異例に多い有料課金ユーザー
テキスト、画像、音声ファイルなどをインターネット上で一元管理し、パソコンやスマートフォンなどで同期して使える「Evernote」の日本向けサービスが、3日正式に開始された。夏に予定されていた計画が大幅に前倒しとなった。
WindowsやMac OS Xなどパソコン用のOSのほか、iPhone、Android、Windows Mobile向けのクライアントソフトがリリースされる。米国版と同様に基本的なサービスは無料で、月額5ドル(約450円)または年額45ドル(約4000円)を支払うことで、プレミアム会員として通常40MBのデータエリアが500MBに増やせる。
同社はフリー版で操作に慣れさせ、プレミアム版で課金する「フリーミアム」モデルを取っているが、有料会員の割合が異例に高い点も注目を集めている。提供元の米EvernoteでCEOを務めるフィル・リビン氏によると、Evernoteを使い始めたユーザーで有料会員になる割合は、ごくわずか(全体の1.5~2%程度)だが、2年目のユーザーに絞ると8%に増えるという。
2年というと初期のβ版からサービスを利用しているユーザーも含まれるため、特に忠誠度の高いユーザーの集合とも取れる。とはいえ有料会員の増加率が高いのは事実で、売上は毎月18%程度の伸びを示している。これは約10%というユーザー数の増加率を上回る数字。有料会員は現在約5万人いる。
日本語認識機能も提供
Evernoteは、90日以内に日本法人を設立するとしており、設立と同時期に日本語画像認識技術も提供する予定。写真や画像などに含まれた文字の部分を認識し、検索などに利用できる技術で、すでにアルファベットや数字の認識には対応している。国内メーカーなどと協力し、対応する文字種を漢字やひらがな・片仮名にまで広げる。
一般的なOCRソフトとは異なり、カメラで撮影した写真の一部に映っているような活字や手書き文字も高精度に認識する点が特徴となっていた。日本語文字認識に関しても「スキャナーなどで読み込んだ高精細な文字であればほぼ100%、携帯電話用のカメラで撮影した傾いたり、不鮮明な文字でも9割かそれ以下ぐらいの精度で認識できる」(リビン氏)とのこと。
日本はEvernoteにとって2番目の市場
リビン氏によると、Evernoteのユーザー数は全世界で250万人。うち2ヵ月に1回ログインするアクティブユーザーは6%ほどだ。日本ユーザーは約15万人で世界で2番目に多く利用頻度も圧倒的に高い。また、クライアント別ではWindowsが37.5%と最も多いが、iPhoneやMacが3割強の比率と高い。Androidはまだ4%弱だが、伸び率が高いという。
