タロットの占いに行ったら塔が崩れるカードが二回続けて同じ場所に出た。三回目はダメ押しのようにひとつずれた場所に出た。「あなた引きが強いわね。今ぱつぱつでしょう」。そして紙一枚ぶんほどの薄い希望しかない暗い未来の話と、その先にある新しい世界の話をきいた。 イヤホンをつけて音楽を聴きながら長いこと歩いて家に帰ってからも、イヤホンを外す気になれなくてそのまま、音楽のボリュームを上げたままわたしは部屋の古いカーテンを外し、買ってきた新しいカーテンをつけはじめた。 音楽が耳のなかを通って、喉を抜けて、肺を駆け抜けて心臓を掴む。息が止まる。 新しいカーテンは、レールにリボンで結びつけるタイプのもので、わたしは両手をレールよりも高く上げて、リボンをきれいな蝶結びにしようと指を動かしていた。指がふるえて、止まって、そのままカーテンにしがみついて泣いた。生成りの薄いカーテンにマスカラがにじんだ。日が落ちてき