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一 近衛騎兵のナルモヴの部屋で骨牌(かるた)の会があった。長い冬の夜はいつか過ぎて、一同が夜食(ツ... 一 近衛騎兵のナルモヴの部屋で骨牌(かるた)の会があった。長い冬の夜はいつか過ぎて、一同が夜食(ツッペ)の食卓に着いた時はもう朝の五時であった。勝負に勝った組はうまそうに食べ、負けた連中は気がなさそうに喰い荒らされた皿を見つめていた。しかし、シャンパン酒が出ると、とにかくだんだんに活気づいて来て、勝った者も負けた者もみんなしゃべり出した。 「で、君はどうだったのだい、スーリン」と、主人公のナルモヴが訊(き)いた。 「やあ、相変わらず取られたのさ。僕はどうも運が悪いと諦(あきら)めているよ。なにしろやっていることがミランドール(一種の骨牌戯)だし、いつも冷静にしているから、手違いのしようがないのだが、それでいて、しじゅう負けているのだからね」 「だって君は、一度も赤札に賭けようとしなかったじゃないか。僕は君の強情にはおどろいてしまったよ」 「しかし君はヘルマンをどう思う」と、客の一人が若い工
2010/08/17 リンク