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インタビュー
abc-kd.hatenablog.com
古井義昭『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』が法政大学出版局から刊行された。本エントリは、本書のおそらく最速にして、今後だれも書かないであろうタイプの、奇怪な1万字の書評である。 Amazon.co.jp 古井義昭『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』 いそいで最初に言っておかなければならない——本書はハーマン・メルヴィルという19世紀のアメリカの小説家についての専門書なのだが、以下の文章は、メルヴィルにも、アメリカにも、文学研究にも関心がない読者にむけて書かれている。念頭にあるのは人文系の院生や研究者だが、もしかすると一般読者にも楽しんでもらえるかもしれない。 そもそもわたしはメルヴィルという作家について、おそらくそのへんの海外文学好きの読書家たちよりも無知である。以下は、人文系の論文の書き方を学ぶための参考書として本書を活用するための取扱説明書だ。 本稿が注目するのは、本書の内容より
以下は、2020年の『群像』新人賞で最終選考まで残り、落選となった文章である。 これはもともと同賞への応募原稿として書いたわけではなく、アメリカ留学中に何十本と書いたノートの1つである。留学1年目の第2セメスター終盤、わたしは履修していた授業のレポートとして2つのアイディアを抱えていた。結局はもう片方の案、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』論をレポートとして提出したのだが(これは論文化された)、その後、夏休みに入ってヒマになったので、提出のアテもないまま、もう片方のアイディアを日本語で文章化することにしたのだった。同賞に応募したのは、その約2年後である。 なるほど、いま読むと院生のノート以上のなにものでもないが、もはや改稿して論文化する意味もないので、誰でも読めるようブログ記事として放流することにした次第である。これを読んで若い人たちに「阿部も留学初期はこんなもんか(じゃあ自分もイケるな)」
American Literature 誌に論文が採用された。Afro-Asian Antagonism and the Long Korean War というタイトルで、アメリカは朝鮮戦争を介して黒人とアジア人の人種対立を作り出した、と論じている。同誌はアメリカ文学研究におけるザ・トップジャーナルで、投稿された論文のほとんどを査読者にまわさず編集部でリジェクトする厳しさで知られている。査読に進むだけで Congratulations! と言われる媒体だ。 私はいまアメリカの大学で博士課程にいるのだが、この論文は博論の一部ではなく、留学先で書いた期末レポートを改稿したものである。私は博論に着手するまえに到達すべき実力の目標値を同誌からのアクセプトに設定していて、今回の論文は、そのトレーニングのために書いた習作の一本になる。 以下、採用された勢いで、今回のアクセプトに至った経緯を日記として残
このエントリは、すでに英語でそれなりの量の文章を書いてきたものの、現状の作文力に不満を抱いており、どうにか改善したいと感じている──おもにそのような書き手にむけて書かれている。 わたし自身は人文系の大学院生なのだが、人文学は文章を読んでもらうことで読者を説得していく分野なので、その評価において文章力が大きな比重を占める。したがって外国語で書く場合、語学力がダイレクトに評価に影響してくる、ということだ。以下の文章は、そういった分野の執筆にたずさわる書き手にとりわけ役立つ内容になると思う。英語論文を例にして話をすすめるが、英語以外・論文以外の書き物にも応用可能である。 また以前に、初心者から初級者へ、そしておそらく中級レベルの後半くらいまで進むための方法論を紹介するエントリ「文体を作ろう!」を書いているので、そちらも参考にしていただきたい。今回はその続編、上級編である。 ところで上記のエントリ
0.Ars longa, vita brevis 本稿は、査読論文がなかなか書けずにいる人文系の大学院生に向けて書かれている。 日本の人文系の院生は研究職を目指している場合が多く、そのためには業績が必要になる。具体的には、諸学会が発行するジャーナルに学術論文を投稿して、査読と呼ばれる審査過程をクリアし、採用・出版にこぎつけなくてはならない。 わたしはまだ就活を経験していない院生だが、大学による公募要項を見るかぎり、業績は最低3本必要である。だから、博士号の取得を終えた時点で就活に移るとすると、博論のまえに3本の査読論文を書かなくてはならないことになる。……じつは実情はそうではないのだが、とりあえずこの前提で話を進めよう。 ところで以前、私は「文体を作ろう!」というエントリを書いたことがある。そこで紹介したのは、英作文の初級者から中級者に移行するための、そのためだけの、方法論だった。当時の私
0.はじめに いきなりですが、あなたは talk away という熟語の意味がわかりますか? talk は「話す」、away は「離れて」という意味で、これは知っていると思います。 が、これじつは、「ぺちゃくちゃ喋りまくる」って意味なんです。 なぜこんな意味になるのか? それは away に「継続」、「どんどん~する」という意味があるからなんです。 これを知ってた人も知らなかった人も、こういった馴染み深い簡単な単語こそ奥が深いということは、なんとなく知ってたと思います。 たとえば、もし中学や高校で良い教師に恵まれれば、「on を「上」と覚えてはいかん」ということで、a picture on the wall(壁にかかった絵)、a fly on the ceiling「天井にとまったハエ」などの例を挙げたうえで、これらより、「on は「接触」を意味するのじゃ」と教わったことがあるかもしれませ
0.はじめに 前回のライティングに関するエントリ、「文体を作ろう! それなりに英語は読めるのに英作文が極端に苦手なあなたへ」が好評だったので、そこで告知したように、第二弾です。 今回はスピーキング対策について書きます。 前回と同様、どちらかと言うと抽象的なモデルの話になります。理論編です。つまりこれを読むだけでは、じっさいの英会話の知識は身に付きません。 が、理論は、実践の役に立たないわけではありません。 まず原則として、勉強というものは、目の前の具体的な知識をひとつひとつ覚えたり理解していく地味な作業を長期にわたって積み重ねなければ、成果が出ることはありえません(←偉そう)。 どんなに賢くて英語ができる人も、当然英単語は1つ1つ地道に覚えてるってことです。 しかし、それと同時に、良質な勉強にはヴィジョンが必要です。いま言っているのは、たとえば「東大に入る」「TOEICで950点取る」とい
0.はじめに このエントリは、なんとなくですが、 ①大学受験の延長で勉強を続けた結果それなりの英語力はあるのに、 ②読解力にくらべて作文力が極端に劣ると感じていて、 ③もう少し英作文ができるようになりたい人 といったあたりの、わりあい限られた読者にむけて書かれています。 限られているとはいえ、こういった症状と願望を持つ日本人は、かなり多いはずです。 わたしも完全にこのパターンだったのですが、留学準備の試験対策として、短期集中で勉強した結果、この状態から脱する方法が見えたように感じています。 いそいで注記しておけば、これは、わたしの現在の英作文力がものすごく高いという自負から書いているわけでは、まったくありません。 上記のような悩みを抱えている人が、まず最初に起こすべきブレイクスルーを、どうしたら起こせるのか。わたしが提案できると思うのは、その方法だけです。 その方法は、ひとことで言えば、
「中二病」をいかに英訳すべきか? この問題を、わたしは折に触れて考えてきました。もちろん、その答えはひとつではありえません。本エントリは、これにひとつの解答例を提案することを目指します。 ◆ 中2 「〜年」といえば、まずは xxth-grade といった英語が思い出されるでしょう。 アメリカでは小中高の12年間を通してカウントするので(いわゆるK12)、中学の2年は eighth-grade になります。だから、たとえば中二病は eighth-grade syndrome といった言い回しで表現することが、まずは可能です。 ただ、「厨二」という、いかにもネットスラングっぽい表現に充てる英訳として、eighth-grade はさすがに冗長です。 仮に 8th と表記するにせよ、「中二病」の含意としては何より「二年目」の自意識がポイントであるはずですから、「8」では何のことだかわかりません。
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