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今回紹介いたしますのはこちら。

「U12」第1巻 闇川コウ先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。

闇川先生は本作で彗星のように現れた漫画家さんです。
ですが、95年に「ヴァンパイア」でデビュー後、講談社さんの雑誌で活躍し、代表作となる「蹴球少女」が単行本10巻、5年の長期連載となった漫画家の若宮弘明先生の絵柄に非常に似ているような!?
果たしてその正体は……?

さて、本作はサスペンスものとなっています。
死と隣り合わせのゲームを行う、というタイプの作品に分類されはすると思うのですが……問題はその主役となるキャラ達の年齢や環境。
いろいろな意味で、大変危険な作品となっているのです!!


見慣れない部屋で目を覚ました、12名の少女たち。
何が起きたかもわからない一同が、戸惑う間もなくその部屋に数名の男性が入り込んできます。
その男性たちの戦闘に立っているのは、杖をついた眼鏡の老人。
その老人は、だしぬけにこんなことを言い出しました。
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本日をもって、君たち12人の人権を停止させていただきます。
……にわかには信じられない、普通ならば許されるはずもないその言葉。
そんな言葉に続けて、老人はさらにとんでもないことを言うのです。
今日から君たちはここで過ごすことになるのです。
親権者からの同意書も得てあります。
ここでは外との通信はできません、すべて我々を通してもらいます。
じきに事情もわかるでしょう、それまでゆっくりおくつろぎを。
そう言い残して、立ち去ろうとする男たち……
ですがあまりにも勝手な言いぐさだけを残して立ち去ろうとする彼らに、さっそく噛みつく少女が一人。
こんなん付き合ってられんわ、ウチは帰らせてもらうで!
そう言ってその少女は足早にその場を立ち去ろうとしました。
ですがその途端、老人と一緒に入ってきた男のうちの一人がその少女の関節を捕え、ここでの脱走は我々がさせないとすごみ、床に放り投げたのです!
帰ろうとしていた老人は、一同を振り返り……名前を呼び始めます。
蔵門すみれ、福門心愛、クリス・シルヴァークラン、田中東華、田中西蘭、浅草日向、丸内彩子、日比谷優希、有楽原いちご、北澤美波、三田琴美、千代田かなめ。
以上12名、君たちは何にも悪いことをしたわけではない。
だが、もうこの世界に君たちの居場所はないのです。
ここ以外はね。
……その12人が読み上げられた後、琴美は呼ばれなかった13人目がこの部屋の片隅にいることに気が付きます。
その少女は膝を抱えて爪を噛みながら、なんだかぶつぶつ言っていて……
なんだか格好も薄汚れていますし、ひょっとすると彼女はこの12人よりもずっと前からここにいる、とでもいうのでしょうか……?
そしてもう一人気になる人物がいました。
自分と一緒に連れされられていた少女、かなめです。
みんなが怒ったり、不安がったりしている中……一人だけ、何か決意のようなものを秘めた、ただならぬ形相をしているのです。
かなめのことは気になりますが……何よりも今気にしなければならないのは、普通では到底考えられないこの異常な状況。
一体ここで、何が行われるのでしょうか……

それから五日間……何も起こりませんでした。
この部屋からは出られないものの、一日三回きちんと食事は出ますし、遊んでいても何も言われません。
おかげでつかまった12人はすっかり友達になり、たまたま持っていたトランプで遊んだりもしていました。
最初のころの緊張感はまるでなく、いつかお母さんが迎えに来てくれるよとほとんどリラックス状態になっておりました。
だた一人、前からいたあの子をのぞいては……
ですが、一同はすぐにその子がなぜここまでおびえているのかの理由を知ることとなります。
何の予告もなく、あの老人と男たちが現れ……こういったのです。
時間です、全員表に出なさい。

一同は戸惑いながらも外に出ると……そこは何やら薄汚い、たくさんの扉が並んでいる長い廊下のような場所でした。
ここは……どこかで見た覚えがあるような……クリスがそうつぶやくと、老人はうなずきます。
その通り、ここは刑務所です。
その言葉が合図になったかのように、あたりがにわかに騒がしくなりました。
しかもその騒がしい音の中には、「新しいようじょキター!」「まだピチピチの小学生だぜ!」と言うような、下衆極まりない言葉まで混じっているではありませんか!!
おびえる少女たちに、老人は言うのです。
彼らは囚人、きちんと管理されている。
政府が超法規的に設置した、Y10刑務所に収監されている非常に特殊な奴らだからね。
ここに収監した囚人たちはみな、幼い少年少女狙って殺害した異常犯罪者、執行猶予も仮釈放も許されず、外界に出すのは危険とされた最悪の凶悪犯たち。
しかし、彼らにとって福音となる新法が制定されました。
受刑者の人権を最大限尊重し、その要望をかなえるべく人権喪失者はその介護に務めること。
すなわち、君たちは全力で彼らの要望をかなえてあげねばなりません。
これから「お楽しみ会」を始めます。
30分、何があっても不問です。
では、ゆっくり楽しんでくれたまえ。
わけのわからないことを言い残して立ち去らんとする老人たちですが、以前と同じように今回も日向が突っかかっていきました。
が、今回はそれよりも早く、あの以前からいた少女が老人たちの横を駆け抜けて外に出ようとしたではありませんか!!
ですが再び男たちによって阻止されてしまいます。
脱走はさせないといったはずだ、と冷たく見下ろした男に向かい、だって新しい子が来たんだから私はもう自由なはずでしょ、あんな目にあうのはもういやよ!と感情をむき出しにして叫ぶその少女!
男は、黙れと一発その少女に蹴りを入れ……老人とともに外へ出ていってしまいました。
……閉ざされた扉が開くのは、30分後、
その30分の間に行われるお楽しみ会というのは……?
ほどなく所内の放送が入り、「今回の当選者」が読み上げられました。
すると、その当選者とやらが入っていた部屋の扉が開き……出てきたのです。
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未成年者誘拐及び致死障害、懲役35年の受刑者が!!
見るも悍ましい姿をしたその受刑者は、少女たちを見るとその欲望をむき出しにします。
もう我慢できない!と駆けだし……逃げ惑う少女たちを追いかけてくるのです!!
ですが、先ほど蹴り飛ばされたあの少女は、その時に足を怪我してしまって動けなくなってしまっています。
やがて受刑者は、その少女を捕まえ……!!

あまりにも無残な出来事に、行き止まりまで逃げて泣き叫ぶか、耳をふさいでうずくまることしかできない少女たち。
ですがその中でただひとり、落ち着き払っている少女がいました。
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耳をふさいだって、なにも変わらないわよ。
そう言って立ち上がったのは……かなめです。
異常なまでの落ち着きを見せている彼女、ここが何かを知っていたとでもいうのでしょうか?
いや、それよりもこの状況を打破する手段を持っているとでもいうのでしょうか……?
お楽しみ会はまだ始まったばかり。
少女たちは、どのような運命を迎えるのでしょうか!


というわけで、恐ろしすぎる「お楽しみ会」が繰り広げられる本作。
少女たち12人が、悍ましい変態受刑者たちに蹂躙されていく凄惨な物語と、なっていたのでしょう、今までは。
ですが本作で行われている第3回お楽しみ会には、なにやら様子の違う少女、かなめが含まれているのです。
かなめが中心となり、一同はこの受刑者たちと戦う決意をします。
なぜならこのお楽しみ会は、何が起きても会中の30分の出来事は、不問なのですから!!
12人の少女VS異常受刑者……
一見すると勝ち目は薄そうなこの戦いに、希望はあるのでしょうか!?
そして、かなめはどうしてここの存在を知っているのでしょうか?
彼女の目的は……?
謎ばかりの状況で、繰り返される恐怖のお楽しみ会。
12人の少女側もまだ謎の多い本作、これから先にどのような展開が待っているのか……恐ろしくも楽しみなところ!!
これからの展開から目が離せませんね!!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!