吉永剛志ブログ 記事一覧 絓秀実『アナキスト民俗学ー尊皇の官僚・柳田国男』と柄谷行人『遊動論ー柳田国男と山人』に関するメモ 2017/07/07 22:37 1.田山花袋『蒲団』 絓秀実は田山花袋の『蒲団』にこだわる。絓によれば、日本自然主義文学を私小説の方向に決定づけた「蒲団」には、一言で言って『天皇制の隠語』(2014絓)が現れる。 絓によれば、中村光男は『蒲団』を問題化した時、『私小説論』(小林秀雄 1935)にならって、『蒲団』を「天皇制の隠語」である「封建主義文学」と規定し、私小説を「天皇制の相似形」として捉えた。戦後もその考えに揺らぐことがなかったという。中村の『蒲団』への問いは、どうして、かくもくだらない作品が、近代の日本文学を決定してしまったのか、というものだった。絓秀実においても同じである。 「『蒲団』といういかにもくだらない作品が帯びている「もの」性(フェティシズム)が