⚫︎町屋良平「小説の死後―(にも書かれる散文のために)―「批評」しやすい吉井磨弥、「批評」しにくい青木淳悟」(「群像」11月号)。とても面白かった。「小説」について書かれた文章がこんなに面白いのはとても稀なことだ。 「批評」や「人文系の本」を読んでいて常にストレスになるのは、「前提にしちゃってるけどそれって自明ではないよね」とか「その要約・まとめに納得できないんだけど」とか「なんでそう言い切れるのかわからないんだけど」とか「その「社会的な(慣習的な)思い込み」をそのまま採用していいの ?」とか、そういう疑問や引っ掛かりが次々と出てきて、その都度立ち止まって「いや、とりあえず、これはこれとして飲み込んで(これを受け入れられると仮定して)次の展開を見ていこう」と、何度も小さな妥協と気の取り直しを繰り返さないと読み進められないことが多いところだが(これが多すぎるとまったく先に進めなくなる)、まず