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重なった7つの奇跡 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) 誰もが美しいと感じる富士山。その大きく均整のとれた山体が生まれた理由を火山学的に考えてみた。 まず第1に山頂火口から大量の溶岩を流したこと。この溶岩が積み上がって山体の大半ができた。富士山は山腹にも多くの火口をもつが、幸いに山頂火口から出たマグマの量が多かったため、山頂を頂点とした円錐形が保たれた。第2にマグマの粘り気が適度に小さいために、溶岩流が遠くまで達して裾を引いたこと。粘り気が大きいと不格好な凹凸ができやすい。 第3に山頂火口の位置が安定していたこと。富士山の山頂火口は1万数千年前に3kmほど西に移動して今の場所に落ち着き、以後ほとんど位置を変えていない。宝永山の北東隣にあった古い山頂火口をもつ峰(古富士)は2900年前に崩れ、富士山は今みられる単一の峰になった。 第4に、地球上の特異点とも言える、伊豆半島と本州の衝突現
西暦79年にイタリアのヴェスヴィオ火山で起きたプリニー式噴火 小山真人「ヨーロッパ火山紀行」(ちくま新書)より再編集 ヴェスヴィオ火山の概要 美しい地形上の役者をこれほど適当な位置に配置した入江は,世界的にみてもそう多くないだろう.ナポリ湾は,ローマの南東200kmほどのイタリア半島にある南西に開いた入江であり,湾口のさしわたしが約30km,奥行きが15kmほどの四角形をしている.入江の両端には岬があり,地形的な高まりをなしている.南東の岬がとくに長く険しい山地をなし,ソレントSorrento半島と呼ばれる.有名なカンツォーネ「帰れソレントへ」の歌の舞台である.また,北西側の岬付近には小火山群やカルデラがあり,まとめてカンピ・フレグレイ火山と呼ばれている.また,カンピ・フレグレイ火山の沖にはイスキア島がある.イスキア島にはいくつかの小火山が分布し,付近の海底に推定されたカルデラとともにイス
0191 科学 低頻度巨大災害のリスクを定量評価する 合理性を欠く従来の 「想定外」 対策 低頻度巨大災害の想定に関して,理学と工学の 間に横たわる溝が,しばしば話題になる1 。 「工学 者の想定は甘すぎる。起きうる現象すべてを想定 して設計すべき」 (理学者) , 「理学者の言い分を真 に受けると対策時間もコストも莫大になるため, どこかで割り切らないと設計できない」 (工学者) が, 両者の代表的な言い分であろう。 理学部出身の筆者ではあるが,こうした議論を 聞くたびに感じるのが,現象の被害規模と発生確 率の定量化に対する理学者側の意識の欠如である。 低頻度巨大災害の規模や発生確率の推定には大き な不確実性がつきものだが,たとえ取りうる値の 幅やオーダーなどの大まかな見積りであっても可 能な限り概算・定量化し,他の現象と比較してわ かりやすく示すことが重要である。そして,それ は地質学
首都圏への影響、「北東」が最大 小山真人(こやま まさと) 静岡大学防災総合センター教授 1959年生まれ。富士山火山防災対策協議会委員、火山噴火予知連絡会伊豆部会委員 富士山の噴火と言えば、300年ほど前の江戸時代に起きた「宝永噴火」をイメージする人が多いだろう。宝永噴火は開始から終了までの16日間に、マグマ量に換算して7億立方メートルもの火山灰を風下に降らせた大規模で爆発的な噴火だった。同種の噴火が将来起きた場合の首都圏への影響については、10月9日の藤井氏執筆の本欄を参照してほしい。 しかしながら、富士山が過去に起こした噴火は多種多様であり、必ずしも次の噴火が宝永噴火に類似するとは限らない。ここでは富士山が起こしうる別種の大規模災害として、「山体崩壊」を指摘しておきたい。 山体崩壊は、文字通り山体の一部が麓に向かって一気に崩れる現象であり、その結果生じる大量の土砂の流れを「岩屑(がん
生産者のプライド持て 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) まず、たとえ話をしよう。あるブランド品の農作物が汚染され、その事実が世間に広まった。汚染させた張本人は、「汚染が基準値以上のものだけ弁償します。それ以下については健康に影響ありません」と開き直った。それを真に受けた農場主は「今後は汚染を測定し、基準値以下の商品だけを市場に出します」と記者会見し、安全宣言を出した。しかし、全数検査をしなかったために、基準値以上のものがあちこちの店で発見されて騒ぎになった。農場主は「基準値超えの品は回収しますが、もし食べたとしても水で薄まっているので安全です」と言って、出荷を止めなかった。ところが、さっぱり売れないので「これはお客たちの科学的知識が足りないせいだ」と考え、顧客たちに「正しい知識」を広める安全キャンペーンをおこなった。それでも売れないので、汚染の測り方を甘くしてもらった。その結果、基
消費者無視 最低の言葉 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) 福島原発災害の発生以来、「風評被害」という言葉を報道で見聞しない日は無いくらいである。しかしながら、この言葉はきわめて不適切であり、廃すべきものである。その理由を以下に述べる。 近年の災害情報学の研究成果にもとづけば、「風評被害」とは、商品のリスクに対して不安を覚えた消費者の自粛行動が引き起こす経済的被害のことである。風評とは悪い噂を意味するが、噂で広まった事例はほとんど確認できず、大部分は報道によって被害が拡大したことが知られている。 つまり、実際には風評による被害ではないのに「風評被害」と呼ばれるという自己矛盾がある。「風評被害」を防ぐためには、まずはこうした言葉使いから正すことが重要である。不正確な言葉と、それによる誤解を放置しておくと、その発生メカニズムや防止対策まで不明確になるからである。今後は「消費者の安全不信に
(科学,81,no.10,p.2-3,2011) パニック神話に踊らされる人々 福島原発災害にまつわる不当な情報制限 小山真人(こやま まさと) 静岡大学防災総合センター(火山学、災害情報学) 福島原発災害に関して、政府や一部の研究者・マスメディア・団体・企業等が情報制限をおこない、その理由について「パニックを防止するため」と説明した。ここで「情報制限」とは、情報の隠蔽・選別・遅延・矮小化・不明確化などの実施・要請・容認のすべてを指す。こうした行為や理由づけが、いかに不当なものであるかを説明しよう。 たとえば、細野豪志首相補佐官(当時)は、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報をすみやかに公開しなかった理由について、「市民に不安を与え、パニックが起きるのを恐れたため」と説明した(5月3日付毎日新聞など)。3月18日と4月11日付の日本気象学会理事長メッセージは、
静岡県の地上放射線マップ 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 (2011年10月16日:記、11月6日:解説資料追加、2012年1月9日:内容更新および浜松での講演資料追加、2月18日:内容更新および5月の地球惑星科学連合学会での発表予稿追加)、5月23日:内容更新および地球惑星科学連合学会での発表ポスター追加 、6月17日:内容更新と静岡新聞「時評」原稿追加、6月18日「スペクトルを測ると汚染がわかる」へのリンクを追加、9月10日岩波の科学8月号論説へのリンクを追加、10月27日:日本災害情報学会での発表予稿と発表スライド追加) 日本災害情報学会発表スライド(2012年10月27日 PDFファイル) 日本災害情報学会発表予稿(2012年10月27日 PDFファイル) 静岡県の地上放射線マップ(Google Map)(随時更新中) 静岡県周辺で詳細放射能線量マップを描く意義:岩波の科学
必要な情報をすみやかに伝えよ 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) 東日本大震災に関して、どうしても許せないことがある。それは福島原発災害に関して、政府や一部のマスメディア・団体・企業等が明らかに情報操作をした(している)ことである。ここで「情報操作」とは、情報の隠蔽・制限・自粛・遅延・矮小化・不明確化などの実施・要請・容認のすべてを指す。そして、その理由については「パニックを防ぐため」と説明されることが多い。 しかしながら、災害情報が深刻なパニックを引き起こした事例はきわめて稀である上に、実際に警報として伝えても思ったほどには避難してもらえない実態が、長年の研究によって明らかになっている。つまり、災害情報=パニックという固定観念は、誤った思い込み(パニック神話)である。 そもそもパニックは、危機的状況の認識、逃げ道の不足の認識、情報不足、の3つすべてが成り立たないと発生しない。逆にこ
現代火山学から見た『宮下文書』噴火記述の信憑性 小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室) 1.はじめに 富士山には,かつて歴史時代の3大噴火として数えられた噴火がある.それらは古い順に,延暦19~21年(西暦800~802年),貞観6年(864年),宝永4年(1707年)の噴火である. このうち宝永噴火は富士山南東山腹で起きた大規模かつ爆発的な噴火であり,多数の目撃記録が現存する.貞観噴火では,北西斜面で流出した大量の溶岩(青木ヶ原溶岩)が当時あった湖を埋めた結果,現在の富士五湖のうちの3湖(本栖湖,精進湖,西湖)が現在の形となった経緯が詳しく調査されている.宝永噴火と貞観噴火は,噴出したマグマ量も詳しく推定されており,歴史時代において文字通り1,2を争う規模の噴火であったことに間違いはない.ところが,3つめの延暦噴火だけは,火口位置,噴火推移,噴火規模などの詳細がほとんどわかっていなかっ
(小山真人「富士山大噴火が迫っている!最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模」技術評論社2009より抜粋) 過去の前兆や大地震との連動についての基礎知識 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) 1.1707年富士山宝永噴火の前兆 宝永噴火のような大噴火は、何の前ぶれもなしに始まったのでしょうか? 火山の噴火には前兆が観測できない場合もありますが、宝永噴火には明確な前兆がともなっていたことを複数の記録から確かめることができます。 宝永噴火に先立つ1707年10月28日に、宝永東海・南海地震が発生しました。この地震は、四国沖から駿河湾にいたる長大な海底断層(プレート境界断層)を震源としたマグニチュード8.7にもなる巨大地震であり、東海地方から近畿・四国・九州地方にいたる広い範囲に震度6~7に達する揺れや津波による大きな被害を与えました。宝永噴火は、この地震のわずか49日後に起きたため、地震が
流言・デマによるパニックを心配して情報を伏せている方々へ 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 (2011年4月2日記、6月16日静岡新聞コラムへのリンク追加) パニックは容易に起きない(静岡新聞コラム「時評」2011.5.18) この震災に関連した世の中や身の回りの人々の反応や動きを観察していて気づいたことのひとつが、いかにリスクに関する情報を伏せたり、出し渋ったりする人が多いかです。そのことが、かえって多くの住民に不安を与え、場合によっては命や健康を危険にさらす結果となっているように思います。こうした危機感から、ツイッター上でいくつかの意見や情報を流してきましたが、以下にそれを整理した形でまとめます。新たに文章を起こしている時間がないので、他の文献からの抜粋によって構成されていることをお許しください。 (なお、ここでは主に流言・デマとパニックの関係について述べます。流言・デマと「風評
(火山,50巻特別号「火山学50年間の発展と将来」,S289-S317,2005) 火山に関する知識・情報の伝達と普及 -減災の視点でみた現状と課題- 小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室) Public communication and education of knowledge and information about volcanoes and their risk in Japan: present status Masato Koyama Department of Integrated Sciences and Technology, Faculty of Education, Shizuoka University 836 Oya, Suruga-ku, Shizuoka 422-8529, Japan Abstract A critical review was m
小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室) 災害の規模・発生頻度・立ち上がり時間の3つから自然災害全体を考えることによって,低頻度巨大災害(破局災害)とその代表格である破局噴火の位置づけを明確にできる.火山小説「死都日本」は,想像を絶する破局噴火のクライシスを疑似体験できるだけでなく,破局噴火のリスクとベネフィットをバランスよく学ぶことができる得がたい教材であり,これを端緒とした研究・防災戦略や学校・市民教育が議論・実践されていくべきである. 1.自然災害の全体像と破局噴火 一般に,自然災害は大規模なものほど発生頻度が小さい.このため学問的な事実として知られていても,その対策どころか社会的認知すらなされていない巨大災害が存在する.このことを理解するために,まず自然災害全体を見通して考えてみよう(図1). 図1の横軸は災害の頻度をあらわすが,上述した通り規模の大きな災害ほど頻度が小さいので,横
東日本沖で起きた巨大地震について 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 (2011年3月21日記、23-24日リンク追加、24日富士山と延宝地震について追記、30日いくつかの補足とリンク修正・追加、4月2日修正と補足、4月17日補足と「ふじのくに防災学講座」での講演スライドを追加、6月12日図の追加) 4月16日「ふじのくに防災学講座」での講演スライド「東日本大震災を起こした地震とその影響」(PDF)(加筆修正第2版) 5月24日地球惑星科学連合学会での口頭発表スライド「地震・火山に関する防災情報の実効性検証の現状と課題」(PDF) 大変なことが起きてしまいました。日本海溝に沿った三陸沖から茨城沖までのすべてのプレート沈み込み境界が同時に破壊し、マグニチュード(以下、M)9.0という超巨大地震が起きました(図1)。 この震源域の北に隣接する千島沖から十勝沖までの領域では、数十年に一度程度
富士山歴史噴火総解説(第2版,2007年3月) 小山真人 静岡大学教育学部総合科学教室 Database of eruptions and other activities of Fuji Volcano, Japan, based on historical records since AD781 Masato Koyama Faculty of Education, Shizuoka University Abstract Fifty-six historical records, which describe abnormal phenomena relating (or possibly relating) to the activity of Fuji Volcano, Japan, were collected and re-examined according to the
専門家も脱帽のリアルさ 小山真人(静岡大学教育学部教授) 東京駅から電車で13分の千葉県内に活火山があることをご存じだろうか? 東京ディズニーランドに併設されたテーマパーク・東京ディズニーシーの中心には「プロメテウス火山」という人工火山(標高51m)が配置されており,火山学者が近寄って見ても本物と錯覚するほどのリアルな造形と表面加工が施されている. 専門家の目から見たプロメテウス火山は2種類の火山の複合体であり,北部にネモ船長の秘密基地があるドーナツ状の火山,南部に時おり「噴火」する円錐状の火山がある.北部の火山はサイズと地形から判断して,伊東市にある一碧湖などと同種の火山であり,直径70mの火口湖を持つ.火口内の崖を飾る見事な地層は,マグマと海水が触れあって生じる爆発的噴火の堆積物に極めてよく似せられている.また,各所に人工の噴気や硫黄化合物,間欠泉,溶岩の柱状節理,溶岩トンネルなどがあ
伊豆新聞連載記事(2007年9月~2010年3月) 伊豆の大地の物語 静岡大学教育学部総合科学教室 小山真人 1.南から来た伊豆(9月2日) 2.伊豆半島のおいたち(9月9日) 3.仁科層群の時代(1)海底の溶岩流(9月16日) 4.仁科層群の時代(2)海底の土石流(9月23日) 5.仁科層群の時代(3)奇怪な岩質(9月30日) 6.湯ヶ島層群の時代(1)谷すじの地層(10月7日) 7.湯ヶ島層群の時代(2)乱泥流(10月14日) 8.湯ヶ島層群の時代(3)緑色の岩石(10月21日) 9.湯ヶ島層群の時代(4)南洋の化石(10月28日) 10.湯ヶ島層群の時代(5)1千万年前に何が起きた?(11月4日) 11.地層の年代はどうやって測る?(11月11日) 12.白浜層群の時代(1)プリオシン海岸(11月18日) 13.白浜層群の時代(2)陸化した海底火山(11月25日) 14.白浜層群の時
(科学,1999年3月号記事) 地震学や火山学は,なぜ防災・減災に十分役立たないのか ―低頻度の大規模自然災害に対する"文化"を構築しよう― 小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室) 最近日本で起きた数々の地震・火山災害において,地震・火山学者は,自然現象やその予測方法についての理学的理解だけを深めても,それが必ずしも防災・減災に役立たない事例を数多く目にしてきた.何が欠けているのかを理学者の立場から考察し,研究者の役割を論じるとともに,防災知識の普及にかんする考え方の転換を提案する. 何が足りないのか 大地震や火山噴火に代表される低頻度の大規模自然災害に対しては,一般市民のもつ感覚や常識がめったに通用しない.自分の経験・知識・想像をはるかに越えた規模・様相をしめす現象がつぎつぎと発生し,社会全体が前例の乏しい過酷な体験にさらされる.個々の現象の原因や性格にかんするひととおりの知識をもつ専
第3章 アイスランド アイスランドは,火山と氷河によって彩られた美しい島であり,毎夏多くのヨーロッパ人,アメリカ人観光客たちがこの島の自然を満喫して帰っている.しかし,日本ではなぜかアイスランド観光の情報がほとんど手に入らない.夏のアイスランドは,家族連れで訪れてもかまわないほど,安全・快適かつ魅力に満ちた島である. レイキャヴィク★★―アイスランド観光の基地 コラム:レンタカーでの火山観光と注意点 シンクヴェトリル★★―地殻が拡大する場所 アルマンナギャオとシンクヴァトラヴァトン湖☆☆☆―大地の溝 コラム:アイスランドの地学的状況 レイキャヴィクから東火山帯へ★―火山と地震の国 コラム:氷河の下で生まれた卓状火山 ヴェイディヴェトン★★★―15世紀の噴火でつくられた凹地と湖 ヴェイディヴェトン湖☆☆☆―火山地帯の中のオアシス リョウティポトルル☆☆☆―火口に登る ランドマンナレイガル☆☆
小山真人著(ちくま新書130,1997年10月20日発売) 出版10周年を記念してWeb化を少しずつ始め,ようやくほぼすべてのWeb化を終えました.なお,Web化にあたって新たに加えた/省略した写真や図があります. 地殻変動や火山活動は美しい山や神秘的な湖を作り上げた.これらの自然景観は,いつ頃どのようにして出来たのだろうか.それについての知識があれば,自然はもっと親しみやすく,身近なものとなるだろう.気鋭の地質学者がヨーロッパ火山の成り立ち,現状,そして観光に必要な情報を案内,ありきたりの海外旅行では味わえない火山観光の魅力を紹介する. まえがき 火山を楽しむための基礎知識 第1章 ギリシア まるで夢の世界である.青い海と白い街,本当に絵に描いたような,にわかには信じがたい風景が目の前に展開する.数々の伝説や悲劇の舞台となったこの多島海,エーゲ海にも火山が存在する.3600年前におきた巨
リスクを市民に伝達する役目を負うすべての専門家へ 以下の本がたいへん参考になります. ●吉川肇子「リスク・コミュニケーション―相互理解とよりよい意思決定をめざして」福村出版,1999年,197頁,本体3200円 :専門家向きの厳密版 もくじ:リスク・コミュニケーションとはなにか/リスク・コミュニケーションが取り扱う問題/個人的選択についてのさまざまな理論/個人的選択に関する各分野の研究/社会的論争についてのさまざまな理論/社会的論争に関する実証的研究―ことに信頼の確立に向けて/リスク・コミュニケーションはどうあるべきか ●吉川肇子「リスクとつきあう」有斐閣選書,2000年,230頁,本体1600円 :上書をさらにわかりやすく書き直した普及版 もくじ:リスクはどのように伝えられているか/リスク・コミュニケーションとは何か/リスクを認識する/専門家の役割/増殖する不安/参加と合意形成/リス
(「UP」1996年3月号,東大出版会) 小山真人(静岡大学教育学部) 1596年京阪神大地震 文禄五年(慶長元年)閏七月十三日(1596年9月5日)未明,主として畿内(すなわち山城,大和,摂津,河内,和泉)に甚大な被害をもたらす地震がおきた.豊臣秀吉のいた京都伏見城天守閣が大破し(伏見城の圧死者600人という),秀吉は命からがら外へ避難したという有名な地震である.この地震をおこした震源断層の位置は確定しておらず,伏見から奈良盆地西縁の活断層帯や,大阪府北部から兵庫県南部にかけての有馬-高槻構造線が疑われているが,四国東部の中央構造線を主断層としたマグニチュード8クラスの地震であった可能性も指摘されている. さて,この地震前の文禄五年六月二十七日と地震直後の閏七月十五日との二回,京都から堺にかけての広い範囲で原因不明の降灰事件があったことを,事件を直接体験した僧侶・公卿・宣教師の複数の日記
伊豆半島の火山―その生い立ち・現在・未来 はじめに 1.伊豆半島はどこから来たのか 深い海だった時代(2000万年前~1000万年前) 浅い海だった時代(1000万年前~200万年前) 本州への衝突と陸域の出現(200万年前~100万年前) 陸上複成火山の時代(100万年前~20万年前) 伊豆東部火山群の時代(15万年前~現在) 2.伊豆半島はどこへ行くのか―伊豆半島をめぐる最近の火山噴火と地殻の動き 伊豆半島をめぐる現在の地学的状況 手石海丘は再噴火するか 参考文献 伊豆半島の地質学的歴史や火山のことをさらに深く学びたい人には,以下の文献をおすすめします. (全般について) 小山真人(1993):伊豆半島の火山とテクトニクス.科学,第63巻,312-321頁. (伊豆半島の北上と本州への衝突) 小山真人(1991):古地磁気から見たフィリピン海の構造発達史.地学雑誌,第100巻,628-
「死都日本」シンポジウム ―破局噴火のリスクと日本社会― 講演要旨集 目 次 シンポジウムによせて 石黒 耀 1 巨大火砕流想定小説、石黒耀著「死都日本」と科学者たち 岡田 弘 3 超巨大噴火と自然認識 伊藤和明 5 火山学者からみた「死都日本」の意義と魅力 小山真人 6 カルデラ噴火の地学的意味 荒牧重雄 9 南九州の大規模火砕流の多様性 宇井忠英 11 霧島火山の噴火史とハザードマップ 井村隆介 13 火山観測から見た霧島火山群と加久藤カルデラ 鍵山恒臣 18 日向灘の大地震と九州地方の地震・火山活動の関連性 山岡耕春 20 大規模火砕流の後に何が起こるか-ピナツボ火山の事例から 井上公夫 22 縄文の灰神楽-鬼界アカホヤ噴火で何が起こったか- 成尾英仁 27 大規模カルデラ噴火のリスクと予測可能性
あなたは1998年9月4日以来,人めの利用者です. 小山研究室では,火山学一般,歴史時代の火山噴火・地震活動史,テクトニクス,地震・火山防災,ジオパークなどを,おもに研究しています. Hot news ●南海トラフ地震臨時情報 過度な対応慎み 冷静に NEW! ●伊豆東部火山群の避難計画 多様な事態の対応検討を NEW! ●能登で生じた地震隆起 かつて県内も 対策柔軟に NEW! ●鳥島近海「謎の津波」海底火山噴火が原因か NEW! ●伊豆東部のマグマ活動 海岸の隆起跡から解明NEW! 元論文の掲載サイトとプレスリリース ●富士山の溶岩到達範囲 過去の経験に固執 危険 ●手薄な県内の防災専門家 組織的な雇用と育成を ●2022年台風15号による静岡県中部巴川下流域の河川氾濫 論文中に提示した浸水分布図(Fig.4A) ●静岡県点群データからQGISで高精細3D地形図を作成しスマホに移して散
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