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2021年3月24日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) 1. 発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の横山広美 (よこやま ひろみ) 教授を中心とする東京大学、NIRA総合研究開発機構、滋賀大学教育学部、名古屋大学素粒子宇宙起源研究所(KMI)のメンバーからなる研究グループは、日本に根強い数学や物理学の男性的イメージを説明する新モデルを提案し検証をしました。物理などの分野を大学で学ぶ女性が少ない要因を3つにまとめた先行研究を利用し(注1)、本研究ではさらに要因4 (性役割についての社会風土) を加えて男性的イメージを測定した点に新しさがあります。新モデルに基づいて、インターネット調査を実施した結果、要因1の 「職業」、「数学ステレオタイプ(注2)」、「頭が良いイメージ」 が数学や物理学の男性的イメージに
2020年3月2日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) 1. 発表概要 従来より、数論幾何の分野では、有理数のみを係数にもつ方程式で与えられた一群の幾何的対象につき、対応するモジュラー形式が存在することが知られてきました。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の渡利 泰山(わたり・たいざん)准教授と Kavli IPMU 客員科学研究員を兼ねる中東工科大学 (Middle East Technical University Northern Cyprus Campus) の近藤智 (こんどう・さとし) 氏は、そのモジュラー形式が何者なのか?という問いに取り組み、虚数乗法のある楕円曲線というクラスの幾何的対象の場合に、そのモジュラー形式が超弦理論でその楕円曲線を対象空間とする場合の観測可能量として表されることを発見し
2019年6月19日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) 1. 発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) の大栗博司 (おおぐりひろし) 機構長は、マサチューセッツ工科大学物理学教室の Daniel Harlow 助教と共同で、重力と量子力学を統一する理論では、素粒子論の重要な原理であった対称性がすべて破れてしまうことを、ホログラフィー原理を用いて証明しました。この証明にあたっては、量子コンピューターで失われた情報を回復する鍵とされる「量子誤り訂正符号」とホログラフィー原理との間に近年発見された関係性を用いるという新たな手法が用いられました。本研究成果は、素粒子の究極の統一理論の構築に大きく貢献するものであるとともに、近年注目される量子コンピューターの発展にも寄与すると期待され、アメリカ物理学会の発行するフィジ
Kavli IPMU 設立11年目を経て、 機構長のバトンは村山斉 初代機構長から大栗博司 新機構長へ 2018年10月15日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) 1. 発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) で2007年10月1日から11年14日間にわたり機構長を務めてきた村山 斉 (むらやま ひとし) 初代機構長が退任し、新機 構長として大栗博司 (おおぐり ひろし) カリフォルニア工科大学教授が就任することになりました (機構長就任挨拶)。文部科学省の世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム (WPI) に採択され、2007年10月1日に東京大学数物連携宇宙研究機構として発足した弊機構は、数学、物理、天文学の3分野 の連携による融合研究を行いながら、国内外の研究者や一般の方へも認知される国際的な
以下の文章は、村山機構長が国連のイベントでスピーチした原稿の日本語訳です。 なお、この件に関する英語でのプレスリリースはこちらをご覧下さい。 国連大使、来賓の方々、全ての皆様、 世界平和の守護者であるこの国連の本部でスピーチをするよう招待されたことは大変光栄なことです。このセッションのテーマは「平和と発展のための科学」です。このテーマについて、私なりの考えについてお話したいと思います。 平和とは、異なった国々がお互いに対して戦うのではなく、共通の目的のために一緒に行動することです。発展とは人類の置かれている状態の現在のものから、よりよい人道的に納得できる状況にまで改善していくことです。この国連の重要な目的と人類全体のために科学はどのように貢献できるのでしょうか?ほとんどの人は、技術とイノベーションと医学によって、と答えるでしょう。しかし今日私はもう一つの答えを加えたいと思います。 平和に関
大栗 博司 Kavli IPMU 主任研究員 1.発表者 大栗 博司(おおぐり ひろし) 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 主任研究員 2.発表のポイント 重力の基礎となる時空が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを具体的な計算を用いて解明した。 物理学者と数学者の連携により得られた成果であり、一般相対性理論と量子力学の理論を統一する究極の統一理論の構築に大きく貢献することが期待される。 成果の重要性等が評価され、アメリカ物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌(Physical Review Letters)の注目論文(Editors’ Suggestion)に選ばれた。 3.発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司主任研究員とカリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの物
2016年5月26日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 1. 発表者: Edmond Cheung (エドモンド・チャン) 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 特任研究員 Kevin Bundy (ケビン・バンディ) 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 特任助教 2. 発表のポイント: Kavli IPMU の主導する MaNGA プロジェクトにより、red geyser (レッドガイザー) という種類の銀河の観測を行い、銀河中の超大質量ブラックホール (注1) からの風が銀河中のガスを暖めている様子を捉えた。 星形成に必要なガスが充分ありながら、超大質量ブラックホールからの風が銀河中のガスを暖めることで星形成が妨げられる、という説を支持する観測結果となった。 レッドガイザーそのものの研究や、レッドガイザーが銀河の
大栗 博司 Kavli IPMU 主任研究員 1.発表者 大栗 博司(おおぐり ひろし) 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 主任研究員 2.発表のポイント 重力の基礎となる時空が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを具体的な計算を用いて解明した。 物理学者と数学者の連携により得られた成果であり、一般相対性理論と量子力学の理論を統一する究極の統一理論の構築に大きく貢献することが期待される。 成果の重要性等が評価され、アメリカ物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌(Physical Review Letters)の注目論文(Editors’ Suggestion)に選ばれた。 3.発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司主任研究員とカリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの
28 IPMU News No. 15 September 2011 今から約100年前、ビクトール・ヘスが自ら気球に 乗って上空の放射線強度を測定し宇宙線が発見されま した。その後の研究でこの宇宙線は陽子や原子核が主 成分で、またそのエネルギーは非常に高エネルギーま で延びていることが判明しました。一方で、現在に至 るまで宇宙線がどこでどのようなメカニズムで生成さ れているかは十分わかってはおらず、現在でもこの起 源を求めて多くの研究がなされています。 宇宙線が大気中に入射すると、大気中の窒素や酸素 といった原子核と相互作用し、その際に多くのパイ中 間子が生成されます。パイ中間子のうち電荷がプラス かマイナスのものはミューオンとミューニュートリノ に崩壊します。さらに、ミューオンの寿命は2マイク ロ秒とわりあい長いのですが、大気上空で生成される ミューオンの多くは地表に到達する前に、電
2015年7月22日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 1. 発表者 村山斉 (むらやま・ひとし) 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 機構長/特任教授/主任研究員 村山 斉 Kavli IPMU 機構長 2. 発表のポイント 従来のダークマターに関する理論とは大きく考え方の異なる新理論を発表した。 新理論によるとダークマターは、湯川粒子とも呼ばれる1935年に湯川 秀樹博士が提唱したパイ中間子と大変似た性質を持つことが示された。 南部理論に基づく湯川粒子の性質が、ダークマターとしてふさわしいことを指摘した。 新理論は銀河のダークマター分布において従来問題とされてきた、観測とコンピューターシュミレーションとのズレを説明出来ることが分かった。 3. 発表概要 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機
44 Kavli IPMU News No. 28 December 2014 大栗 京都賞受賞おめでとうございま す。京都賞基礎科学部門では、4年に 1回、数理科学の分野に授賞されます が、この分野で物理学者への授賞は今 回が初めてでした。 ウィッテン この賞をいただいたこと を、私は本当に光栄に思っています。 大栗 数学と物理学の境界におけるあ なたの功績が、物理学だけでなく、数 学においても最も重要な進歩の一つと して認められたのは素晴らしいと思い ます。また、私ども、この分野の研究 をしているものにとっても、うれしい ことです。昨日のワークショップで、 立川裕二さんがおっしゃったように、 この分野にとって、あなたは太陽の光 のようなものですから。 ウィッテン 一昨日の受賞スピーチで も申し上げましたが、私だけではなく、 この分野も共に表彰されたのだと思い ます。 大 栗 こ の
天文学と統計学の融合による、統計計算宇宙物理学の創出 -「手のひらから広がる100億光年先の触れる宇宙」を目指す、CRESTプロジェクト始動 - 国立大学法人 東京大学 国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 国立大学法人 筑波大学 計算科学研究センター 日本電信電話株式会社 国立大学法人 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU、所在地:千葉県柏市、機構長:村山斉)、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所(ISM、所在地:東京都立川市、所長:樋口知之)、国立大学法人 筑波大学(筑波大、所在地:茨城県つくば市、学長:永田恭介) と日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所(NTT CS研、所在地:京都府相楽郡、所長:前田英作)は、今後5年間をかけて地上大型望遠鏡「
軽い暗黒物質を世界最高感度で探索 - XMASS実験により極めて弱く相互作用するボゾンが暗黒物質である可能性を排除(PRLのEditors’ Suggestion) - 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の鈴木洋一郎(すずき・よういちろう)特任教授らのXMASS(エックスマス)実験グループは、岐阜県飛騨市の地下1000mに設置したXMASS-Ⅰ検出器を用いて暗黒物質の候補のひとつであるボゾン粒子(スピンが0や1の素粒子)のSuper-WIMP(スーパー ウィンプ)について世界最高感度で探索を行い、この粒子が宇宙の暗黒物質であるというシナリオを否定しました。暗黒物質についてはまだ性質が分かっておらず、世界中の研究者によって多くの理論的なシナリオに基づいた探索が行われています。今回の成果は暗黒物質の性質解明に向けた大きな一歩と言えます。 今回の成果をまとめた論文は、米国物理学会の
発表のポイント 最近見つかった、鉄の検出されなかった星の化学元素組成を、宇宙で最初にできた星(初代星)の超新星爆発で放出される元素によって説明した。 太陽の数十倍の質量をもつ初代星が超新星爆発を起こしてブラックホールになる場合の理論計算を行い、この時に放出される元素の組成と見つかった星の観測データを比較した。 将来世界の大型望遠鏡で取得される観測データを、本研究のような理論計算と比較することによって、初代星の性質についての理解がすすむことが期待される。 概要 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)の石垣美歩研究員らは、最近見つかった鉄が検出されなかった星は、宇宙で最初にできた初代星が一生を終えたときの超新星爆発で放出した元素から生まれたことを明らかにしました。 見つかった星は、鉄とカルシウムの水素に対する割合が太陽のおよそ1千万分の1以下と、これまでに見つかっていたものよりは
58 Kavli IPMU News No. 26 June 2014 福来 あなたはウィンチェスタ ー・カレッジで学ばれました。 この伝説的なカレッジについて お話いただけませんか。 ダイソン ウィンチェスター・ カレッジは、650年前にカトリ ック教会の司教で国王の側近で あったウィカムのウィリアムに よって創設されました。彼は有 能な行政官でした。オックスフ ォード大学のニュー・カレッジ を含む、学校などの基金によっ て支えられた6機関を設立しま した。ウィンチェスター・カレ ッジに入学を許可されるには、 12歳の年に極めて難しく厳し い競争を勝ち抜かなければなり ません。ラテン語とギリシャ語 を含む10科目の試験が行われ ます。数学は2科目あり、純粋 数学と応用数学です。現代語の 試験もあります。父がこのカレ Interview フリーマン・ダイソン教授 に聞く 聞き手:福来正孝
2014年5月23日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 村山斉(むらやまひとし) Kavli IPMU機構長、飛岡幸作(とびおかこうさく) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)博士研究員(2014年3月まで東京大学理学系研究科の大学院生としてKavli IPMUで研究に従事)らは、2012年に欧州合同原子核研究機構(CERN)で発見されたヒッグス粒子の質量と超対称性理論から期待される質量の値の矛盾点を解決しながら、理論の自然さを保つことに成功したという研究成果を発表しました。 この成果は、米国物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌(Physical Review Letters)に、注目論文(Editor’s Suggestion)として掲載されました。Editor’s Suggestionとはフィジカル・レビュー・レター誌に掲載された論
2014年2月3日 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) カブリ数物連携宇宙研究機構の研究者が運用する観測データ解析用の計算機への外部からの不正アクセスが発見されたため、2014年1月27日、機構は被害拡大防止の為計算機を停止し、ネットワークから切り離しました。 この不正アクセスにより、この計算機のユーザ認証情報が取得された可能性があることが分かりました。この情報を使って、国立天文台等、外部の研究機関へアクセスが試みられたことが分かり、直ちに関係各機関の担当者に連絡し対処して頂きました。この計算機には個人情報は格納されていませんでした。また研究データの喪失もありませんでした。 現在、被害状況及び影響範囲の調査を行うとともに、セキュリティ強化を含めた再発防止策を検討しています。 研究者の皆様、関係機関の皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご協力をお願いいたし
2013年4月23日 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) 発表概要 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) のロバート・クインビー特任研究員らは、地球から約90億光年の遠方に見つかった超新星が、明るさが一定のため「宇宙の標準光源」として知られるIa(いちえい)型超新星でありながら、超新星と地球との間にある大質量の天体によって空間が曲げられる「重力レンズ効果」によって集光され、通常の約30倍も明るく見えたことを発見しました。 重力レンズ効果は、宇宙の9割以上を占める暗黒物質や暗黒エネルギー、またブラックホールなど、光で直接観測できないものを観測する数少ない手段のひとつとして、最近特に注目されています。 今回、Ia型超新星の「標準光源」としての性質により、他の天体の重力レンズ効果では難しかった増光率の直接測定に成功し
2013年4月5日 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 2011年にM51銀河に現れた超新星をめぐって、どのような星が超新星爆発を起こしたのか、研究者の間で大きな論争になっていました。しかしながら、2013年3月、ハッブル宇宙望遠鏡による観測によって、黄色超巨星が姿を消したことが確認され、黄色超巨星が爆発したとする、Kavli IPMUのMelina Bersten(メリーナ・バーステン)特任研究員らの理論モデルが正しかったことが証明されました。 夜空に輝く星のうち、ある時自分自身の質量を支えきれなくなり、急激につぶれて大爆発を起こすものがあります。これを重力崩壊型超新星爆発といいます。超新星爆発を引き起こす星の性質や爆発の多様性の起源の追究は、宇宙物理学において非常に重要な課題です。これまで、重力崩壊型超新星爆発を起こすほど大きな質量の星は、爆発
2013年3月24日、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)は東京大学本郷キャンパスの伊藤謝恩ホールにおいて一般講演会「宇宙の?に挑む~私たちがここに存在する不思議~」を開催いたします。 宇宙はどのようにはじまったのか?宇宙はこれからどうなるのか?そしてどうして我々が宇宙に存在しているのか?私たちの暮らす地球、太陽系、そして果てしなく広がる宇宙。そんな宇宙の研究に取り組んでいるKavli IPMU村山斉機構長と国立天文台の小久保英一郎教授が最先端の研究成果を交えながら、謎に満ちた宇宙についてお話しします。また高校生の参加者が講師と直接意見を交わすパネルディスカッションも開催されます。 最先端研究開発支援プログラム 村山プロジェクト一般講演会 「宇宙の?に挑む~私たちがここに存在する不思議~」 『星くずから地球へ』 講師:小久保英一郎 (こくぼ えいいちろう) 自然科学研究機構
2012年12月7日 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 大阪大学大学院理学研究科の當真賢二研究員 、東京大学国際高等研究所力ブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU) の向山信治特任准教授、金沢大学大学院自然科学研究科の米徳大輔准教授らの研究チームは、日本が独自に作成した天体観測機器によって、非常に遠方で起こったガンマ線バースト現象注1 からの偏光を従来より高い精度で検出し、光の偏りがその長い旅路の間に回転しなかったことを明らかにしました。当研究チームでは、その超大スケールの観測結果から、超ミクロのスケールでの基礎物理的な対称性の破れに対し、これまでで最も厳しい制限を与えました。今後、この結果に沿うように量子重力理論が発展していくことが期待されます。 本成果は2012年12月11日 (米国東海岸時間) に米国物理学会誌 "Physical Review Lette
2012年6月8日 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(略称:Kavli IPMU) 磁石や結晶など、自然界では対称性が「自発的に破れる」ことで起きる現象がたくさんあります。南部陽一郎博士はこの考え方を素粒子物理学で提唱、特にエネルギーのとても小さい波が現れることを指摘、 後のヒッグス粒子を示唆して、2008年のノーベル賞に輝きました。しかし南部理論は温度や密度のある初期宇宙や身の回りの現象にはそのままでは適用でき ず、その「例外」も多く知られています。 今回、 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の村山斉機構長と米国カリフォルニア大学バークレー校の大学院生 渡辺悠樹さんは、南部理論を拡張して、こうした「例外」をすべて統一的に扱える理論を提案し、50年来の懸案を解明しました。この研究論文は6月21日に米国のPhysical Review
銀河の質量をすべて足し合わせても、宇宙全体の物質質量の半分にしかならない、ということはこれまで宇宙物理学における大きな謎のひとつでした。しかし最近になって、遠方の天体からの光が銀河周辺の「見えない」質量(暗黒物質)によって曲げられ、遠方の天体が明るく見える現象を利用して、銀河の周辺の物質分布を 測定できるようになりました。 東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)と名古屋大学のメンバーからなる日本の研究チームは、高精度の数値シミュレーションを用いて、最新の観測結果と整合する暗黒物質分布を明らかにしました。暗黒物質は、星など光を出す通常の物質の分布とは異なり、その分布の裾野が隣の銀河の裾野と重なり合うほどまで広がっており、宇宙の全体に拡がっていると分かったのです。 さらに銀河の外に広がる暗黒物質の質量を全て足し合わせると、銀河内部の質量に匹敵する量にもなるということも判明しました。銀河の質
東京大学が国立大学法人として初めて海外の財団からの寄附による基金で恒久的に支援を受ける研究所を実現し、数物連携宇宙研究機構が、カブリ研究所の一つとなります。 東京大学国際高等研究所数物連携宇宙研究機構(IPMU)は、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI, World Premier International Research Center Initiative)に採択され2007年10月に発足しました。同機構では現代基礎科学の最重要課題である暗黒エネルギー、暗黒物質、統一理論(超弦理論や量子重力)などの研究を数学、物理学、天文学における世界トップクラスの研究者の連携によって強力に推進しています。今年度のWPIプログラム中間評価においても唯一のS(最高)評価を受けるなど、世界から注目される研究拠点に成長しつつあります。 カブリ財団は、ハーバード、MIT、ケンブリッジ等世界の有力大学の
京都大学の細川隆史研究員 (現 日本学術振興会海外特別研究員)、大向一行准教授、東京大学の吉田直紀准教授、NASAジェット推進研究所のハロルド・ヨーク博士の4人による研究チームは宇宙最初の星:ファーストスター(初代星)が生まれて成長していく過程のコンピュータシミュレーションを初めて行い、最終的に太陽のおよそ40倍の重さの星ができることを示しました。 研究成果は米科学誌Science誌において特にインパクトの高いものと推薦され、日本時間11月11日に Science電子速報版に掲載されます。 現在、初代星はビッグバンから数億年後に誕生し、その最初の姿は太陽の1/100程度の星の赤ちゃん-原始星-であったことが広く受け入れられています。しかし、これは実は星形成のほんの始まりにすぎません。この後、原始星はまわりのガスを重力によりどんどん集めて、星は大きくなっていきます。 今回私たちはこの星の赤ち
32 IPMU News No. 14 June 2011 数学者たちは、ホモロジー代数を数学の中で最も形 式的な分野の一つとみなしている。この分野の形式的 で厳格な特性は、基本的な定義から先へ進むだけでも 多大な努力を要し、この分野を学習し始めた人たちも 多くは恐れをなして逃げ出してしまう。高度に形式的 なこの理論は、門外漢にとってはding an sich、* つ まり認識できないものであり、この理論を学習しても その努力は決して報われない、という印象を与える。 導来圏の概念を導入した、現代的ホモロジー代数の 偉大な創始者であるアレクサンドル・グロタンディー ク(Alexander Grothendieck)が、この分野で数十 年に渡って中心的な役割を果たした舞台を去って後、 ホモロジー的理論は限界に達し、役に立たない形式的 な理論となったという意見が数学界に広がった。一見 不合理
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