太宰府天満宮アートプログラム vol.11、田島美加「Appear」

 太宰府天満宮にて、太宰府天満宮アートプログラム第11回、田島美加による個展「Appear」が開催される。会期は、令和4年 (2022)年5月15日 (日) – 10月10日 (月・祝)。


Negative Entropy (Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad)
2020
186.4×142.6×5.7 cm
©︎Mika Tajima
Courtesy of TARO NASU
Photo by Charles Benton


 田島美加は、ニューヨークを拠点に活躍するアーティスト。日本人の両親の元、アメリカで生まれ育った田島は、グローバルな視座から、これまで西洋と東洋の交錯、物質・エネルギー・人間の精神の遷移、変換などをテーマにしてきた。彼女の代表作とも言える、熱成形された透明な PETG 樹脂を使った「Art d’Ameublement(=Furniture Art)」シリーズは、フランス人作曲家エリック・サティが提唱した、生活空間に溶け込む音楽という意の “Furniture Music” にちなんでいる。支持体の片面に絵の具を付着する従来の絵画とは異なり、霧状の絵の具の粒子を内側に封じ込めた色のグラデーションで描かれている。また、各作品には、遠隔地の名称の副題がつけられ、 鑑賞者と作品との距離感が暗示されている。


Anima 9
2021
38.1 x 48.3 x 35.6 cm
©︎Mika Tajima
Courtesy of TARO NASU
Photo by Charles Benton


 令和元年(2019)に太宰府を訪れた彼女は、初めて知る神社と神道、そして、1100 余年の間、循環しながら歴史を繋いできた太宰府天満宮への考察を通して、10点の新作を制作。今回、境内に常設される立体作品《Echo》には蓄光性の顔料が使われ、太陽光とブラックライトによってチャージされたエネルギーが循環するしくみにより、光に包まれた瞑想の彫刻が出現する。また宝物殿には、御本殿での祝詞を収録した音源をプログラミングによってパターン化し、ジャガード織機で織る「Negative Entropy」を始めとする作品が並ぶ。境内を歩き、話し、長い時間の思索を経て田島が辿り着いた、自然と人の精神のエネルギーの可視化を試みる作品の数々と の対峙をぜひ楽しんでほしい。



太宰府天満宮アートプログラム vol.11 田島美加「Appear」
会期 | 令和4年 (2022) 5月15日 (日) – 10月10日 (月・祝)
*7/18、7/25、9/19、10/10 を除く月曜休館
開館時間 | 9時 – 16時30分 (入館は16時まで)

会場 | 太宰府天満宮宝物殿および境内

住所 | 〒818-0117 福岡県太宰府市宰府4-7-1
観覧料 | 一般 500 (400)円、高大生 200 (100)円、小中生 100 (50)円
*()内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金
主催 | 太宰府天満宮
協力 | TARO NASU
展示監修 | スーパーファクトリー
田島美加 Mika Tajima
1975年ロサンゼルス生まれ

現在はニューヨークにて制作活動中

彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。
日本では 2013年に森美術館(東京)の「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト」展に参加、モダニズム建築の巨匠コルビュジエの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い評価を得る。2022年5月21日から6月18日までTARONASU(東京)での個展「Spectral」開催が決定している。その他の主要な参加展覧会に、2022年「Hawai’i Triennial 2022」(ホノルル 美術館、ハワイ)、2019年「岡山芸術交流2019:もし蛇が」(岡山)、2018年「Programmed:Rules, Codes, and Choreographies in Art, 1965 ‒ 2018」(ホイットニー美術館、ニューヨーク)、2017年「Touchless」(TARO NASU、東京)、2015年「Human Synth」(TARO NASU、東京)、2014年「Negative Entropy」(Eleven Rivington、ニューヨーク)、 2012年「Pyramids and Pineapples」(アスペン美術館、アスペン)、「After the Martini Shot」(シアトル美術館、シアトル)、2010年「The Double」(バス美術館、マイアミ)、2009年 「Today is Not a Dress Rehearsal」with Charles Atlas and New Humans (サンフランシスコ近代美術館、サンフランシスコ) など。