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今年の「かわいい」
note.com/iwanaminote
2022年2月24日、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まりました。 多くの人にとって到底信じがたい、許しがたい非現実的な出来事であり、不意打ちのように襲いかかったこの人為的災厄を前に、人々は恐怖と混乱と麻痺状態に陥りました。そのようななかでロシアの政治・社会学者エカテリーナ・シュリマンは、社会科学の知見にもとづいて状況を的確に説明し、市民の不安をやわらげ、戦争にあらがう手段を個々人に行動可能な範囲で示してくれたのでした。その声にどれだけの人が救われたかわかりません。 戦争から1年が経つにあたって、『世界』臨時増刊「ウクライナ侵略戦争」(2022年4月)に掲載されたシュリマンの講演集「戦禍に社会科学はなにができるか」を再掲します。ここで述べられていることはすべて、いまなお読むに値するものです。 戦争の原因を特定の国民性に帰したり、指導者個人の思惑や歴史観を推量したり、武器の名称を並べ立てて戦
新型コロナ感染症が世界で大流行し、わたしたちの暮らしを支えるエッセンシャル・ワーカーの仕事に注目が集まった2020年の夏、人類学者デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』が日本で刊行され、多くの読者に読まれることとなりました。ですが、その日本語版刊行から1か月あまり後、59歳のグレーバーは突然の病によりこの世界から旅立ってしまいます。「アナキスト人類学」と題した本もあるグレーバーのアナキストとしてのあり方について、「長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす」が話題を呼んだ批評家の片岡大右さんにご寄稿いただきました。(編集部) 1 『ブルシット・ジョブ』への称賛と批判1-1『ブルシット・ジョブ』の反響デヴィッド・グレーバーの思いがけない死(2020年9月2日)から、早くも2年が過ぎた。日本ではとりわけ、秋口の急逝に先立つ2020年春から夏にかけ、この英国在住の米国人人類学者に対する関心
ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まって約1か月後の今年3月19日。 小説『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)でデビューされた逢坂冬馬さんと、随筆集『夕暮れに夜明けの歌を──文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス)を発表された奈倉有里さんに対談をしていただきました(『図書』2022年6月号掲載)。お互いの本についての感想から、戦争を描くことの両義性、戦争文学の「誤読」の問題、反戦運動への姿勢まで──いまの状況と交差するいくつもの大切なテーマが語られています。 今回、話題のひとつとして取り上げられている、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/奈倉有里訳『亜鉛の少年たち──アフガン帰還兵の証言 増補版』(岩波書店)刊行にあたり、『図書』より同対談を再掲します。ヘッダー画像はウクライナ出身の画家アルヒープ・クインジによる作品「海。クリミア」。(編集部) 逢坂冬馬氏、奈倉有里氏 翻訳文学とエンタ
ダゲレオタイプの作品で知られるアーティスト・映画監督の新井卓さんは、昨年(2021年)末、署名活動の呼びかけ人となりました。新型コロナ感染症(オミクロン株)の水際対策として施行された入国規制について政府に見直しを求めるもので、1カ月ほどで約12,000人もの署名が集まりました。なぜ新井さんはそのようなアクションを起こしたのか――。直面した困難や活動の経験について、ご寄稿いただきました。(編集部) ――家族とは、だれひとり取り残されたり、忘れられたりしないことを意味するんだよ。 『リロ・アンド・スティッチ』(2002) クリス・サンダース&ディーン・デュボア監督、 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ ――何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有す
ミハイル・シーシキンは、ウクライナ人の母、ロシア人の父をもつ作家。発表した作品はいずれも多くの言語に翻訳され、国内外で高く評価されてきた。 代表作『手紙』(新潮クレスト・ブックス、2012年)は、恋人たちが時空を超えて交わす書簡から、現代のロシアと義和団事件当時の中国が折り重なり、戦争のむごさに抗い人と人とをつないでいく「愛」の力が伝わってくる長篇小説だ。ほかに短篇「バックベルトの付いたコート」が、最近刊行された魅力的なアンソロジー、沼野充義・沼野恭子編訳『ヌマヌマ――はまったら抜けだせない現代ロシア小説傑作選』(河出書房新社、2021年)に収録されている。 シーシキンはこれまで度々ウクライナとロシアの国家間対立について文章を発表してきたが、今回、2022年のウクライナ侵攻に際してメッセージを日本の読者のために寄せてくれた。それを訳出するとともに、関連するシーシキンの2つの文章(『すばる』
2月24日、ロシア軍がウクライナを侵攻というニュースに、ロシア全土から悲しみと怒りと自責と謝罪の織り交ざった声が響いた。 2月25日、ロシアで広く尊敬されている作家・文芸批評家のドミートリー・ブィコフがラジオ局〈モスクワのこだま〉の持ち番組で、現在の状況を2時間近くにわたり語った。国を主語にものごとを考えることの危険を訴える、示唆に富んだ内容だった。その一部を、急遽ロシア文学者の奈倉有里さんに翻訳紹介していただいた。ヘッダー画像はウクライナ出身の画家アルヒープ・クインジによる作品「朝のドニエプル川」。(編集部) 1.形而上学的な憎悪にかられている今日の放送をしないで済むのなら、高い代償を払ってでもそうしたかった。自分の母親が亡くなった日と同じくらいの悲しみを抱え、それでも今日、逃げ出すことはできなかった。私たちが生きているあいだに、またもや戦争が起きた。 ロシアがどうやってこの戦争から抜け
【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(5)|匿名掲示板の正義が全国紙の正義になるまで|片岡大右 ※文中敬称略 1 エコーチェンバーからインフォデミックへ米国の法学者キャス・サンスティーンは、インターネットにおける「エコーチェンバー」現象を最初に指摘した学者として知られる(『インターネットは民主主義の敵か』、原著2001年/石川幸憲訳、毎日新聞社、2003年)。全世界に開かれているはずのサイバースペースのあちらこちらに閉鎖空間が生まれ、その内部で共鳴室のように特定傾向の意見や情報のみが響き渡 もっとみる
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。今回公開する(5)では、大いに問題のある情報が拡散し、公的なものと見なされ、社会的に巨大な影響力を持つに至った過程を、丹念に確認します。小山田氏について、そして、わたしたちが生きる世界を悩ます難事について、力強く再考をうながす評論の最終回です。(編集部) ※文中敬称略 1 エコーチェンバーからインフォデミックへ米国の法学者キャス・サンスティーンは、インターネットにおける「エコーチェンバー」現象を
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。そもそも、わたしたちの社会は、「いじめ」という言葉をどのように用いているのでしょう。昨夏の騒動と以降の認識に影響を及ぼしている「先入観」を問い、複雑で多様な現実に向き合うことを呼びかける、(4)を公開します。(編集部) ※文中敬称略 1 「いじめ紀行」を素直に読むことの難しさ本稿(1)で取り上げた、小山田圭吾ソロデビュー前の『月刊カドカワ』(角川書店)1991年9月号の記事からは、知的障害のあ
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。2021年夏から12月にかけて書き下ろされた原稿を、順次掲載しています。2021 年末に公開した(1)(2)につづき、「いじめ」と、その加害/被害について考察する(3)を公開します。(編集部) ※文中敬称略 1 岡崎京子と1990年代のいじめ観『ロッキング・オン・ジャパン』1994年1月号におけるいじめ関連発言の反響は、今回の騒動でさかんに言及されたもうひとつの記事、翌95年夏の『クイック・ジャ
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。(1)につづき(2)を公開します。問題とされた過去の雑誌インタビューは、実際にはどのようなものだったのでしょう。(編集部) *(3)以降は2022年1月に公開します。 ※文中敬称略 1 『ロッキング・オン・ジャパン』1994年1月号――「2ちゃんコピペ」の起源小山田圭吾の学校生活についてなんらかの感想を持ちその感想を公にしている人びとの大多数は、(1)で見た『月刊カドカワ』1991年9月号の記事
2021年7月15日、ミュージシャンの小山田圭吾氏が「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開会式の作曲メンバーであることが発表されました。その後、氏の過去のインタビュー記事についてネットで「炎上」が発生。大手紙にも取り上げられ、19日には氏の辞任が報じられることとなります。新型コロナ感染症の流行が拡大する緊急事態宣言下でありながら、各地の街頭やメディアはスポーツの祭典に色塗られ、多くの人が波立つ心ですごした夏。それから数か月を経て、五輪は遠のく過去になりつつあり、氏に関しても五輪をめぐる不適切な出来事のひとつとして曖昧に記憶されようとしています。しかし、燃えひろがった情報の炎の中にいたのは、ひとりのアーティストであり、そして人です。彼はそれほどまでに焼かれる必要があったのでしょうか。 この出来事が、パンデミックのもとで起きた、誤情報を多く含む「インフォデミック」であったことを
未知の疫病が流行する世界を描く、カレル・チャペック のSF戯曲『白い病』(阿部賢一訳、岩波文庫、2020年9月刊)。自著『分解の哲学』(青土社、2019年6月)の「第3章 人類の臨界――チャペックの未来小説について」でも、この作品を紹介されていた藤原辰史さんに、あらためて本作を読み解いていただきました。(参考:藤原辰史「パンデミックを生きる指針――歴史研究のアプローチ」) 『医学概論』の中で、川喜田愛郎はこう述べている。 〔近代医学の常識的な医学像が孕む大きな危険は〕人が病むという事実をいわゆる医学の型紙に合せて裁断し、病人を現代文明の社会が生んだ施設でもある病院の都合に従わせて診療する弊〔……〕を招きやすいという点である。裏返して言えば、病気があって医学が生まれ、病人のために医療がある、という言ってみればあたりまえのことが無視されたとは言わないまでも意識から薄れがちではあるまいか、という
世界各地の紛争や飢餓、災害の現場で、人びとの姿を写してきた、写真家の渋谷敦志さんに、コロナ専門病棟を取材されてのルポルタージュをご寄稿いただきました。連載(全3回)の第1回目です。 マナウスで接したパンデミック宣言の報 2020年3月11日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック(世界的大流行)」と宣言して、まもなく1年が経つ。2021年2月中旬の現在、国内のワクチン接種の動きがようやく始まり、終息まで続くトンネルの先にほのかに明かりが見えてきたかな、そんな心持ちでこの原稿を書いている。 3月11日といえば、東日本大震災が起きた日でもある。2011年のその日、ウガンダにいたぼくは、発生の1週間後に帰国し、すぐに被災地に駆けつけ、しばらくのあいだ無我夢中で取材した。 そして昨年の3月11日、COVID-19と名づけられた新たな感染症が人類の存亡にかかわる脅威だと
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