「マドゥロは許せない」 800万人が脱出した理由、記者が見た絶望

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前サンパウロ支局長・軽部理人
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 トランプ米政権が拘束したベネズエラのマドゥロ大統領。かつて「民主主義の優等生」とも呼ばれた国はマドゥロ氏の就任後、800万人の国民が出国する事態に陥っていた。なぜ、人口の4分の1が国を捨てる必要があったのか。

 疲れ果てた表情の人たちが、次々と森の中から出てくる。猛暑でグッタリした幼子を連れた若い家族、大粒の汗を流して足を引きずる老夫婦。誰もが水や食べ物を欲し、苦しんでいた。15年ほどの記者生活で見た、最も悲しい光景の一つだ。

 2023年9月、私は「ダリエン地峡」を取材していた。中米パナマと南米コロンビアの間にあり、国立公園にも指定される森林地帯だ。

 だが、地峡内は危険と隣り合わせだ。流れが速い川、高さ10メートルの崖、突如として急変する天候。加えて、中は広大で両国政府の監視の目は届かない。人身売買や麻薬取引に携わる犯罪組織が跋扈(ばっこ)し、殺害や誘拐、強盗リスクが高い。

 「死のジャングル」とも呼ばれるダリエン地峡。好んで中を歩く人はいない。だが23年当時、そんな地峡を1日2千人ほどが通過していた。現場で話を聞いた100人超のうち、7割ほどが、国を脱出して米国を目指す途中のベネズエラ人だった。

 あるベネズエラ人男性の言葉が、今も耳に残る。

 「愛する国を捨てるつらさは…

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この記事を書いた人
軽部理人
国際報道部記者|内勤・業務担当
専門・関心分野
中南米の全分野、米国政治や外交、社会
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    村山祐介
    (ジャーナリスト)
    2026年1月7日17時23分 投稿
    【解説】

    ベネズエラ人が「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡に殺到し始めた背景には、コロナ禍とビザ制限という二つの要因がありました。国外に逃れたベネズエラ人の多くは当初、周辺国にとどまっていましたが、パンデミックによる経済悪化で滞在先での生活が行

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