん最後は、えとじやさんにユーザー像をまとめていただきましたが、まあこの先、自分ひとりでやろうとは、絶対思わないですね。

完全にプロの仕事だし、そんじょそこらのプロに簡単にお願いするのも不安です。

 

 

2.ターゲットとベネフィットの整理(・・・実は発見だっだ)とその言語化

そして次はいよいよ、そのユーザー像から、ターゲットとベネフィットを整理する作業です。でも、実際、私には、整理というより「発見」と言って良いほどの、ガッサリ頭の中を入れ替えられる作業でした。

 

具体的に書けないのでわかりづらいとは思うのですが、簡単に言うと、

「うちは食物繊維たっぷりの食品を売っているのに、ユーザーさんが食べ続けていただいている理由は食物繊維じゃないよ、これだよ」

と、ちゃんと理解して定義しなおすというもの。

 

この作業は結構大変で、やっぱり思い込み、そして何より、思い入れがあって、私としては「今さら食物繊維じゃないって言われても困りますわ~」から始まるわけです。

いや、だって、そうでしょ?

食物繊維をしっかり摂ってもらうために始めたブランドなのに、食物繊維じゃないって・・・。

うちだけじゃなく、こういうヘルスケアの商品にはよくあることかもしれませんが、成分とか、その機能のことだけ考えて、極端に言えばこれでおわりで、それを使う人の気持ち、本当のベネフィットにまでたどり着けていない、もしくは、たどり着こうとすら思っていない取り組みが多いように思います。

 

でも、この作業の過程で、ユーザーさんの気持ちと、これまで持っていたブランドのパーツをひとつひとつ組み合わせたり、外したりを繰り返して整理していくことで、隠れていたこのブランドの本当の強みを発見できた、強さを探り当てたような気がしています。

それは高揚感といってもいいほどに。

 

そしてこの発見を言語化していくわけですが、これまたえとじやさんの名人芸だなと感じるのが、ステートメントに落としていく言葉の選び方、つなぎ方。

それぞれの内容の整合性。

漏れなく、ダブりなく、矛盾なく。

これらの取り組み方の緻密なこと、この上なし。

ミーティングの後は、いつも頭が熱ーくなっていました。

 

 

おかげさまで、とても良いエクイティーが出来上がったと思っています。

出来上がったエクイティーと今までやってきたアクションを比較してみると、その差が良くわかります。 製品ラインナップ、販促物や広告のクリエイティブ、お客さんとの会話の仕方などなどなど、これから直すこといっぱい。

あと、うちはものすごい少人数で活動しているのでそれほどでもないのですが、社内でのコミュニケーションも滑らかになりましたし、そして広告代理店など社外の関係先とのコミュニケーションも変わってきています。

 

これら作業にストレスはありません。 以前と比べて、やることが明快になってきましたし、その内容に自信も持てるようになっています。

これがブランド戦略というものでしょうか。

今までも戦略らしきものは持っていたつもりですが、手前勝手な解釈から作っていて、極端に言えばユーザー不在。 ユーザーを理解から始まるこの取り組みで、ようやく芯が通った、そんな気持ちです。

 

KB

 

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いかがでしたか? えとじやさんのすごさが、よくわかりますね~。

いや、冗談抜きに、エクイティをお見せできないのが残念なくらい、我ながらとてもよくできたものになったと思います。

また、それ以上に、今回は、少し時間をかけて、KBさんと一緒に、事業の将来像なども「妄想」しつつ、しっかり考えて進めることができたので、納得度合いも高い感じでした。

さらに、(このあと、解説の記事も書きますが)マーケティング、ブランド作りの楽しさ、醍醐味みたいなところに触れられたのがよかったです。 事業主であり、開発者でもあるKBさんが、その強い思いで作ったブランドを、ちゃんとユーザーさんが育ててくれていた感じが、たまらなく楽しい仕事でした。

KBさん、ありがとうございました。 事業のさらなる拡大、楽しみにしています。

 

お。