論理や実利ではなく感情ないし羨望の問題
昨日のICPFセミナーに参加させていただきました。
池田先生は三田さんの発言にずいぶんご立腹のようです。しかし、私が三田さんの講演内容やその後の質疑応答をお聞きして感じたのは、三田さんが著作権の保護期間の延長を実現しようとしているのは、まさに「欧米の作家たちが死後70年間著作権を保護されるのに、日本の作家たちは死後50年しか著作権を保護されない」ということが気に入らないのであって、三田さん自身、「欧米の作家たちが死後70年間著作権を保護されるのに、日本の作家たちは死後50年しか著作権を保護されない」と何が問題なのかということを必死に模索している最中なのではないかということでした。
そういう意味では、この問題は三田さんにとっては「感情」の問題なので、これに対して、「著作権の保護期間を延長すべき理由」の変遷を追及して論理矛盾だといってみても、三田さんにとっては有効な反論になっていないとも言えそうです。
そういう風に考えると、三田さんを説得するために最も有効なのは、その著作物の保護期間が切れた作家について、「青空文庫」という形でただ「ただで読める」場所を作るだけではなく、現代の知性及び感性を結集して最高の注釈及び解説を、出版社の軛から離れた形で実現し、「著作物が著作権から解放されると、こんなに幸せな取り扱いを受けるのだ」ということを見せつけてやることなのではないかと思ったりしました。
そこまでして三田さんを納得させる必要があるのかという問題はありますが、そういう注釈や解説は読んでみたい気もします。
Posted by 小倉秀夫 at 01:58 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Commentaires
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/12f2c6315d416decba58df5857bb05d3
でも、三田氏が副理事長を務める日本文藝家協会の「会員は2500人」で、
> 「文芸家」が著作者を代表するような時代は、とっくに終わった
と言及されているくらいですから、三田氏を「著作者の代表」扱いすること自体が疑問なのですが。そもそも、著作物って小説に限られるわけでもないですし。
もっとも、小倉さんの著作物を著作権から解放したら、どんな幸せな取扱いを受けるのかを小倉さん自身が発見されて公表されるのであれば、それは大いに興味があります。
Rédigé par: mohno | 26 juil. 2007, 04:12:34