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大そうじへの備え
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国内対立で紛争が絶えないスリランカであるが、停戦監視の努力にもかかわらず多くの死傷者を出す事件が発生した。(参照1)今後の戦闘激化が懸念されている。この種の内戦の終結が困難なのは世界で共通ではあるが、和平を促す外国勢力の持続的な関与がある事、島国で国境監視も比較的容易である事など、条件的に有利な面もある。また厳しい経済水準から政治の現状を考えると国民の資質も比較的高いように思われる。にもかかわらず状況は厳しいようだ。 例によって外務省のサイトを引用する。(参照2)日本からすると重要度の薄い小国という印象があるがここでの記述は多い。要人往来も活発である事が分かるだろう。日本との関係を記したページ(参照3)に率直に理由を記述しているのが面白い。シーレーンにあり地政学的に重要なこと、親日的であることと記されている。外務省はこういうときに建前を記述するに留めることが多かった印象があるが最近はそうで
日中の東シナ海ガス田問題は、日本では資源の問題というより主権の問題として、中国ではそれに加え共産党の政治的問題として認識されているようだ。そのため構造的に合意に達しにくい状況であり解決が難しい。またこのような広大な大陸棚が広がっている係争地域もあまりなく、政治的条件も異なり他国の事例も参考になりにくい。そのためこのキューバ沖の話は参考に出来る事例でもないのだが、米国内ではそれなりに話題となっていることから取り上げておきたい。 1977年、米国とキューバが双方の権利を保持するようフロリダ海峡を分割した条約を結んでいる。これはそれなりに海峡が深いこともあり、さすがに米国は大陸棚云々とキューバの領海近くまでの権利主張はしていない。また近年の米国は自国沿岸地域での石油・天然ガス開発はしていない。米国は環境保護団体の発言力が強いこともあり、事故による水質汚濁への懸念しているということが背景にある。過
台湾の陳総統が、南米への外遊に伴う立ち寄り先として希望していた米国内の都市に関して、ほぼ純然たる給油目的となるアンカレジが選定されたことに不満を表明しているようだ。(参照)New York Timesなどでもやや背景を含めて報じられているが、(参照2)この中台関係の現状に関しては基本的な状況を確認しておいてもいいかもしれない。 現時点での客観的な分析としては、このロス氏の論文が冷静にまとめていると思う。台湾の独立路線は頓挫したというものだ。全文を読むには購入する必要があるが、和訳は「論座」の」5月号に掲載されている。 端的な事実は下記の通りであろう。 But it has not resulted in widespread calls for a formal declaration of independence. Voters, reflecting Beijing's milita
小泉首相の訪米が6月に予定されている。その際、米議会での演説を検討してみてはどうかという米識者からの提言があると聞く。民主主義国として中国との違いもアピールできるし、吉田首相以来45年ぶりということで注目も集めるだろう、とのことだ。 米国での議会演説は格式があり、誰でも容認されるというわけではない以上、こういう機会は積極的に生かすべきであろう。米国人の琴線に触れるスピーチが出来れば良いのだが。 日本の政治家として、この種のスピーチで評判になった者は少ない。古い話になるが、過去第一次大戦時に石井菊次郎が行ったものがある。石井菊次郎は、第一次大戦への参戦に関してほぼイニシアティブを取った加藤高明と並んで、20世紀前半の日本外交を支えた人物である。陸奥や小村の時代に気迫を示した日本外交は、この時代に一層の成熟を示し一定の到達を示した感がある。しかし今日この両者はそれほど著名という印象は無い。歴史
今日はいつもの政治ネタはお休み。たまには趣味の話でもということで、いくつか自分の聴いたCDを推薦してみたい。 クラシック音楽の愛好家であれば良くある話であるが、必ずしも最新録音のCDばかり買い集めるというわけでは無いだろう。むしろ何十年も以前に録音された歴史的名演のCDを買い揃えていく場合が多いのではないか。精選されたものがベスト・クラシック100などの形で各レーベルから安価に発売されていたりするし、現実に(特に指揮者などは)優れた人々が多く故人となってしまった事情もある。作曲の分野では19世紀くらいまでに多くの業績が果たされてしまったように、演奏の分野でも1960年代までにある曲の最高の演奏は録音し尽くされてしまったのではないかという意見もしばしばある。私も例外ではなく、棚に並んでいるのは大体古いCDばかりである。ちなみに一番古いソースは19世紀のブラームスの肉声だろうか。辛うじてそうと
以前、梅田氏の「ウェブ進化論」という書籍を読み、簡単な感想のエントリを書いたことがある。今回の佐々木氏の「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」も近い内容を扱ったものだ。R30氏がブログで書評を書いているのでそちらも参照されたい。 書籍そのものの内容としては極めて妥当なものであり、むしろこれを読んだときの各人の感想が興味深いものとなる、と様々な人が述べている。私も似たような見解だ。何かを語る際の基盤として優れている感がある。 この書籍は、梅田氏の「ウェブ進化論」と比較すると確かに一般向きかもしれない。ビジネスの具体例がより実際的に、ローカルな個別企業の名も挙げる形で示されており、古典的なビジネス書に近い感もある。梅田氏の書籍と比較して対照的と言う人もいる。私などはむしろ「結局のところ同じことを語っている」側面のほうがより重要だと考えるのだが、そうでない人も多いのだろう。 むしろ
昨今の日韓は竹島問題で騒がしいが、この手の領土問題でモメる話は世界各地で良くある事である。比較的成熟した民主主義国でも完全に無縁とは行かず問題を抱える事がある。今回は例としてカナダとデンマーク間にあるハンス島問題を取り上げてみたい。 グリーンランドがデンマークの自治領として主権下にあるのは周知の事実である。このグリーンランドとカナダの間の狭い海峡にいくつかの小さな島があり、そのうちちょうど海峡の真ん中にあるハンス島が論争の対象となっている。この地図を見ると分かると思うがなかなか微妙な位置である。議論の発端は1973年に大陸棚に関して両国の帰属問題を決定した際に遡るが、このハンス島部分に関しては当時合意はなく政治的にも大きな問題とみなされていなかった。論争が大きくなってきたのは近年である。カナダドメインではあるが客観性はそれなりにあると思われるこのまとめサイトは参考になるだろう。その中で記述
昨年のG4案が廃案になって以来、安保理改革の話は停滞気味である。確かに案件は山のようにあり、特に今年になってからは人権委員会などの問題を放置して常任理事国入りの交渉など出来る状況ではない。イラン問題で揉め、スーダンやチャドがあの具合では日本も主張し辛いタイミングではある。 今月、興味深い事に国連次席大使の北岡伸一氏が複数の雑誌に国連関係で寄稿している。「中央公論」に安保理改革の停滞に関する話を、「論座」に安保理の実態や活動の意義を示す内容を寄せている。特に後者のほうが興味深くはあるが、いずれもこのブログなどよりよほど目を通す価値があるので推薦しておきたい。 前者の中央公論に掲載された内容は、今まで多くの識者が述べてきたことをまとめたものだ。もっとも内容の整理のされ方は大半のものより洗練されている。特に米国、中国、アフリカに課題があったとしている。ただ、ここで北岡氏はG4案が通る可能性はかな
また派手な事態になっている。スーダン政府がチャドの反政府勢力を煽って現政府を転覆させようとし、これに当面失敗、チャドのデビ大統領は怒り狂って国際社会がダルフールをどうにかしないことにはチャド領内の難民は全て叩き返すなどと言い出した。フランスはデビ大統領を支持し、自国民保護のためにチャドに派兵して戦闘機も飛び回っている状況だ。戦闘自体はまだかもしれないが。そして安保理もさすがに動き出し、6月にダルフールへの代表団派遣が決まったらしい。 関連エントリは以前にも挙げているので必要に応じて参照して欲しい。この件、国内報道は皆無に近いが国際的な関心は高いだろう。手軽に見ることが出来るものとしては、Washinton Postがかなり関連記事を載せており参考になる。まず直近の状況としてはこんな具合だ。(参照1)もう少し内容を補足してあるものとしてはこれもいい。(参照2)この記事ではデビ大統領の不正が挙
日米間FTAは検討を始めても良い課題だと思う。どっちにしろ時間がかかる話であるし、問題点を詰めるだけでも大変な手間だからだ。ただ農業部門が伝統的に問題になるので大変、などと思って調べていたら、日米租税条約が近年改定されているのに気がついた。何てことだ、こんな重要なことを今まで気付かなかったとは迂闊。 内容は財務省発表の文章、及びそこからのリンクで確認できる。元々租税条約は、二重課税の防止によるビジネスの円滑化などを目的としているもので、日本や米国など、世界の多くの経済先進国はこの種の条約をそれぞれ各国と結んでいる。今回のミソは、配当所得の軽減もさりながら、利子所得の源泉国免税が大きい。そして上記リンクページでさらっと1行だけで書かれている「使用料」の免除が大きなトピックかなと思っている。要は特許や著作権に関する内容だ。本文十二条に記載がある。 この条約のインパクトはかなり大きい。日本国内で
フランスではCPE問題を巡って連日派手なデモが繰り返されている。内容の詳細は様々なメディアで報道されているのでここでは省略する。要は、雇用の硬直性を打破し、若年失業率を下げようとしての施策が、為政者の思ったほどには支持されていないということだ。 この件は世界中で報道されており、米国では相変わらず揶揄するような意見も多い。ただ毎日のこの記事が珍しく冷静に背景を解説している。(参照)フランスは少し特殊な国で、とかくこの手のデモは当たり前のように頻発する伝統がある(といっても今回は大規模だが)日本人の私からすると、社会の多数派が支持するようなデモも一度くらい参加してみたいと思わなくも無い。このような事態でフランス国内の不安定を言い出す記事は適当に読み流せばよいだろう。彼らは相変わらず平然とフランス人でいるのである。むしろ興味深いのは、この手の問題が世界的に報道される度合いが増えたと言うことだ。1
今日はとても残念なニュースを耳にすることになった。日本の政党政治の成熟の過程が、相変わらず遅々としたものである事を実感することになった。前原民主党代表が辞任するという。メール問題の責任を取るとの事だ。確かに格好の悪い、稚拙な誤りであっただろう。しかしこれは代表辞任に値するものなのであろうか。 以前のエントリでも、年金問題での交代に苦言を呈したことがあった。今回言いたいことも全く同じだ。野党第一党の党首は選挙結果次第で内閣総理大臣となる。今回のメール問題は内閣が吹き飛ぶほどの大問題だろうか。国民は批判しつつも多少のことでは揺るがない一徹さ、容易に変化しない存在の重みも静かに求めているのである。 複雑で高度な社会を運営する現代政治は、大多数の人が賛同するような政策はそれほどない。あるとしたらとっくに解決済みとなっているか、やり残していてこんな課題がまだ残っていたかと発覚したときに時代錯誤的な印
最後に5章以下の地域情勢・日本の取り得る方策について記述した部分に触れてみたい。これらの部分は客観的で要点が綺麗にまとめられている印象があり、内容も大半は極めて妥当なものと感じる。私がどうこう言う余地も無いものであるが、軽く感想などを述べてみたい。 ・ロシアの政策 他の国に関しては、政治の論理、客観条件などからある程度力学的に政策を決定せざるを得ない。しかしロシアは、歴史的に見ても指導者層の判断や選択が比較的大きなウェイトを占めつつ路線が決定されている。(肝心な時に間違っている気もするが)プーチン大統領自身の能力は高いのかもしれないが、やや場当たり的で徹底さを欠く印象がある。その意味ではむしろプーチン後の路線がかなり重要だろう。G8追放の検討はマケイン氏あたりが中心となっているようだが、ライス長官の言うように(少なくとも現時点では)誤りだろう。日本も様々にアプローチをかけているが、現在の小
前回エントリに続いて、個別内容にコメントしてみたい。 ・第2章 やや伝統主義的な記述に傾きすぎている嫌いはないだろうか。資源に関しては、割合もさりながら絶対消費量と入手性、代替可能性などを考えないとやや一面的ではないか。現状の世界情勢だと支払いの確実な日本は最高の上客で、資源を外交カードにしようという試みは近年の世界で成功例があるのだろうか。河川の上流を管理している国が下流に嫌がらせすると言う程度ではないか。それ以外は最近のロシアのような考え違いとなって終わるだろう。それでも原油や天然ガスは代替可能性が低めの資源だからまだマシなくらいだ。銅線が駄目なら光ファイバー、くらいの規模でマクロ認識をすれば工業国有利の構図はそうは変わらない。貿易が安全であることがほぼ唯一の決定的な要素であろう。 同様の事は食料に関しても言える。日本は比較的食文化が多様な部類に属する国であるということも勘案しなければ
ここを目にしている多くの人はかんべえ氏の溜池通信にも目を通しておられると思う。その最新号にて、東京財団の研究報告書が紹介されていた。的確な内容であるし、インターネット上で全文公開されているのでぜひ読んでみて欲しい。(参照)今回はこの報告書に関して感想を述べてみたいと思う。 巻頭に示される通り、この報告書は日本の安全保障政策に関しての議論を喚起するもので、専門用語を極力拝した平易かつ丁寧な表現で、政策担当者のみならず広く国民一般に語りかける啓蒙的な色彩が強い。その目的に沿った内容であると思う。以下に記す私の感想は、一部ネガティブな表現があるにせよ、全体としてこの文章が10のうち8か9くらいは適切なものであって残りの部分を強調したものに過ぎないという事は断っておきたい。 序章にはっきり記載されている通り、現在の安全保障環境をまずゼロベースで考え、過去の経緯に引きずられない客観的な議論が必要であ
ホワイトハウスから国家安全保障戦略に関して改訂版が発表されている。戦略の要点、これまでの成果、今後の課題などを平易に記述してある。戦略内容としては今までと極端に変わるものではないが、手段に関してはやや穏健な表現になっているようだ。 以前、米国の戦略に関しては、先制攻撃と予防戦争の違いに関して、海外の著名人の論文を引用する形でエントリを書いたことがある。今回もその違いは示されてはいるようではあるが、明確極まりないというものではない。イラク戦争は先制攻撃ではなく古典的な予防戦争なのだが、意図的にミスリードするマスコミもあるのは残念なことだ。しかしいずれにせよ、戦略としては妥当性はあり、それをどう効率的な手法で達成するかが問題であることは米国内の議論の方向性としてほぼ間違いないところだ。 今回の発表内容はこのようなものである。長大な文章ではないし全て要所がまとめられたものなので全て目を通すと良い
ダルフール危機によるチャドへの難民流入は以前から問題になっていた。最近はスーダン民兵組織のジャンジャウィードが一部越境して、両国間にまたがる問題となりつつあるようだ。極東ブログさんの方で関連エントリを挙げておられるのでそちらも参照されたい。なおBBCの報道するところによると、チャド政府は公式に非難しているようだ。(参照) いつもの事だが、馴染みの薄い国なので外務省サイトからチャドの基本データをリンクしておく。(参照2)昨年の外相来日時のものも面白い。(参照3)世界の最貧国であることは間違いないし、動乱の歴史が続いたが、この10数年くらいは現実主義的な外交で実績を挙げているようだ。もちろん判断基準を上げ過ぎてはいけないが。そして目を引くのは、この国は台湾と国交を結んでいることだ。もちろんそれだけが混乱の原因ではないだろうが、中国から一定の働きかけはあったと思ってよいだろう。 またその種の議論
ブッシュ大統領がインドを訪問する。原子力エネルギーに関しての協定の件で、議会との軋轢はかなり激しいようだ。NPTに加盟していない国に特別な地位を与えるべきで無いと。これは複雑な問題を含んでいる。 この付近の文章を、コメントを含めて読んでみて欲しい。議論としては極めてストレートなもので、現段階でインドの将来に懐疑を持ち、肩入れし過ぎるという意見はごく真っ当だと思う。私もそうだが、日本人一般の知識人もそれほど信じ切れないのではないか。 これに関しては、上記にリンクもあるこのインド側のテキストを読むとむしろ雰囲気は分かりやすいかもしれない。例えばこの付近など。 The essence of what was agreed in Washington last July was a shared understanding of our growing energy needs. In recog
珍しく休暇を取って旅行に行っていた。暇なホテルでの夜に最近話題の梅田氏の著作「ウェブ進化論」を読んだ。私は元々ネットにどっぷりという人間ではないのでこの種の一般人向けの本としての丁寧な著作は有難い。久々の更新の割にはただ暇潰しエントリになってしまうがつらつらと思ったことを書いてみたい。そういうわけで書評と言うわけでもない。主に読んだ人に対するメッセージだと思ってもらいたい。 この梅田氏の著作については、インターネットバブル崩壊後の第二世代のネット技術の進化の要点を鋭く押さえているという点をまず評価しなければならない。そして語られて無い点が重要だという言い方で、R30氏が2回のエントリ(上・下)においてある本質的な部分を的確に喝破している。しかしながら、私の抱いた最初の見解としては、むしろ古典的アプローチの先鋭化がネットによってなされているというものであった。純技術的に言えば、このIT革命の
タイトルに示す西サハラの件、どこかの機会でエントリしておこうと思っていた。つい先日ル・モンド・ディプロマティークの記事(参照)を見かけたのでこれを機会に立てておこうと思う。広大な地が世界地図で空白となっているが、人口は約30万人程度のこの地域、ある意味で世界史と現代の縮図だ。 上記の記事はフランスのある種の知識人を代表する意見として的確だ。多くの事実関係を整理して把握するのにも役立つ。ただ恐らく、これを読んでも大半の日本人はピンと来ないはずだ。まずスペインの旧植民地支配からの経緯がある。 今でもセウタやメリリャなど、モロッコに飛び地としてスペイン領がある事を知っている日本人はいるかと思う。ただスペインは沿岸部にそのようなものを多数抱えていた。中にはセウタやメリリャの維持を条件に放棄したものもある。そしてモロッコ自体はフランスの植民地であったわけだが、この地はアフリカの中でも旧列強に振り回さ
核拡散を防ぐための模索は様々な形で継続しているが、その一環として使用済み核燃料の国際協力の件が進んでいる。これはここ最近加速してきたもので、今月6日時点で主要な原子力大国との国際協力を進めるという米エネルギー省からの提案がなされている。(参照) このニュースに次いで、米エネルギー副長官が日本の核燃料サイクルを持ち上げる発言がなされている。(参照2)このこと自体は日本の経済力や技術を考えれば何と言うことも無いが、タイミングとしてはちょうどfinalventさんが日記で触れていたインドの件などとセットで考えるべきだと思う。まぁ、いきなり名指しされても私に振られても困るとしか言いようが無いが(苦笑) イランとインドが良好な関係を維持しているというのは日本の立場とやや類似している。ただインドは原子力関係でかくのごときプレッシャーを受けている。この記事はインドを牽制して、イランへの圧力とするのが背景
国内的な要因がないと外交的リアクションも出てこないというのは米国に限った話では無いし珍しくも無い。だが、この件はいかにもその典型であるように思われる。米国務省は外国政府の自国内のインターネット検閲に対しこれを緩和するための努力として委員会を設置したことを発表した。これは米国企業の中国内での活動が米国内で問題になっているのが主な背景である。 国務省の発表はこのような内容だ。(参照)理念的なものが先行している感があるが、より国内的な贖罪の要素が強いようにも見受けられる。米国を代表する会社が専制政治の手助けをしているという批判は日本人の考えている以上に強い。具体的に言うとGoogle,Yahoo,Microsoft,Cisco Systemsの4社が矢面に立たされており、ちょうど今頃議会に呼び出されていると思うが、米国では針のむしろ状態らしい。 普段から保守的な論調で、国内的なカラーが強いと思わ
皇室典範改正問題に関して、小泉首相は有識者会議の結果をベースとした強固な改正派として振舞っていたようだ。どのような思惑かは分からないが、そういうのが無かったとしても小泉首相の政治スタンスから大きく離れたものでは無いので、いつも通り強引なだけかと思っていた。とはいうものの、たまには遊びで小泉首相の思惑を考えてみるのもいいかもしれない。 昨年の衆院選は様々な意味で例外的な選挙だった。郵政民営化に関して問うたものではあるが、結果としてある程度議員の政治性向を分ける結果となった。ただ思想的なものというより、損得勘定といった力学が先行した感はある。日本でなかなか政権交代が常態化する状況にならないのは、欧米のように政治思想や哲学をベースとする精神的な基盤が少ないからだろう。むしろ実益主義的な行為が先行する。他にも理由は色々ある。立法府の弱体、行政府の過大な優越が大きな原因だろう。とはいっても立法府が活
前回も追記を加えたのだが、この件は自分の認識と世間のギャップが多少大きいようだ。蛇足もいいところではあるのだが、もう少しこの件に関するつぶやきを記してみようと思う。ただ実態と合っているかどうかとなると、地域によっても違うし、元々大雑把な意見なのでどうというものでもないが。 この件、欧州における移民が背景というのは全くそうであるのだが、それは攻撃的な構図として見るべきではないだろう。むしろ旧来からの宗教その他に対するタブーの増加には、成熟した社会として柔軟に対応していたと。しかし当然摩擦はあるわけで、今回のような風刺画はいわば社会のガス抜きのような行動の現われだろう。そのような所までに注文をつけるのかという事で、むしろ欧州諸国は被害者だという意識があるのではないか。 また、前回のエントリのコメントでも軽く触れたが、例えばテロ組織のように、欧米などのキリスト教世界との対立が継続すること自体にメ
末尾に記述を追加しました。('06.2.4) デンマークに端を発するムハンマドの風刺画問題だが、欧州全域に飛び火する状況で蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。またパレスチナ選挙やイランでもめている最中にタイミングの悪い事だ。とりあえずメモ代わりのエントリ程度。 ちなみに発端となったのはこれらしい。概要はワシントンポストの記事がまとまっているので引用する。(参照)このコラムも参考になるだろう。(参照2)実のところ、欧州の反応はキリスト教やユダヤ教におけるタブーとも重なり、イスラム地域の世論に関しては理解しているし、一般論としては融和的なのだろう。同じくワシントンポストのこのコラムで示されていた内容はなかなか示唆的だ。(参照3)一部引用する。 The complication in the cartoon controversy, says Islam Online, "stems from th
米国で年頭の恒例とされる、大統領の一般教書演説が行われた。内容は様々な所で公開されているが、今回ホワイトハウスが内容の補足まで含めてかなりの情報を挙げている。まずは全文のリンクを参照してほしいが、ここの上のほうにある各ページへのリンクは見ておくべきであろう。米国政治は日本以上に公式に発表された一次情報が重要であるが、これはその典型といえる。読めばいいだけの話で私が何を補足するものでもないが、軽く感想くらいは述べてみたい。 一般教書の演説そのものに関しては国内の報道で要点が紹介されている。しかしどうにも適切と思えるものが無い。ここで重要なのは、演説内容そのものもそうであるが、それをとりまく英語表現の雰囲気とか、ある種の理想主義の体現の部分のように思われる。核心部分をとりまく建前の部分にかなり本質的な内容が入っているのである。日本などではしばしば左派勢力が美辞麗句と貶めるが、もちろん米国政治に
パレスチナ議会選挙でハマスが過半数を確保したと報じられている。やや意外感を持って受け止められているようだが、そのこと自体にやや違和感を持った。日本やアメリカに限らず、多くの民主主義国はパレスチナを語るのに自国の基準を知らず知らずに当てはめているのだなと改めて思った。 いわゆる途上国に分類される国では、基本的に秩序の維持が最大の正統性を確保する。犯罪が発生したときに、曲がりなりにもそれを取り締まる組織に頼るしかない。実質的な能力に付き従うと考えてよいだろう。現在、パレスチナ自治政府の能力は限定されている。ハマスはテロ組織といっても組織化されており、福祉や医療などのサービスを市民に提供している。特にガザ地区では自治政府は世の中の現実解であるとパレスチナ市民にみなされてないのだろう。それを考えると自治政府の選挙結果は健闘したと表現することも可能だろう。 またこれは私の推察に過ぎないが、パレスチナ
内閣改造にて竹中氏が総務相となったが、これは当時から注目してもいい出来事かなと思っていた。良くも悪くも小泉首相の改革路線を進めている中心人物の一人だからだ。今回はFinancial Timesで取り上げられているのが目を引いた。(参照)iPODにやられたSONYなどを例に引き、商習慣と既得権益がビジネスチャンスを逸しているとしている。 社会の改革というものは、概して民主主義国では議会政治家が最初に担うことが多い。何だかんだと言っても、国民に直接選出された人物であるというのは意味があるのだろう。そして国民のサイレントマジョリティはそれをかなりわずかの時間で理解するように思われる。むしろ知識人や官僚の類が硬直的だ。そして民間企業といっても、既存の社会の仕組みで利益を受けている立場の企業は意識として遅れている事が多い。この典型は大手マスコミだろう。NHKと民放のキー局5社は、電力会社や航空会社あ
私が継続して購読している日本の雑誌はさほど多くないが、その中の一つに「中央公論」がある。言うまでも無く論壇誌の個別の論説には良し悪しがあり、その責任はそれぞれの著者が負うものではあるが、定期刊行される雑誌には世の議論の知的水準を高水準で確保し、一種の社会インフラとして維持しつづける義務があるだろう。曲がりなりにもそれをそこそこ果たしているという意味で好感を抱いている。 今回は、2月号に掲載された鳥居民氏の「日米開戦にいたる海軍の不作為」を推薦しておきたい。具体的な内容は同誌を読んでいただく事になるが、簡単に内容の一部を紹介しつつ思うところを述べてみたい。 まず、日米戦に至る決定的な要素が南部仏印進駐であったことは、以前の関連するエントリでも書いたが、広く知られている事実だ。そこに至るまで、もちろん北部仏印進駐からの問題ではあるが、陸海軍や政治家がどういう論理で動いてきたかが適切にまとめられ
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