2026-01-07

映画アルファ 帰還りし者たちを見た

いろいろ頑張って旧石器時代を撮っているはずなのに結論が妙に鼻につく。59点。

 

紀元前2万年くらいのヨーロッパ部族の長の息子である無能なケダは狩りの途中でバイソンに谷から放り投げられ高台に落下。死んだものとされてしまう。どっこい生きていたケダはいろいろあって脱出、途中で襲い掛かってきた狼といろいろあって仲間になり帰宅する。

 

いつも通りあんま深くあらすじとか見ずに見始めたら期せずして昨日のトーゴーと2夜連続人と狼犬の絆物語だった。

タイトルにもう書いてあるからいきなり特大ネタバレするけど、この話って旧石器時代に"狼"が"犬"になる犬誕生初夜物語なのね。だからアルファ」。最初の犬。なのでこの作品旧石器時代である必要がある。

で、だ。旧石器時代に詳しくない俺としてはこの作品リアリティの置き所に困るわけですよ。主人公部族ってみんなしっかりと毛皮製の服を着てるし、牙や骨で作られた装飾もじゃらじゃらしてるし、たぶん動物の胃袋製かなんかの水筒とかまで持ってるし。紀元前2万年ってこんな感じ?メルギブのアポカリプト原住民よりだいぶ近代っぽい感じするけど……などと考えてしまう。主人公は落下の際に足を骨折するんだけど即座に添え木当てて固定するし。

これあってんのかなぁ、どうなのかなぁと思いつつも、この作品旧石器時代英語話すのおかしくね?ということで常時架空言語を話し続けるという徹底っぷりなのでたぶん時代考証結構してるんだろうと思う。

ほならなんで最後最後ドヤ顔で「お前の名前は"alpha"だ」とか言い出したんですかね!っていうのが俺の中での一番のモヤモヤポイント紀元前2万年前にギリシア文字を生み出した種族の話だった?もしかして

 

と嫌味を言いつつ。

内容としては割と真っ当な成長ストーリーで、最初イノシシの止めもさせなければ火をおこすこともできない無能オブ無能主人公だけど、族長という親の大いなる庇護から文字通り荒野に放り出されて(自分が傷つけた)狼という自分庇護すべき対象を得ることで生きる覚悟を決めるというプロット自体一定の強度がある。

彼は自身の飢えと傷つき獲物が取れない狼のために初めての狩り=殺しを経験し、ともに寒さをしのぐために火おこしを頑張る。直接的すぎるきらいはありつつも誰かのためなら頑張れる主人公という像をちゃんと描けていてよかった。直接的すぎるで言えばサバイバル生活を続ける中でこいつ女みたいな顔してるなって主人公ちょっとずつひげ生えてきて逞しくなっていくのもちょっとわかりやすすぎて草。

また共同生活を行うも本能で動こうとする狼に対して「待て」を教えたりと躾けver0.1みたいなことを始める展開もまぁ悪くない。狼が可愛いしね。ただこの野生動物と絆を深めていく展開に関しては実写版ヒックとドラゴンちょっと良すぎてなぁ。それに比べるともう一歩というところ。

その後のイチャイチャパートは犬好きにはもうたまらんでしょうな。犬(狼)映画なのでそこをちゃんと魅力的に撮ろうという心意気は高く評価できるし実際によく撮れてると思う。

 

ただ、成長要素以外のストーリーはやや弱い。

高台に取り残された主人公は結局、大雨が降って谷底が増水したこと脱出成功するんだけど、なんかすぐに水が引いてその後、割と即座に谷の上に帰ってくる。そこで自分の墓があるのを見て、オワタ……ってなるんだけど、でもぶっちゃけ「元居た場所」に戻れてるなら来た道を変えればよくね?実際にはそこから数か月に及ぶ大サバイバルになるんだけど、来るときはそこまででもなかったよね?ってなっちゃった

普通に増水でめちゃくちゃ流されちゃって自分がどこにいるかもわからない。でも手に彫った星座を頼りに方角だけはわかるから来た道とは全然違うルートサバイバルする必要があるのほうが納得力高い気がするんだけど。

後割と大見せ場で狼と犬だからこその連携少ないなみたいな。

途中で氷が張った河を走ってたら氷が割れて氷上に狼、水中に主人公が生き別れになるシーンがあってその横断面で上下を同時に描く画面がめっちゃカッコイイのはよかったんだけど、結局主人公が頑張ってナイフで氷割って脱出するって言う、そこはなんか思いつかんけど狼との連係プレイなかったん?って思っちゃった。

あと終盤、洞窟PUMAに襲われるシーンで狼が体格的にも格上のPUMAに果敢に立ち向かい主人公が弓矢で援護しようとするんだけど動き回る2匹に狙いが定まらない。目を閉じて矢を放つと見事PUMAにだけ命中九死に一生を得たのでしたってなるんだけど、それはもう単なる南無三ギャンブルなんよ。

これが信頼感とかバディ感になるにはなんか事前に合図を決めてあったとか、"動かなければ"射手の能力であれば自分には当たらないはずだみたいな文脈があってのことでくんずほぐれつしてる中に目を閉じて撃つはもう「当たったらごめーん」なのよ。

 

まぁそんなこんなでいろいろと粗はありつつ骨子は定番の行きて帰りし成長譚と野生動物懐きものという一定の強度があるテンプレートなので安心して楽しめるし、狼は可愛いし、紀元前2万年ってこんな感じやったんやなぁっていう(映画描写が正しいとしてね)楽しみ方もできるし、そんな悪い作品でもなかった。

狼はかわいいので犬好きは普通に見ていいと思うし、他に見たい映画を圧してまで見る必要はないけど1時間半いい感じに時間潰したいなって時にはオススメ

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