室町時代の南蛮貿易で日本に輸入されはじめた煙草。その煙草を切る煙草包丁として生まれ、さらに長い年月をかけて完成された堺の伝統工芸品「堺打刃物」。 卓越したその切れ味は、世界中の多くの料理人に支持されている。 それぞれの技 京都の西陣織と同じように、この堺の伝統工芸品も職人たちの分業制で作られる。 鍛冶、刃付(研ぎ)、柄づくりなど、それぞれの技術に特化した職人たちが持てる最高の技で理想の1本をつくり出そうと挑み続ける。 刃付という仕事 いくつもの工程の中で森本刃物製作所の伝統工芸士・森本光一が担うのは、研いで刃をつける「刃付(はつけ)」と呼ばれる仕事。 研ぎ澄ます……その行為にふさわしい凛とした空気が作業場に漂う。