利用開発者数15万人、サービス提供国40カ国以上のクラウド電話API「Twilio」が、日本でもいよいよKDDIウェブコミュニケーションズから提供される。
クラウド電話 API は、ウェブサイトやアプリケーションなどに実装するだけで、ネット上での電話の送受信、アップロードした音声の再生、文字を音声に変換できる音声合成、音声データの送受信などができるサービスだ。
これまでコールセンターなどで、そうしたシステムを構築する時には高価な専用機器が必要だったが、Twilioは、AmazonAWSのクラウドでまかなってしてしまう。「過去数社の起業の結果、顧客は思いもよらないソフトウェアの使い方をすることがよく分かった。その結果、デベロッパーに一番使いやすく、自由に使ってもらえるAPI形式のクラウドに行きついた」と元Amazon AWSの起業家でもあるTwilioCEOのジェフ・ローソン氏は理由を語る。
すでに米国では15万人以上の利用開発者がいるが、9人のエバンジェリストがコミュニティをサポートしている。社内で開発したコードはすでに公開され、オープンソースソフトウェアにも貢献していると言う。
現状Twilioの利用開発者は、大きく分ければ企業のIT・R&D部門とベンチャー企業の2方向ある。とくに企業のIT部門では、米国の小売大手Home Depotがクラウドベースのコールセンターを稼働させているほどだ。
その事実こそがクラウドに未来があるという証拠と前置きしたうえで「ベンチャー企業でも新しいサービスそのものが差別化のポイントとなる。Twilioは新しいコミュニケーションの重要な役割をすでに果たしている」とローソン氏は続ける。
一方、「日本ではもっと企業内のデベロッパーに認知してもらえるように活動を方向転換する予定」とKDDIウェブコミュニケーションズ・SMB事業部の小出範幸氏は語る。既存の電話APIも停止し、全てをTwilioに賭けようという意気込みだ。
順風満帆のようだが、Twilioは常に成功していたわけではなく、過去にはインターナショナルバージョンのSMS機能が失敗。おかげで全部書き直してリリースするまでに2年半かかったが「失敗したことに後悔はしていない」とローソン氏。過去の経験と実績を元に日本でも米国同様に認知され「目標は、1年後は日本の最も大きい企業5社がTwilioを使っていること」と断言する。
KDDIウェブコミュニケーションズとのパートナーシップ、そして多数の利用開発者を背景に、Twilioはクラウドベースのコミュニケーションプラットフォームの雄になれるか、要注目だ。
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