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時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!” 第33回

どうなる出版? Google ブック検索がもたらす禍福

2009年05月04日 12時00分更新

文● 広田稔/ASCII.jp編集部 語り●津田大介(ジャーナリスト)

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9月4日までに申し込まないと自動的に和解

── 日本が巻き込まれた理由をもう少し詳しく教えて下さい。

津田:通常、日本では、作者の死後50年が経過すると出版物の著作権が切れて、自由に利用できるようになります。この50年を著作権の保護期間と言いますが、和解では、この保護期間内にあっても、権利者が意思表示をしない限り、グーグルが非独占的に利用できるように定めました。具体的には、オンライン販売、図書館や教育機関からの無償アクセス、広告表示といったことですね。

 日本の書籍についても、米国内で「絶版」と認定されると対象になってしまうのですが、この認定条件がミソで、日本で現状通常に流通していても「米国では手に入らないから絶版だ」という理由でグーグルによって自動的に公開されてしまうということになってるんです。

 ただし、和解にあたってはその国の出版社や著者に十分な告知をしなければならないという条件があり、それで日本でも今年の2月に読売新聞や朝日新聞に和解に関する広告を載せています。

 さらにクラスアクションという、日本にはない、米国の訴訟形態も話を面倒にしています。このクラスアクションで和解すると、訴えを起こした側と同じ条件と決められた立場(クラス)の人々もその和解に参加することになります。

 そして著作権には「ベルヌ条約」や「WTO協定」といった国際条約があって、米国も日本もこれに加入している。国際条約を守る意味でも、日本の著者や出版社が同じクラスと扱われて、和解の当事者になったんです。

グーグルは、書籍をスキャンしたデータベースを使って、米国内でのみ、インターネット上でのプレビューやオンライン販売に活用できる。それによって得た収益の63%は権利者に分配するという条件だ


── 和解の当事者になった出版社や著者は、何をすることになりますか?

津田:グーグルが公開している和解管理サイトにもありますが、まずはこの和解から離脱するかどうかを申請することになります。出版社や著者は9月4日までに何も言わないと、自動的に和解に参加することになります。そうすると、以後、この件に関してグーグルに著作権侵害の訴訟を起こせなくなる。

 といっても現実問題としては、グーグルに対していち著者が訴訟を起こすのは弁護士費用などを考えても無理があるし、現実的じゃない。和解に参加したうえでグーグルブック検索から自分の本を「落とす」ことはできるわけですから、そちらの方が現実的な対応でしょう。

グーグルは日本語で「Google ブック検索和解」というサイトを用意している。このサイトで出版社や著者は自分の書籍が現在、米国で流通しているかどうかを調べたり、和解からの離脱を申し込んだりできる

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