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今年の「かわいい」
tarafuku10working.hatenablog.com
先月下旬に京都の八坂神社で起きた騒動が英国タイムズ紙の記事になった。私の印象としては、一方の当事者である英国人ツアーガイドを善良な被害者として描き、もう一方の当事者である京都在住の女性を悪役として描いた公平とは言い難い記事である。[魚拓][魚拓] 記事にはその英国人ツアーガイドのビジネスが繁盛していた(thriving)と書いてあるのだが、TripAdvisorのユーザー・レビュー (口コミ) を見てみると、八坂神社の騒動が起こる前からとんでもなく評価が低い。タイムズ紙の記事にはいろいろ言いたいこともあるのだが、ここではレビューの評価が低いという点に絞って書いてみたい。 TripAdvisor における彼の登録名は One Kyoto Tours だが、騒動前にそのページに投稿されたレビューで現在読めるものは 7 件。5件が最低点の星1つ。1件が最高点の星5つ。もう1件が星4つである。[魚
アビゲイル・シュライアーの『Irreversible Damage』を読んだ。ご存じの方も多いと思うが、先日KADOKAWAが翻訳本の出版をアナウンスしたが、抗議にあって短期間のうちに出版を取りやめたという本である。 私自身はシュライアーが原書の発売時におそらくプロモーションとして出演した 動画を訳していたので、概要はわかった気になっていたのだが、今回日本でも大騒ぎになったということで自分でもしっかり読んでみることにした。 読んでみた感想だが、この本には少なくとも思春期の子供を持つ親の年代の人にすればまったくもって常識的なことしか書かれていない。ではなぜこの本が「反トランス」とか「差別的」とかセンセーショナルに叩かれるのか。それは活動家の教義に反することが書いてあるからだ。 ではその活動家の教義とは何か。ジェンダー肯定ケアである。思春期の少女が自分は男性だと考えれば医師はそれをそのまま肯定
「日本の性行同意年齢は13歳」という半真実 (half-truth)が欧米で広まったのは、伊藤詩織氏がヨーロッパの何か国かでテレビ番組に出演してレイプ被害を訴えた2018年からです。伊藤氏はそのインタビューの中で性をめぐる日本の状況について、事実と異なる、または誤解を招く表現をいくつか用いています。たとえば「日本社会で育つと誰でも性暴力や性的暴行を経験している」「女子高生として交通機関を使うようになると毎日そういう目に遭うようになる」などです。「日本の性交同意年齢は13歳」という発言もその中の1つです。 日本国の刑法では、1907年以来、性交同意年齢は13歳と定められていました (2023年7月にいくつかの条件付きで16歳に引き上げられました)。その意味では、伊藤氏の発言は嘘ではありません。しかし、伊藤氏が開示しなかった情報があります。それは、日本の性交同意に関する法律は2層 (two l
今年の4月から米国HBO MaxでTVドラマ『Tokyo Vice』(トウキョウ バイス)が放映された。舞台は1999年の東京。主人公は、ヤクザなどが蠢く日本のアンダーグラウンド社会に足を踏み入れたアメリカ人新聞記者だ。主演はアンセル・エルゴートで、渡辺謙や菊地凛子が脇を固める。 原作となる同名の回想録を書いたのはジェイク・エーデルスタインだ。来日後に上智大学で日本文学を学び、1992年に欧米人として初めて読売新聞の社員となり、12年間勤務した男である。 ドラマ『Tokyo Vice』のレビューはおおむね好評だ。映画評論サイトの Rotten Tomatoes によれば、平均評価点は10点中7.6点。同サイトの評論家コンセンサスにはこう書かれている。「『Tokyo Vice』で最も興味をそそらない要素は主人公である。だが、日本のアンダーワールドの複雑怪奇さとその背景の迫真性により、魅力的な
日経新聞の対談記事(2023/9/3公開)で駐日英国大使のジュリア・ロングボトム氏がジェンダー平等の点で日本は英国に30~40年遅れていると感じると発言しました。 私も日本がジェンダー平等の点で完璧な国だとは思っていませんが、自分の国の価値判断を絶対視して「日本は英国に30~40年遅れている」と無邪気に発言するのは外交官としてガードが下がりすぎているのではないかと心配になります。しかし、こうした要人の雑な発言を放っておくと、「日本は英国に30~40年遅れている」みたいな議論が通説となってしまうおそれがあるので、面倒くさがらずに反論をあてていったほうがいいと思うのです。 ジェンダー不平等指数 ジュリア・ロングボトム大使が持ち出すデータのひとつは、例によって世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数です。今年の同指数では日本は125位。政治・経済分野での女性の進出の少なさがこの順位の低さにつ
ずいぶん前の話になりますが、2006年にデイビッド・マクニールが産経の古森さんをだまし討ちでインタビューしたことがありました。 マクニールは英国インデペンデント紙の特派員として古森さんにコンタクトし、同紙の記事にするという約束でインタビューを行いました。ところが同紙には記事は掲載されず、マクニールが編集者を務める『Japan Focus』というネット論壇に古森さんの取材中の発言がほぼすべて掲載されました。 インタビューの目的も「靖国参拝についてのいろいろな人の意見をまとめる記事を書くため」とマクニールは言っていたのですが、彼のほんとうの目的は別のところにあったようです。 ことの顛末を古森さんがコラムにし、その書き起こしはCatNAさんのブログなどで読むことができたのですが、コラムが掲載された正確な日付がわからなかったので、今回、神奈川県立図書館で紙面を確認してきました。古森さんのコラムが掲
マルコム・シユーネの『ウォークネス―事務方主義の最高の段階としての』を訳してみた。保守系シンクタンクのマンハッタン・インスティチュートが発行する雑誌『City Journal』の2022年春号に掲載されたコラム。 20世紀前半、アメリカの思想家であるジェームズ・バーナムは、専門化した経営者が資本家に代わって会社を支配するようになるだろうと予測した。すなわち、資本主義の後を継ぐのは社会主義者ではなく、ある種の職能集団であるということだ。ある意味、その予測は実現しつつある。ただし、シユーネによれば、新しく支配権を握ろうとしているのは経営者ではなくウォーキズムである。 マルコム・シユーネは1987年生まれのスウェーデンの評論家。本人はマルクス主義者であるとしているが、ポピュリズムに好意的であることから保守派であるとみなされることが多い。 タイトルの『Wokeness, the Highest S
米国のジャーナリストであるレイトン・ウッドハウス氏のSubstackから「ザ・ルンペンブルジョワジー」という記事を訳してみた。IT企業をはじめとして、アメリカ社会はなぜこれほどまでにウォーク(左傾)化してしまったのか。今回のTwitter社の大量レイオフにもつながる話です。 「ルンペンブルジョワジー」とは、ここでは生産性は低いが高給と社会的尊敬を得られる職についている大卒社会人ぐらいの意味。労働市場での競争で明確に有利となるスキルを持たない主に人文系の卒業生が各産業に入り込み、大学で吹き込まれた道徳的資本を頼みの綱にしてキャリアを築こうとする。その過程で社会がWoke化していったとする議論。 イーロン・マスクが今回レイオフしたのは、こうしたルンペンブルジョワジーの階級に属する人々だったのかもしれません。 leightonwoodhouse.substack.com (翻訳ここから) ザ・ル
チェルシー・センディ・シーダー (Chelsea Szendi Schieder) は、ラムザイヤー論文の撤回を要求している歴史家グループの1人である。米国コロンビア大学で日本現代史の博士号を取得している。現在は青山学院大学の准教授である。 シーダーは、「The History the Japanese Government Is Trying to Erase」(日本政府が消そうとしている歴史) という記事をザ・ネイション誌に寄稿した (2021年5月26日公開)。日本政府や右翼が第二次世界大戦時の歴史を変えようとしていると主張する記事である。 この記事の中でシーダーは、青学の自分の生徒たちが慰安婦について教えられていないことを嘆いてみせる。戦時の国家が何をしたか教えないと、ミソジニー(女性差別)やレイシズム(人種差別)がはびこることになるというのである。 では、翻ってアメリカはどうなの
マグヌス・ヒルシュフェルトの『戦争と性』を読んでいるのだが、宮台真司の解説が付いていて、その中になぜアメリカの日本近現代史の先生たちがラムザイヤー論文にあれほど強い拒絶反応を示すのかを理解するためのヒントとなるようなことが書いてあった。 ヒルシュフェルト(1868-1935)はドイツの医師・性科学者。『戦争と性』は、第一次世界大戦時の欧州における性愛関連の振舞いについて詳細につづった本である。 宮台「ドイツが第一次世界大戦で採った国家による管理売春は、兵站としての性の提供であり、性病と暴力の管理を目的としました。この図式は第二次大戦期やその後にかけて広がりを見せましたが、米国だけはこれを採用しませんでした」。理由はピューリタニズムとコストの削減。 日本は米国に占領されたので、第二次大戦直後は例外的に米国の枠組みを受け入れた。そのしわよせを深刻に被ったのが沖縄。沖縄の女性が多数、米兵士による
ラッパーのカニエ・ウェストが、大統領選挙に出馬すると宣言して話題になっています。そこで、ちょっと古い記事なのですが、彼について書かれた Quillette 誌の 2018年4月の記事を訳してみました。タイトルを『カニエ・ウェスト、そして黒人保守派の未来』といいます。 quillette.com ウェストが、黒人女性の保守派論客でトランプ支持のキャンディス・オーウェンズに賛同したことで、大騒ぎになったころの記事です。 リベラル・エリートは、なぜそれほどまでに黒人の保守派を脅威に感じ、その声を無視しようとするのか、についてです。 記事を書いたコールマン・ヒューズは、このときまだコロンビア大学の学生。記事の翻訳のあとに、彼の簡単な紹介文も書きました。 (翻訳ここから) カニエ・ウェスト、そして黒人保守派の未来 2018年4月24日 文: コールマン・ヒューズ (2018年) 4 月 21 日、カ
2018年にBBCで放映された『日本の秘められた恥』(原題: Japan’s Secret Shame) という番組が、最近またツイッターなどで議論の的になっている。この番組は、性的暴行を受けた(と主張する)伊藤詩織氏を追ったドキュメンタリーである。 www.bbc.com 議論の的になっているのは、上記のBBCのページに掲載された、上から2番目の動画。この動画で、伊藤氏は英語でこう語る。 If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault, but not everyone consider it was. Especially when you start using public transportation as a high-school
私がよく見るポッドキャスト番組の1つに『TRIGGERnometry』という番組があります。司会はコンスタンティン・キシンとフランシス・フォスター。2人ともイギリス人コメディアン。キシンはロシア出身、フォスターは母親がベネズエラ人でベネズエラで暮らした経験あり。つまり、共産主義(または、その名残)を経験しているというわけです。 最近のブラック・ライヴズ・マター (BLM) の抗議運動についてキシンは懐疑的で、いろいろと発言しています。その中から2つほどご紹介します。 まず、Talkradioという局のラジオ番組のインタビュー。聞き役はジュリア・ハートリー=ブリュワー。彼がBLMを支持しない理由について。 Why I don't support BLM. https://t.co/cBCGfhKr76— Konstantin Kisin (@KonstantinKisin) 2020年6月1
ミネアポリスで黒人男性が警官に圧死させられた事件に関連して、「『制度化されたレイシズムが警察には存在する』という作り話」(The Myth of Systemic Police Racism)という記事が、6月2日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のオピニオン欄に掲載されました。 www.wsj.com 書いたのはヘザー・マクドナルド氏。彼女はマンハッタン・インスティチュートという保守系シンクタンクのフェローで、『The War On Cops』(対 警察官 戦争)という著書もあります。 黒人男性を死に至らしめた警察官の責任は追及されるべきだが、黒人に対する「制度化された差別」が警察に存在するというのはまったく根拠のない話である、という主張です。 以下に翻訳しました(約2000字)。 (翻訳ここから) 『制度化されたレイシズムが警察には存在する』という作り話 文: ヘザー・マクドナルド
ジョーダン・ピーターソンの病状を説明するYouTube動画を娘さんのミカエラさんが先日公開しましたが、この件について友人であるダグラス・マレーがメール・オン・サンデー紙のコラムに書いていたので訳してみました。 www.dailymail.co.uk (翻訳ここから) 言論の自由の殉教者: ジョーダン・ピーターソンはポリティカル・コレクトネスに対する反対運動の先頭に立ったことで左派に非難された大学教授だ。その彼が重い病を患っている。彼が支払った高価な代償について、親しい友人であるダグラス・マレーが明らかにする 文: ダグラス・マレー (Douglas Murray) 2020年2月16日 先週、心を揺さぶられる動画がYouTubeにアップロードされた。ある女性が、非常にプライベートな出来事をカメラに向かって語った。 www.youtube.com 彼女の父親は、'ポリティカル・コレクトネスに
オーストラリアのオンライン・マガジン「Quillette」誌に掲載された三島由紀夫についての記事を訳してみた。執筆したのはイギリス人の日本文学研究家であるアンドリュー・ランキン氏。 海外で三島由紀夫がカルト的な人気を誇っているのはご存じの方も多いと思いますが、この記事を読めば、その理由が少しわかるかもしれません。 文中、三島の発言/文章からの引用があるのですが、日本語の原典を見つけることができなかったので、一部私なりに翻訳したものがあります。そうした箇所には「原典不明」と訳注をつけています。ご了承ください。 quillette.com (翻訳ここから) 三島由紀夫: 日本の文化的殉教者 文: アンドリュー・ランキン (Andrew Rankin) 2019年12月11日 先ごろ、日本の人々は、新しい天皇である徳仁の即位を熱烈に祝福した。それを見れば、日本がどれほど皇室制度への自信を取り戻し
2018年8月に米アトランティック誌に掲載された「なぜ左派はそれほどまでにジョーダン・ピーターソンを恐れるのか」を訳してみた。書いたのはケイトリン・フラナガンという女性コラムニスト。 民主党の牙城ともいえるLAのリベラルな中産階級家庭で育った白人の男子学生たちに、ピーターソンがどのように受容されていったのか。そのあたりが面白かったので、ちょっと古い記事ですが、訳してみました。 www.theatlantic.com (翻訳ここから) なぜ左派はそれほどまでにジョーダン・ピーターソンを恐れるのか このカナダ人の心理学教授が大きな注目を集めるのは、左派が衰退しており、非常に脆弱であることの証拠である。 2018年8月9日 ケイトリン・フラナガン(Caitlin Flanagan) 2年前のこと。私が1階に下りると、ティーンエイジャーの息子の1人が、風変りなYouTube動画をテレビで見ていた。
オーストラリアのオンラインマガジンであるQuillette誌に掲載されていた「英国労働党は目覚め(woke)、そして破産(broke)した」という記事を訳してみた。 Woke は Wake (起こす) の過去分詞で、「社会正義に目覚めた(意識が高い)」ぐらいの意味で最近よく使われる。左派が自分たちのことを指すときにも使うが、右派が使うときは揶揄のニュアンスが入っていることもある。 筆者のトビー・ヤングは同誌のアソシエート・エディターだが、友人がニューカッスルのある選挙区で保守党から立候補したので、選挙運動を手伝ったという。英国では合法の戸別訪問をする中で彼が体験したことから、なぜ労働党が失敗したのかを考察します。 元記事の公開は2019年12月13日。選挙の翌日です。 quillette.com (翻訳ここから) 英国労働党は目覚め、そして破産した 2019年12月13日 トビー・ヤング(
1 年近く前 (2018年10月) の話だが、アメリカのアトランティック誌に「Americans Strongly Dislike PC Culture」(アメリカ人は強く PC文化 を嫌っている) という記事が掲載されていたので要約して紹介したい。記事の筆者は政治学者の Yascha Mounk。 www.theatlantic.com 学識者による全国的な調査の結果、米国でも圧倒的多数の人がポリティカル・コレクトネス(PC)文化を嫌っていることがわかった。回答者の80%が「PC文化は我が国(米国)における問題の1つである」と考えている。PCを支持する割合が多いと考えられがちな20代ですら約3/4がそう思っている。 「PCを支持するのは黒人が多い」という認識は間違いではないが、他民族との差は思ったほど大きくない。PCに反対する人の人種別割合: 黒人(75%)、白人(79%)、アジア系(8
「アメリカ人はポリティカル・コレクトネス文化を強く嫌悪している」という記事を訳してみた。学識者による全国的な調査の結果、米国でも圧倒的多数の人がポリティカル・コレクトネス(PC)文化を嫌っていることがわかった、という記事。 記事の要点は以前こちら(↓)にまとめたのでご興味のある方はどうぞ。 tarafuku10working.hatenablog.com この記事は、2018年10月に米国のアトランティック誌に掲載されたもの。筆者は政治学者のヤシャ・モンク(Yascha Mounk)氏。アトランティック誌は歴史の古い雑誌で、リベラル寄りと言っていいと思う。ちょっと古い記事なのですが、80%が嫌っているという数字に私自身びっくりしたし、日本語で参照できるようにしとくのもいいかな、と思ったので訳しました。 www.theatlantic.com (翻訳ここから) アメリカ人はポリティカル・コレ
2019年12月12日(木曜日)に行われたUKの総選挙は、ご存じのように保守党の圧勝に終わりました。これで来年1月末のブレグジットはほぼ決定。歴史的大敗を喫した労働党のコービン党首は辞任。自由民主党党首のジョー・スウィンソンは、獲得議席数こそ1減と踏みとどまったものの、本人が落選して、こちらも党首を辞任しました。 なぜ労働党は敗れたのか。選挙結果を受け、『西洋の自死』の著者であるダグラス・マレーが、ディリー・メール紙におもしろいコラムを書いていたので訳してみました。題して、「英国の分断は、北 vs 南でも、赤 vs 青でもない。醜く非寛容な左派とその他の人々との間の分断である」。 www.dailymail.co.uk (翻訳ここから) 私たちの国に厄介な分断が新たに生じている。しかし、それは、人々が想像するような分断ではない。それを最もよく表したのが、ロンドン西部のパトニー(Putney
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