毎日新聞社を取材して書いた記事が、「はてなブックマーク」(=ブクマ)のコメントで鋭い指摘を受けた。「参ったなあ」って感じだ。筆者の私が気づかなかったポイントがきっちりあぶり出されている。さしづめブクマ・ジャーナリズムである。いやはやCGMの威力はすごい。
「ブクマ・コメント」の評価は180度ちがった
指摘された記事は、当サイトで私が連載している「新聞はネットに飲み込まれるか?」の3回目だ(関連記事)。10月1日にスタートした新サイト「毎日jp」のキーパーソンを取材している。
記事のテーマは新聞記者の心理だ。
従来の記者は紙の新聞しか頭になかったはずだ。じゃあ彼らはどこまでネットを受け入れる意識ができたか? メンタリティーが変わったとすればどんな点か? 「紙の新聞」と「ウェブ媒体」それぞれに向き合うとき、記者の心理はどう変わるのか? 同社デジタルメディア局の高島信雄部長に話を聞きながら、記者の心模様をあれこれ分析した。
で、当のブクマ・コメントが批評したのは記事の以下の部分だ。
新聞記者は長い間、紙の文化に慣れ親しんできた。そんな彼らが「ウェブの頭」に変わるには、まだしばらく時間がいる。とはいえ高島氏によれば、その兆候は確かにあるようだ。
「最近では新聞本紙の記者が、『この記事は紙面上の都合で掲載されないからネットで出さないか?』と言ってくるケースが目立ってきています。この調子で今後は、ウェブにしか出ない記事をどんどん増やしていきたいですね」
紙の新聞しか眼中になかった記者が、自ら進んで記事をウェブに載せてくれと提案してくる──私はこの点に注目し、新聞人の意識が変わりつつある証左として書いた。
ところがくだんのブクマ・コメントはどう表現したか? そのコメントはなぜかその後書き換えられてしまったため、元の表現をうろ覚えで書く。厳密には細部がオリジナルと異なるかもしれないがご容赦願いたい。コメントはこんな感じだった。
「紙面の都合で載せられない記事でスタートする新聞のウェブ化」
わさびがピリリと利いていて、唸らせるコピーだ。前段と後段を「でスタートする」と繋ぐことで生まれるシニカルな味がいい。ブラックジョークが好きなイギリスのメディアあたりに出そうなパラグラフである。蛇足だが、コメントの意味はこんなところか?
「ウェブにしか出ない記事を載せるといっても、これじゃ新聞のボツ原稿を集めてウェブサイトを作るってことじゃないの? 大新聞のウェブ対応が騒がれているけど、ボツ原稿で埋めるんじゃ侘しいスタートだねえ」
同じ素材を、私の解釈とはまるで正反対にとらえている。角度を変えてものを見るとどうなるか? の好例だ。
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