新聞記事でよくお見かけする定型文言にひとつに「バールのようなもの」というのがある(最近はさすがにもう殆ど使われないかもしれないが)。「バール」は梃子の原理を利用する工具で釘抜きも含まれ,要するに傷跡などから鋭利でない物で殴られたと判断される場合に多く用いられる。清水義範氏には「バールのようなもの」という著書まである。 その他には,「ほのめかす」供述というのにもよくお目にかかる。これは例えば,A罪で取調を受けている容疑者について,「別のB罪への関与をほのめかす供述をしている」といった形で用いられる。弁護士という職業柄,以前からこの表現が気になって仕方なく,容疑者が往生際悪く「Bもやったかもしれない」ととぼけているかのように,更には「Bもやったと刑事さんがおっしゃるなら,Bも私がやったのかもしれませんね」などと開き直っているような印象を与えかねない無神経な「新聞用語」だと思っていた。そもそも取