南極に生息する生き物を紹介する特別展「飼育係、南極に行く」が、名古屋市港区の名古屋港水族館で開かれている。企画したのは、南極観測船しらせに乗った経験を持つ飼育係の松田乾さん（55）。国内で初めて展示される珍しい生き物もおり、松田さんは「南極にどのような魚がいるか知ってほしい」と呼びかける。 松田さんは同水族館で「ナンキョクオキアミ」など南極の生き物を担当。2023年10月から24年3月まで第65次南極地域観測隊に参加し、南極の昭和基地で海氷下にいる魚類の生態を調査した。釣った魚に発信機を付けて放流するなどして「海の中でどう移動しているか調べた」という。

釣り餌として知られるゴカイの仲間で、従来1種とみられていた「ミズヒキゴカイ」が実は12種に分かれ、10種は新種で生息環境も異なる―。そんな研究成果が今秋、学術誌に発表された。10年がかりの分類作業を結実させたのは、名古屋大大学院理学研究科付属臨海実験所（三重県鳥羽市）の自見直人講師（33）。基となるサンプルの採集調査では、1カ月間、車中泊をしながら日本沿岸を一周し海に潜り続けた。「好き」が可能にした力わざ。「磯ですぐ見つかる生き物でも、まだ分からないことは多い」と語る。　（芝野享平）

三重大（津市）構内にある絶滅危惧種のミナミメダカを保全している池で先月上旬、特定外来生物の淡水魚「カダヤシ」が見つかった。外部とはつながっておらず、何者かによって放流されたとみられる。カダヤシは攻撃性が高く、メダカの繁殖に悪影響が予想される。池を管理している同大大学院生物資源学研究科の淀（よど）太我准教授（53）は「生き物を絶対に野外に放してはいけない」と警鐘を鳴らす。 ミナミメダカ　国内に生息するメダカは1種類とされてきたが、特徴の違いで2012年にキタノメダカとミナミメダカに分類された。体長3～4センチで田んぼの水路や池などに生息。産卵には水草が必要で、生息環境の変化やカダヤシなど外来種の流入により激減している。環境省のレッドリストで絶滅の危険が増大している種として絶滅危惧2（ローマ数字の2）類に分類されている。

学生たちが野生のイノシシやシカを捕獲する全国でも珍しい「狩猟サークル」が三重大（津市）にある。野生動物による農作物への被害や狩猟者の高齢化が各地で課題となる中、本格的な活動を展開し、今年は12頭を捕らえた。動物の命と向き合いながら、獣害問題に取り組んでいる。 シーズンを迎えた11月中旬、津市内にある三重大農場の山林に、大学公認サークル「トラッパーズ」の学生2人が足を踏み入れた。手には、獣のえさになるイノシシの肉片や米ぬかを携えている。 生い茂る草木をかき分けながら、わなが埋まっている場所を見て回る。動物の足をワイヤでくくり動けなくする仕組みの「くくりわな」だ。「きょうは捕れていない」。状態をチェックし、肉片を付け替える。ほぼ毎日、山に入るという。

災害時にはぐれたペットとのスムーズな再会を促し、避難時の情報共有にも使えるよう、県動物愛護センターはペットや飼い主の情報を記した「ペットの防災手帳・健康手帳」を作成した。手帳は避難時に持参して、はぐれた際にペットと飼い主の証明になるほか、避難所利用の条件になりうるワクチンの接種情報なども記載できる。 A4用紙を折り畳み、縦7センチ、横10センチの手のひらサイズの手帳にできる。飼い主と写った写真を貼り、ペットの名前や性別、種類や毛色、マイクロチップの有無や性格などのほか、飼い主の氏名や住所連絡先、かかりつけの動物病院などを記入する。手帳の様式は県ホームページからダウンロードでき、印刷して使うこ...

名古屋市東山動植物園にコアラがやって来てから40年＝写真（同園提供）。今なお園でトップクラスの人気者だが、故郷オーストラリアでは気候変動や山火事などで個体数が急減。同国版のレッドリストで「絶滅危惧種」に選定されている。その姿を観察しながら、「かわいい」の先にある地球環境の現実にも思いを致したい。 「日本初」の来日は、1984年10月。名古屋市と姉妹都市提携を協議していた豪州シドニー市の計らいで、同市のタロンガ動物園から2頭が贈られたが、東京の多摩、鹿児島の平川の両動物公園と「同着」だった。

三重県名張市は5日、市の施設などで飼育しているオオサンショウウオの交雑種などについて、引き続き飼育できる許可を国から得たと発表した。　環境省は7月、戦後食用として持ち込まれたチュウゴクオオサンショウ…

名張市は5日、生態系への影響が懸念される「特定外来生物」に指定されたオオサンショウウオの外来種と、その交雑種の飼育や捕獲について、国の許可を取得したと発表した。固有種が多く生息する名張市は、交雑が進むのを防ぐため、捕獲した交雑種を飼育している。特定外来生物の飼育は原則禁止だが、国の許可で継続が可能になった。

砺波市は、クマ出没が増える時期を前に、人工知能（ＡＩ）を活用したトレイルカメラ（自動撮影カメラ）を中山間地の般若、栴檀（せんだん）野、雄神の３地区に１台ずつ設置した。今月中に東山見を加えた４地区で計１２台を稼働させる。　（武田寛史） カメラが撮影した画像をＡＩが自動解析。クマが写っている場合、市職員や市有害鳥獣捕獲隊、自治振興会役員のスマートフォンに出没を知らせるメールを自動送信する仕組み。赤外線照射装置を搭載し、夜間撮影もできる。

【動画・写真多数】不気味? 怖い!? 興味深い深海の世界!!　竹島水族館がリニューアル、カピパラやアシカの新しい水槽も

預かって飼育し、９月にのとじま水族館に戻したコツメカワウソの（左から）レベッカとヨツバ＝能美市のいしかわ動物園で（同動物園提供） 避難先のいしかわ動物園から帰還 高齢動物、飼育経験なく／獣医師が試行錯誤　いしかわ動物園（能美市）は、能登半島地震で一時休業したのとじま水族館（七尾市）から預かっていた３種類の動物を順次、無事に返還した。中でもコツメカワウソは園での飼育実績がなく、受け入れた２匹はいずれも高齢。飼育を担当した獣医師は、独自に外部の飼育員とも人脈を築くなどしてノウハウを吸収し、慎重に健康管理に努めた。　（平野誠也） 園は地震直後の１月上旬から順次、ゴマフアザラシとコツメカワウソ各２匹、マゼランペンギン８羽を預かった。ゴマフアザラシとマゼランペンギンは公開したが、コツメカワウソは展示場所がないため、園内の検疫棟で獣医師３人が飼育した。 ２匹は雄の「ヨツバ」（当時１７歳）と雌の「レベッ

県立田口高校理科部が、国指定天然記念物「ネコギギ」の体験飼育を始めた。国土交通省設楽ダム工事事務所の協力を得て、学校文化祭がある11月２日まで餌やりや観察を続ける。 ナマズ目ギギ科で、伊勢湾や三河湾に注ぐ河川中流部のみに生息する日本固有種。体長約15㌢で、同属のギギに比べて体つきがずんぐりし、目が大きいのが特徴だ。 設楽ダムの建設区域内の豊川（とよがわ）に生息地がある。絶滅するおそれがあることからダム工事事務所が町内で繁殖実験を続けている。 昨年、理科部で２年の金田慎平さん、大久保汰一さんが、町内にある保全施設と豊川市の「ぎょぎょランド」を見学し、専門家から講義を受けた。今年はさらに保全施設での繁殖実験を体験したほか、ふ化後の幼魚を観察する。文化庁の許可を得て学校で一定期間、飼育することになった。 19日夕、学校には保全施設職員らが水槽などの設備を搬入。７月にふ化した幼魚３匹を水槽に入れた

田口高校（設楽町）理科部の生徒5人が19日、日本固有の淡水魚で国天然記念物のネコギギの幼魚を校内で育て始めた。国土交通省設楽ダム工事事務所の協力で2023年度から生態を研究してきた実績もあり、文化庁から2カ月間の飼育許可を得た。

本州ではほとんど見られないコーヒーの試験栽培が、名古屋市港区の農業文化園「戸田川緑地」で進められている。中日本高速道路と緑地を管理する市みどりの協会が3月から始めた。コーヒー栽培を通じた農業振興と栽…

ネコ専門のペットホテル「にゃんのおうち」が岐阜市岩地にオープンした。ネコの習性に配慮した専用の部屋で預かるため、ネコが普段の生活に近い環境で過ごせるのが特徴。ペットホテルは、ストレスがかかりやすいケージでの預かりが一般的といい、愛猫に快適に過ごしてほしいと願う飼い主のニーズを見込む。旅行などで自宅を空ける際の利用を想定している。 にゃんのおうちは、NPO法人「人と動物の共生センター」（同市）が運営。1匹用の小部屋が2室、最大4匹まで泊まれる大部屋が1室ある。いずれも奥行き約1・5メートル、高さ2メートルで、幅は小部屋が82センチ、大部屋が約1・6メートル。白を基調とした内装で、窓付きの明るい空間になっている。...

津市内の約1800万年前の地層から見つかったイルカの化石が、新種であることを三重県総合博物館（津市）の中川良平学芸員らが特定した。ラテン語の学名は「ミオデルファイヌス・ミエンシス（三重の中新世のイルカ）」、和名は「ミエイルカ」と命名。研究論文が19日、大英自然史博物館（ロンドン）の学術誌に掲載された。

御嵩町伏見小学校3年の岩井唯遂（ゆいと）さん（8）が同町の南山消防グラウンドで、特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」を見つけた。夏休みの自由研究で現地調査をしていて発見した。住民の安全、安心のために生息域の拡大阻止を願っている。　（山本真士）

あわら市北潟の寺院・天王山安楽寺を拠点にする市民団体「にゃんらくじ」が、保護猫活動を展開している。さまざまな事情から飼い主のいなくなったネコや野良猫を、これまでに１００匹ほどを保護し、新たな飼い主を探したり、去勢手術をした上で住み慣れた地域に戻したりしている。代表を務める住職の杉本成範（せいはん）さん（４６）は「命の大切さを教えてもらっている」とネコたちに優しいまなざしを注ぐ。

仏花の印象が強く、つぼみのまま出荷されることが多かった菊。一大産地の田原市では新たな需要開拓に向け、生産者がほぼ満開の「フルブルームマム」と、染色した「カラーリングマム」の生産に注力している。結婚式や成人式といった晴れ舞台で使われるケースも増えているという。　（奥川瑞己） JA愛知みなみ（同市）花き部によると、菊は長持ちさせるためにつぼみの状態で出荷され、葬儀や墓参りに重宝されてきた。だが、葬儀の小規模化や、洋花や故人が好きな花を飾る傾向とともに需要が減少。新型コロナウイルス禍や物価高騰が追い打ちをかけた。...

14日で2004年の開館から20年を迎えたアクア・トトぎふは、年間約50万人が訪れる人気の観光スポット。セレモニーで池谷幸樹館長（53）は「皆さんに愛される水族館を目指してひたすら走ってきた20年だった。これからも自然や生き物を楽しく学べる場所であり続ける」とあいさつし、関係者らとともにくす玉を割って節目を祝った。