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銀河の中心にある超巨大ブラックホールによって銀河風が吹き荒れるようすの想像図。超巨大ブラックホールから放出される莫大なエネルギーによって星の材料である星間物質が吹き飛ばされています。 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) 宇宙には幾多の銀河が存在していますが、多くの大型の銀河の中心には、太陽の数百万倍から数百億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールが隠れています。興味深いことに、そのブラックホールの質量と銀河中央部(バルジ)の質量はほぼ比例します。一見当たり前のようで、これはとても不思議な事実です。それは、銀河とブラックホールの大きさが10桁ほど異なるからです。それほど大きさが違う2者の質量にきれいな比例関係があることから、天文学者は両者が何らかの物理的相互作用をしながら共に成長・進化した、つまり「共進化」したと考えています。 銀河とブラックホールの共進化で重要な役割を果
M87ブラックホール近傍の偏光観測データをもとに合成された画像。白線の向きは偏光の方向と一致し、ブラックホール周辺の磁場の向きと関係している。Credit:Event Horizon Telescope Collaboration 「私たちが今見ているのは、磁場がブラックホールの周りでどのように振る舞うか、そしてこの非常に小さい領域から銀河をはるかに超えて広がる強力なジェットがどう噴出するかを理解するためにとても重要な証拠です。」EHT偏光作業班の取りまとめ役で、オランダ・ラドバウド大学のモニカ・モシチブロツカ助教は、このように述べています。 2019年4月10日、科学者たちはブラックホールの最初の画像を公開し、ブラックホール・シャドウという暗い領域と、その周りの明るいリング構造を明らかにしました。それ以来、EHTプロジェクトは、2017年のM87観測データを深く解析し、M87ブラックホー
アルマ望遠鏡が観測した回転円盤銀河「ヴォルフェ円盤」。塵の分布を黄色、炭素イオンガスの分布をマゼンタで表現しています。宇宙年齢が現在の1割ほどだった時代に存在した巨大な銀河です。 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. Neeleman; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello 今回アルマ望遠鏡で観測した銀河は「DLA0817g」と名付けられていますが、研究チームは天文学者である故アーサー・ヴォルフェの名を取って「ヴォルフェ円盤」と呼んでいます。この銀河は、これまで発見された中で最も遠くにある回転円盤銀河です [1] 。アルマ望遠鏡の高い観測能力によって、この銀河が秒速272キロメートルで回転していることが今回明らかになりました。この回転速度は、天の川銀河の回転速度とほぼ同じです。 ドイツ・マックスプランク天文学研究所のマーセル・ニールマン氏は「これま
太陽系に飛来したボリソフ彗星の想像図。ボリソフ彗星は、太陽系の外からやってきたことが確認された初めての彗星です。彗星本体(彗星核)は氷と塵の粒子が緩やかにかたまった状態にあり、その大きさはせいぜい1キロメートル程度と考えられています。彗星核が太陽に近づくと温度が上がるため、氷が昇華してガスが噴き出します。 Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello アルマ望遠鏡によるボリソフ彗星の観測は、NASAゴダード宇宙飛行センターのマーティン・コーディナー氏とステファニー・ミラン氏らの研究チームによって行われました。この観測の結果、彗星から噴き出したガスから、一酸化炭素(CO)とシアン化水素(HCN)が検出されました。別の望遠鏡による観測から、ボリソフ彗星から噴き出す水分子(H2O)の量が見積もられていたため、コーディナー氏らは水分子に対する一酸化炭素とシアン化水素の含有量を
アルマ望遠鏡によって、連星系 [1] を成すふたつの星が織りなす美しいガスの広がりが撮影されました。ひとつの星が年老いて大きく膨らんだことで、もう一方の星がそのガスの広がりに取り込まれてしまい、この星の動きによって年老いた星のガスが大量に宇宙空間にまき散らされてしまったのです。 アルマ望遠鏡が撮影した、連星系HD 101584周囲のガスの広がり。色はガスの動きを表していて、赤が地球に対して遠ざかるガス、青が地球に対して近づくガス、緑はその中間の速度を持つガスです。中心の星から画像左右方向には、細長いガスの流れ(ジェット)が見えています。連星系は中心の明るい緑色の部分にあります。 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Olofsson et al. Acknowledgement: Robert Cumming 人間と同じように、星にも一生があり、宇宙に輝いている星もい
東京大学宇宙線研究所の藤本征史氏 (現在はコペンハーゲン大学のドーン・フェロー)を中心とする国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使った観測によって、宇宙誕生後およそ10億年の時代にある銀河の周囲に半径約3万光年におよぶ巨大な炭素ガス雲があることを世界で初めて発見しました。炭素は、宇宙が誕生した時には存在していませんでした。今回の観測によって、星の中で核融合反応によって作られた炭素が宇宙初期の銀河周辺にばらまかれて巨大な炭素ガス雲を形成したことが、初めて明らかになりました。これまでの理論モデルでは、宇宙初期の銀河のまわりにこのように巨大な炭素ガス雲の存在は予言されていませんでした。今回の発見は、従来の宇宙進化の考え方に一石を投じるものです。 ビックバン直後の宇宙には水素とわずかなヘリウムしか存在していませんでした。一方で現在の宇宙には、地球の大気や生命の材料にもなっている、炭素や酸素などの重元素
プレスリリース全文と画像・映像などは、国立天文台のプレスキット「史上初、ブラックホールの撮影に成功」から閲覧・ダウンロードしていただけます。日本チームの貢献については、EHT-Jウェブサイトをご覧ください。 イベント・ホライズン・テレスコープは、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクトであり、ブラックホールの画像を撮影することを目標としています。2019年4月10日、研究チームは世界6か所で同時に行われた記者会見において、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で直接証明することに成功したことを発表しました。 イベント・ホライズン・テレスコープで撮影された、銀河M87中心の巨大ブラックホールシャドウ。リング状の明るい部分の大きさはおよそ42マイクロ秒角であり、月面に置いた野球のボールを地球から見た時の大きさに相当します。 Credit: EHT Collaboratio
2018年6月16日、2億光年かなたのひとつの銀河で発生した大爆発が地球でとらえられました。しかし、その爆発はこれまでに観測されたものとはまったく違っていました。研究者の間ではまだ論争が続いていますが、宇宙の中でも極めてエネルギーの高い現象が発生する瞬間を目の当たりにしたようです。 アルマ望遠鏡とアメリカの電波望遠鏡VLAが観測したAT2018cow。銀河の中心から少し離れた位置で発生した大爆発でした。 Credit: Sophia Dagnello, NRAO/AUI/NSF; R. Margutti, W.M. Keck Observatory; Ho, et al. この爆発は、ハワイで行われている「アトラス(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System: ATLAS)」という全天観測プロジェクトで最初にとらえられました。そしてすぐ、その
宇宙には、太陽系のような惑星系が数多く発見されています。その数は4000にも迫るほどで、太陽系とは似ても似つかぬ惑星系があることも判明しています。では、そもそも惑星とはどのようにできるのでしょうか? 多様な惑星系はどのように作られ、どんな場所であれば地球のようなサイズ・環境の惑星ができるのでしょうか? 太陽系外惑星の研究は、私たちが住む地球のルーツにも謎を投げかけています。 この謎に答えるには、惑星系誕生現場を詳しく調べる必要があります。今回、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのショーン・アンドリュース氏らのチームは、アルマ望遠鏡を使って惑星系誕生現場の大規模観測に挑みました。DSHARP(Disk Substructures at High Angular Resolution Project: 高解像度による原始惑星系円盤構造観測プロジェクト)と名付けられたこの大規模観測計画
国立天文台の泉拓磨氏、鹿児島大学の和田桂一氏を中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を使ってコンパス座銀河の中心に位置する超巨大ブラックホールを観測し、その周囲のガスの分布と動きをこれまでになく詳細に明らかにすることに成功しました。活動的な超巨大ブラックホールの周囲にはガスや塵のドーナツ状構造が存在すると考えられてきましたが、その成因は長年の謎でした。今回の観測結果とスーパーコンピュータによるシミュレーションを駆使することで、超巨大ブラックホールの周囲を回りながら落下していく分子ガス円盤と、超巨大ブラックホールのすぐ近くから巻き上げられる原子ガスの存在が浮かび上がり、これらの「ガスの流れ」が自然とドーナツ的構造を作っていることが確かめられました。この結果は、存在そのものは天文学の教科書に掲載されていながら、その詳しい構造・運動・形成メカニズムがわかっていなかったドーナツ状構造の正体を暴いた、
大阪産業大学/国立天文台の橋本拓也氏、大阪産業大学の馬渡健氏(現在の所属は東京大学)と井上昭雄氏らの国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使って非常に遠方にある銀河MACS1149-JD1を観測しました。その結果、この銀河が地球から132.8億光年の距離にあることが判明しました。さらに研究チームは、この銀河に酸素が含まれていることを発見しました。これまで最も遠くで発見されていた酸素の記録を塗り替え、観測史上最も遠方で酸素を発見したことになります。ハッブル宇宙望遠鏡などでの観測成果と合わせると、この銀河の中では宇宙誕生からおよそ2.5億年が経過したころから活発に星が作られ始めたと考えられます。アルマ望遠鏡の高い感度により、宇宙最初の星や銀河が生まれたその時代にまた一歩迫ることができました。 「人類史上最も遠い酸素が見えた時には、嬉しさを通り越してドキドキしていました。興奮のあまり、その日の夜の夢に
オリオン座の一等星ベテルギウスの姿を、アルマ望遠鏡が視力4000を超える超高解像度でとらえました。ベテルギウスは、その一生の終末期である赤色超巨星の段階にあり、太陽のおよそ1400倍の大きさにまでふくらんでいます。アルマ望遠鏡が撮影した画像では、星表面の一部で電波が強くなっており(画像内の白い部分)、周囲より1000度ほど高温になっていることがわかりました。また画像左側には、少しふくらんだような構造も見えています。 超高解像度観測で調べる星の表面 夜空に見える星は非常に遠くにあるので、望遠鏡で見てもふつうは点にしか見えません。しかしベテルギウスは、地球から約500光年と比較的近い位置にある上、太陽の1400倍(太陽系で言えば木星の軌道のあたり)にまで膨らんでいるため、非常に高い解像度の観測で表面の模様を調べることができる数少ない星のひとつです。 アルマ望遠鏡が見たのは、可視光で見た時のベテ
アルマ10周年特設サイト アルマ望遠鏡科学観測開始10周年特設サイトを公開しました。これまでの成果ハイライトや特別インタビューなど、盛りだくさんです。 READ MORE アルマ望遠鏡とは アルマ望遠鏡は、日本が主導する東アジア・北米・ヨーロッパ・チリの諸国が協力して進めている国際プロジェクトで建設された電波望遠鏡です。 READ MORE
1 宇宙の謎に挑む、アルマ望遠鏡 「私たちが住む太陽系は、どのように生まれたのだろう?」 「生命の材料は、地球以外の場所にも存在しているのだろうか?」 人類が長年抱いてきたこんな疑問に挑む最前線が、アルマ望遠鏡です。南米チリの標高5,000mの高地に建設され、2011年に科学観測を開始したこの巨大望遠鏡。これを使えば、星や惑星の材料となる塵やガス、生命の材料になるかもしれない物質が放つかすかな電波を、「視力6000」に相当する圧倒的な性能でとらえることができます。惑星誕生のメカニズムや地球外生命の可能性を明らかにし、私たちのルーツを宇宙にたどること。これが、日本を含む22の国と地域が協力して運用するアルマ望遠鏡の使命です。ここでは、アルマ望遠鏡が挑む壮大な宇宙の謎と、その解明を目指す取り組みについて紹介します。 2 138億年の宇宙の歴史を解き明かす アルマ望遠鏡は、130億光年以上も遠く
図1. オリオンKL電波源Iの想像図。大質量原始星の周囲に円盤が取り巻いており、円盤外縁部の表面からアウトフローが吹きだしている様子を描いています。 Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) 研究の背景 宇宙には、さまざまな質量の星が存在します。太陽の10%以下の質量のものもあれば、太陽の100倍を超える質量を持つものもあり、実に多様性に富んでいるのです。一般的に星は、宇宙空間を漂うガス雲が自らの重力によって収縮することで誕生します。太陽のような小質量の星の形成過程は比較的よく解明されていますが、大質量星(太陽の10倍程度以上の質量を持つ星)の誕生メカニズムについては未解明の点が多く残されています。これは、小質量の星の数が豊富で、太陽系の近くに小質量星の形成現場が多くあって観測しやすいからです。一方で大質量星は数が少なく、形成現場も非常に遠くにしかないため、これまでは詳しい
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