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大そうじへの備え
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以前のコラムに続いて、修復関連の話題をもう1つ。 古くなった革製品がボロボロと剥がれて、手や衣服が汚れてしまったという経験をされたことがある方は多いと思います。 図書館の革装丁の本も、背や表紙の革の部分が粉をふいたようになっていることがよくあります。 これは、「レッドロット」と呼ばれ、革が長期間にわたり空気中の汚染物質にさらされることで、コラーゲン繊維が破壊され、粉状になって剥がれていってしまう現象です。 使用する人や周りの図書や書架に汚れが飛び散り、その本自体も壊れていくので、修復をしなければいけません。 現在レッドロットの修復手順は、革を接着剤で固着させ、剥がれ落ちるのを防ぐという方法が一般的です。 【レッドロット修復の流れ】 1.乾いた布で汚れをふきとる 2.HPC(ヒドロキシ・プロセル・セルロース)を塗る 3.保革油を塗る 4.アクリルポリマーを塗る HPC(ヒドロキシ・プロセル・
筆者の手元に、「フォントかるた(欧文版)」と「活版印刷カレンダー」があります。今回のコラムは、この2つのグッズを取り上げながら、欧文書体について考えてみたいと思います。 「フォントかるた(欧文版)」は、遊びながら欧文書体を学ぶことができるユニークな製品です。バイリンガル仕様なので、英語の学習にも役立ちます。 一方、カレンダーの文字は、数字とアルファベットだけで組まれるので、実は、欧文書体と相性が良いのです。これらのグッズを通して、欧文書体について掘り下げてみたいと思います。 では、お楽しみください。 「フォントかるた(欧文版)」で遊びながら学ぶ 今回のコラムは趣向を変えて、欧文書体に触れてみようと思います。筆者自身はそれほど欧文書体に精通しているわけではなく、むしろ苦手な分野です。かねてから欧文書体については、じっくり学んでみたいと思っていました。 そんな折り、2022年10月に「フォント
とても不思議なアートブック、錯視トリックノート「NOUTO」(改訂ベスト版)が発売されました。本の体裁は一見普通の大学ノートのように見えます。ノートの中身は、授業中に誰もが経験したことがあるいたずら書きがいっぱい。でもよく見ると、絵が飛び出していたり、凹んでいたりと、不思議なトリックが…。 今回のコラムは、このユニークなアートブック「NOUTO」を紹介します。じっくりお楽しみください。 ノートのいたずら書きが飛び出して見える 今回ご紹介する錯視トリックノート「NOUTO」を企画・発売したのは、株式会社ノウトさん。東京 府中市の仕事場(作業場=通称:府中ベース)を訪ね、代表の高木芳紀さんにお話しを伺いました。 「NOUTO」の外観は、一見すると普通の大学ノートのようです。でもよく見ると、表紙の印刷の一部が消しゴムで消えています(写真1)。 「NOUTO」はノートに書いたいたずら書きを忠実に印
「板紙」ってご存知ですか? 板紙は、紙箱や紙容器、本の表紙などに使われる厚くて丈夫な紙です。生活に身近な紙であり、食品パッケージであれば、食品をしっかり保護してくれます。書籍であれば、表紙に利用することで、並製本の柔らかい本体部分を包んで本の強度を高めてくれます。目立たないけれど、なくてはならない紙なのです。 今回のコラムは、大阪に本社、工場を持つ大和板紙さんが、4月に東京、神田鍛冶町に営業所をオープン、ショールームが設置されたとのニュースを聞き、早速伺って見学させていただきました。板紙の使用例や用紙サンプルをじっくり見て、強度や質感などを触って確かめることができるようになったことは、デザイナーにとってもうれしいニュースです。JR山手線神田駅から近く、とても便利な立地です。紙選びに迷った時は訪れてみることをお勧めします。 では、さっそくショールームを覗いてみましょう。 見応えのある充実した
今回のコラムは、鉄道切符と活版印刷をめぐるお話です。かつて鉄道の切符は「硬券」と呼ばれる乗車券を購入して出かけたものでした。硬券は文字通り硬い紙でできた板紙です。これに印字するには、金属活字で組まれた版を用いて活版印刷で刷る方法が長い間の伝統的な技法でした。現在でも硬券を利用している鉄道会社は一部に残っていますので、実際に手にした方は多いと思います。 今回は、硬券の印刷を長年に渡り手がけてきた山口証券印刷株式会社を訪ね、貴重な資料を見せていただきながら硬券と活版印刷についてお話をうかがいました。私(生田)と一緒に取材に同行し、テキストをまとめていただいたのは、ブックデザイナーである板谷成雄さん。板谷さんは長年の鉄道ファンであり、鉄道に関する書籍も数多く手がけられておられます。今回のコラムでは、テキストをまとめる作業を板谷さんお願いしたところ、こころよく引き受けてくださいました。 明治期から
ショップ兼ワークスペース「THE LETTER PRESS」誕生 完成間近だというその場所に足を踏み入れると、別世界が広がっていた。リノベーションされた古い町家には柔らかな陽光がさしこみ、両側には手刷りの活版印刷機や見たこともないレトロな印刷加工機が並んでいる。まるで印刷機博物館のようなこの場所は、有限会社山添が2018年3月に立ち上げるショップ兼ワークスペースだ。その名も「THE LETTER PRESS」。 より多くの人に活版印刷に親しんでもらいたいとの思いから誕生した空間であり、工場で眠っていた古い機械たちの新たな活躍の場でもある。訪れる客は買い物以外にも、活版印刷機で手刷りをしたり、加工機を使って自分だけのオリジナルノートをつくったりと、ものづくりを楽しむことができる。立ち上げに際してはクラウドファンディングにも挑戦、157名の支援を集め目標を達成した。 「長い間使っていなかったと
今回はメンバーの1人が受講した国立国会図書館の遠隔研修「資料保存の基本的な考え方」に絡めて、資料保存という仕事をどのようにマネジメントするか?という観点から話題をご提供します。 ご存知の通り、国立国会図書館は国内唯一の国立図書館で、通常の図書館サービス以外にも様々な事業を実施しています。 図書館員を対象にした研修の実施もその1つで、今回メンバーが受講した「資料保存の基本的な考え方」は、インターネットを通して教材が自学自習で進めていくスタイルの研修です。 http://training.ndl.go.jp/course/under.html?id=45 国立国会図書館と言えば、国内最大の規模を誇り貴重な古典籍も多数所蔵する図書館です。 そんな図書館で実施している研修というと、非常に高度で専門的な内容というイメージを持たれるかもしれません。 実際に国立国会図書館ではそのような高度に専門的な資料
自分で活版印刷の入稿データを作るときは、活版印刷の流れや仕組みを知っておきたいものです。この連載は、活版印刷のデータの作り方を紹介しながら、活版印刷のしくみや注意事項などにも触れていきたいと思っています。皆さんのお役に立つ情報を届けたいという願いを込めてスタートします。 今回は、私が作成した名刺を題材に、Illustratorを使った印刷入稿データの作り方を紹介します。名刺は小型サイズの印刷物ですが、デザイン・印刷のエッセンスが詰まっています。奥が深いので、初心者の方であれば悩む場面も多いのではないでしょうか。 印刷原稿の基本は「フォーマット」づくりにあります。印刷に欠かせないトンボやガイドラインを自分のプラン通りに設定しておけば、制作時に迷うことも少ないでしょう。Illustratorのアプリケーションに慣れていない方にもフォーマットが作れるように、わかりやすく解説していきます。 ではI
ルリユールというものをご存知でしょうか。 ルリユールはフランス語で「製本」を意味する言葉です。 私自身は、以前のコラム(京都大学図書館資料保存ワークショップ[図書館に修復室をツクろう!]③ 2017/03/15)でご紹介した『西洋の書物工房』(貴田庄著.朝日新聞出版,2014.2 ISBN:9784022630148)を読んで、初めてこの言葉を知りました。 ルリユールはフランス語だと言いましたが、「ヨーロッパの製本術の正しい伝統が、今日、主としてフランス(ないしフランス語圏)においてのみ受け継がれている」(松本真也「フランス工芸製本の技術と歴史」『早稲田大学図書館紀要 第28号』1987.12;p.p.1-37)そうです。フランスでは、小説や詩集などの文芸本は仮製本で売られ、購入した人が製本屋へ持って行き、自分好みの装丁を施してもらうという伝統が長い間続きました。 『西洋の書物工房』を読ん
活版印刷研究所では、活版印刷や加工をはじめ 「色が持つメッセージ」 「紙が持つメッセージ」 「形でのメッセージ」 様々なメッセージを伝え、紙媒体や印刷が本来もつの楽しさを伝えたく考えています。 1958年福井県生まれ。東京 新宿区で編集プロダクション、ファーインクを運営する。書籍やムックの企画・執筆、制作などを行うほか、教育機関や企業内のDTPや印刷関連の講座やセミナーを受け持つ。 これまで手がけた共著書は、『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典』『プロなら誰でも知っている デザインの原則100』『InDesign/Illustratorで学ぶ レイアウト&ブックデザインの教科書』(以上、ボーンデジタル刊)、『デザイン。知らないと困る新・現場の100のルール』『デザインを学ぶ1 グラフィックデザイン基礎』(以上、エムディエヌコーポレーション刊)、『Illustrator 逆引きデザイ
はじめまして、ファー・インクの生田信一です。普段は書籍をつくったり、デザイン系の学校でDTPの授業を行っています。ファー・インクという会社で、これまでDTPや印刷に関する数多くの書籍や雑誌に関わってきました。 私自身は普段は書籍の編集や組版などの業務を行っており、印刷や製本・加工に関しては印刷会社のスペシャリストの方にお任せすることがほとんどです。今回、活版印刷に関するコラムを執筆する機会をいただきました。このコラムでは、クリエイターやデザイナーの方々がてがけた素敵な作品や、制作の裏側、たとえばデータ作成や製版、印刷、加工、用紙などの役立つ情報をお届けできればと考えています。私も勉強しながらの執筆になるかと思いますが、気長にお付き合いくださいませ。 ご近所の活版印刷事情 第一回目ということで、ご近所(東京都新宿区、文京区周辺)の印刷会社さんに触れながら、私自身が活版印刷に関心を持つようにな
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