4日、「ニコニコ動画(夏)」の新製品発表会である「ニコニコ大会議2008」が盛大に開かれた。イベント会場では、「ニコ割アンケート」や「ニコニ・コモンズ」など、いくつもの新要素が発表されたが、これらはどういう意図で投入されたのだろうか。会場を取材していたジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
うまい演出だった
── ニコニコ大会議の率直な感想を教えてください。
津田 面白かったです。「エンタテインメント」ってのを分かってるし、ニコニコ動画のユーザー特性を踏まえた上での演出も多かった。
ああいう形で盛り上がる日本の発表会って、実はなかなか多くないんですよね。アリーナ席にお客を入れて、盛り上がっているところを記者に見せれば、ニコニコ動画に勢いがあるということが分かるし、その辺の演出までも含めてすごく考えられていると思いましたね。
ニコニコモンズなど、単にニコニコ動画を見ているだけの人には関係ない機能や発表も多かったですが、そうしたものもCMをうまく見せたり構成を工夫して、多くの人が楽しめる感じになっていたと思います。
── 夏野氏(ドワンゴ顧問の夏野剛氏)と、ひろゆき氏(ニワンゴ取締役の西村博之氏)の掛け合いも印象的でしたよね。
津田 夏野氏はプレゼン慣れしているし、ひろゆき氏もウマい。あの二人のコンビはこれからの発表会でも注目されるんじゃないかな。
── 夏野氏の顧問就任については、どう見ますか?
津田 ひろゆき氏も言っているように、夏野氏は「お金にならないインターネットビジネスを黒字化した立役者」ですよね。
ケータイの世界では、iモードのシステムが整ったおかげで、コンテンツプロバイダー専業の企業が数多く生まれた。ケータイという閉じた世界でありつつも、プラットフォームを作ってそこで商売できるインフラを作ったという実績はやはりすごい。
パソコンのネットでは、そこまで多くの人が儲けられるインフラは構築されてないという感じがありますけど、ニコニコ動画はそのプラットフォームになれる可能性を持っていると思います。夏野氏が加わったドワンゴがそういうプラットフォームを作れれば、クリエイターにとっても発表できるメディアの選択肢が増えて、自活できるオプションも増える。そういうポジティブなスパイラルを期待したいですね。
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