注目コメント算出アルゴリズムの一部にLINEヤフー株式会社の「建設的コメント順位付けモデルAPI」を使用しています
昔、殿上のおのこども、「花見む」とて、東山におはしたりけるに、にはかに心なき雨降りて、人々げにさ... 昔、殿上のおのこども、「花見む」とて、東山におはしたりけるに、にはかに心なき雨降りて、人々げにさはぎ給へりけるに、実方の中将1)、いとさはがず、木の本に立ち寄りて、 桜がり雨は降りきぬ同じくは濡るとも花のかげにやどらん と読みて、隠れ給はざりければ、花より漏り下る雨にさながら濡れて、装束しぼりかね侍り。このこと、興あるごとに、人々思ひあはれけり。 またの日、斉信の大納言2)、主上に、「かかるおもしろきことの侍りし」と奏せらるるに、行成3)、その時蔵人頭にておはしけるが、「歌はおもしろし、実方はをこなり」とのたまひてけり。 この言葉を実方も聞き給ひて、深く恨みをふくみ給ふぞと、聞こえ侍る。 昔殿上のおのことも花見むとて東山におは したりけるに俄心なき雨ふりて人々けにさは き給へりけるに実方の中将いとさはかす木 の本に立寄て 桜かり雨はふりきぬおなしくは ぬるとも花のかけにやとらん と読てかく
2019/05/03 リンク