デフリンピック「今後も交流できる環境を」「目を見て伝える大切さ」…ボランティア・式典演出者の気づき
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共生社会の実現などを掲げた聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック東京大会」(読売新聞社協賛)では、手話などを使うろう文化が発信され、交流も盛んに行われた。開閉会式の演出担当者やボランティアスタッフとして参加した学生に、大会に関わって感じたことや課題、大会の意義を聞いた。(石原宗明)


ボランティア 水野花菜さん
「聴覚障害者と聴者がお互いのコミュニケーションの文化・特徴を知り、互いに食い違いがないように会話していくことが大事だ」。生まれつき聴覚障害がある筑波技術大4年の水野花菜さん(21)は、大会運営拠点「デフリンピックスクエア」(東京・代々木)でのボランティア活動でそう実感した。

デフリンピックスクエアでは、バトンを渡す前に肩をたたくこともある陸上リレーなど、デフスポーツの紹介を来場した聴者に行った。筆談を中心に説明したが、身ぶりも交えると無表情だった聴者の表情が明るくなり、身ぶりで返してくれるようになった。「聴者との交流は筆談が多かったが、身ぶりなど工夫の仕方があると思った」
一方、気になったのが、聴者との会話の際、目をそらされることがしばしばあったこと。聴覚障害者の場合、目を見て会話をするのが基本で、日頃の聴者との会話でも同様の経験があり、疑問に思っていたが、「目線を向けずに話すこともあると知った。聴覚障害者を理解してほしいとばかり考えていたが、聴者のコミュニケーションの特徴も知っていかなければ」と話す。

海外からも多くの選手が集まる場で、様々な人と交流したいと考えて申し込んだボランティア。大会に向けて新たに学んだ国際手話を実践できた上、聴覚と視覚の両方に障害がある人には、手に触れて手話の形を読み取ってもらう「触手話」で伝えることもできた。
「これまで聴覚障害者と聴者が関わるイベントに参加する機会があまりなかったが、デフリンピックは、様々な人々が交流し、伝わる工夫をし、自分を振り返るなどして、新しい視点を得たと思う。聴覚障害者同士、聴者同士で固まるのではなく、身近な交流ができたデフリンピックのような環境を作り続けることが大切だと思う」と話す。
また、デフリンピックスクエアには、話した通りの文字が表示される透明ディスプレーをはじめ、聴覚障害者とのコミュニケーションを支援する技術を紹介するブースが設けられるなど、技術が進化していることも感じさせる大会だった。
1年ほど前に、自分が乗車した電車にトラブルがあって駅にとまった際、他の乗客が突然乗り換え始めたが、自分は車内アナウンスに気づかずに残り続けたという経験があった。「災害時に即時に情報を把握するためにも、技術の導入が進むことの大切さを強く感じた」という。
こうした経験もあって、今後は大学院に進学し、障害などにかかわらず、利用しやすいユニバーサルデザインを広めたいと思っている。
「社会全体で必要な支援を考えてもらえるよう、手話言語を大切にしながら、コミュニケーションの方法を工夫し、様々な人と交流を重ねていきたい」と表情を引き締めた。
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