恋はすべてどこまでも片思いだ。好きな相手に「好きだ」と言われても、つきあっても結婚しても、それがいつまで続くかなんてわからない。お互いを思う気持ちの分量や重さが同じかなんて、わからない。関係が「終わった」と判断されるような状況でも、その恋がずっと終わらないこともある。 変動する自分を、変動する気持ちを、怖いけれど知ってほしい。わかってほしい。離れられないほどつながりたい。でもひとりで立ちたい。忘れたくない、忘れられたくない、でも忘れていきながら、いつしかその恋が自分の中の細胞の一部のようになっていく。 そうした、恋にまつわる激しい矛盾の間にこぼれ落ちるつかみどころのない何かを、「詩」という形でしか表現できなかった。というところが、この詩集の命だと思う。中でも「ばらの花」は、ひとりを生きることと、ふたりを生きることの本質が詰まったような詩で、ひとは誰かに自分を、認めてほしいのでも褒めてほしい