Platform PreviewのGPUアクセラレーションを検証
現在公開されているIE9 Platform Previewは、いわゆるβ版前のバージョンである。対応OSはWindows 7とWindows Vista。Vistaに関しては、Service Pack 2適用が必須なだけでなく、Vistaのグラフィックス機能をWindows 7相当にアップデートする「プラットフォーム更新プログラム」(KB971644)も適用する必要がある。この更新プログラムにより、Vistaのグラフィックス機能がDirectX 11とWDDM 1.1対応にアップデートされる。
ちなみにWindows XPに関しては、IE9は対応しない予定だ。さすがにXPというレガシーなOSは、最新のテクノロジーに対応できなくなってきているのだろうし、セキュリティー面からのブラウザーのアップデートは、IE8で十分ということかもしれない。
IE9 Platform Previewでは、新しいUIなどはまったくインプリメントされておらず、ブラウザーの中核となるレンダリングエンジンだけとなっている。基本的には、開発者向けに提供されているため、一般ユーザーはインストールしない方がいい。また、IE9 Platform Previewはレンダリングエンジンだけの提供であるため、IE8と共存できる。開発者は通常はIE8を使い、テストにIE9のレンダリングエンジンを使う、といった使い分けが可能だ。
マイクロソフトの「IE9 TestDrive」というウェブページには、GPUアクセラレーションが試せるように、各種のデモが用意されている。
IE9 Platform Previewをテストしてみると、テキスト表示のデモではDirectWriteを利用することで、フォントのエッジが非常に綺麗に表示されている。IE9では、文字表示にDirectWrite APIが使われている。DirectWriteでは個々の文字だけでなく、文字間隔も計算に入れてClearTypeによるスムージングをかけたり、文字間隔を自動的に調整して表示できる。そのためフォントの表示サイズに関わらず、ClearTypeを使って見やすく処理される。またDirectWriteでは、GPU側で新しいClearTypeの処理を行なうために、CPUに負荷をかけない。
GPUアクセラレーションは効果大!
最も驚いたのは、GPUアクセラレーションを使ったグラフィック関連のデモだ。例えば、「Flying Images」のデモでは、各ブラウザーのアイコンイメージを3D表示で回転させる。IE9上でGPUアクセラレーションを使えば、イメージの数を256個にまで増やしても、問題なく表示できた。しかしIE8では、36個のイメージを表示しただけで、画面の書き換えが遅くなってしまった。
Flying Imagesを「Firefox 3.6.2」と「Chrome 4.1.249.1042」でも試してみた。FirefoxはIE9にはかなわないが、そこそこのパフォーマンスで表示された。一方、ChromeはIE8並みの遅さだった。
イメージがどのくらいの速度で表示されるかは、使っているパソコンのCPUやGPUの性能に左右される。厳密にテストしたわけではないが、Intel G45などのチップセット内蔵グラフィックよりも、独立GPUの載ったグラフィックカードを使用した方が、パフォーマンスは高いようだ。
別のデモでは、SVG1.1を使って昔懐かしい「アステロイド」というゲームが再現されている。ちょっとしたゲームまで、SVG1.1だけで記述できるというのは驚きだ。もちろんプラグインなど使わずに、HTMLコードだけでだ。SVG1.1のレンダリングもGPUで処理されている。
FirefoxやChromeなどは、一部のXHTMLやSVGをサポートしているため、Test Driveのデモはすべて表示できる。しかし、遅かったりCPUに大きな負荷がかかったりして、IE9ほどのパフォーマンスはなかった。
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