雑草の言葉

古い靴の下取りサービス

2022/03/31
ゴミ・廃棄物 2
 家の近くにある靴量販チェーン店で、「靴の下取りキャンペーン」なるものをやっています。古くなった不要な靴を持っていくと、200円分の割引券を1枚くれるというものです。その靴は、他社の靴でも良いとの事です。
 はじめ、中々いいキャンペーンかと思いました。靴1足について、税込み商品価格 2,200円(税込)毎に割引券1枚利用できると言うもので、10%弱の割引という事になります。しかし、有効期限も長くなく、他の割引との併用も不可との事です。その靴量販店では、10%割引セールみたいな事を、しょっちゅうやっているので、靴下どりの割引券を使う場面がなかなかありません。逆に他の割引を利用せず、この割引券を使った方が高くなる場合もあります。最初に使い古しの靴を持って行って貰った200円割引券は、使わずに期限切れになってしまいました。(踊らされて、期限切れ前にわざわざ新しい靴を購入するよりはいいでしょう。)

使い込んだ冬靴
 ↑下取り割引券と使い込んだ冬靴。まだまだ使えるので下取りには出しません。

 ・・と、言うことで、その靴の下取りに「お買い得な割引」と言う意味はあまりありませんでした。「お得感」が無く、商売としては下手なのだと思いました。結局、下取りを出さない人にも沢山買わせたいから、下取り割引が無意味な割引になってしまったのでしょう。

 それは兎も角、下取りされた靴は何らかの役に立ち、環境負荷は減るのかな?と考えてみました。
 試しに底のラバーが剥がれてしまったスニーカーと、底が切れて水漏れがする長靴と、共に靴の機能も無くなってしまったようなボロボロの2足を持って行ったら、しっかり200円割引券を2枚くれました。
使い込んだ靴と使い込まない長靴
画像は、下取りに出したボロボロの靴ではありません。家にあった靴です。長靴はまだまだ十分に使えます。

 こんなボロボロな靴を下取りしてくれるのは嬉しいけれど、下取りした靴は、中古靴として修理して使うことも、分解して素材として使うこともないだろうと思いました。(「どんな靴でも200円」と言うことから、中古靴としての使用も、素材としての使用もないだろうなとは予測していましたが・・・)
 これは案の定、古い靴を回収して、新しい靴を買わせる為の戦略なのでしょう。
 その靴量販店グループのHPの、「不要な靴の下どりキャンペーン」のページを見てみたら、大きく「地球にやさしいこと」とあり、その後に
「下取りキャンペーンで回収した靴の一部をサーマルリサイクル(熱回収)しています。」
とありました。・・燃やしてその熱を利用すると言うだけの「リサイクル?」です。「靴の一部」と言うのも気になりました。さらに詳しく記されているページを見てみると、
「当社が行っているさまざまな社会貢献の一つ」
「環境問題に対する社会貢献活動の一環」
等と記されていました。そして
「現在、関東地区で回収した靴を高リサイクル率の焼却施設にて熱エネルギーに変換し、発電を行なっています。」とありました。
つまり、私の住む東北地方の地域では、サーマルリサイクルはしていなくて、下取りして、ただ廃棄されているだけと言う事でしょうか。単に、町のごみ収集に出すのと変わりありません。サーマルリサイクルの取り組みをしている地方自治体も結構あるんじゃ無いでしょうか?
 結局、「お得感」若しくは「環境対策に取り組んでいるアピール」を出して、古い靴を回収し、新品の靴を売りつける為の手段なのでしょう。
 そもそも「サーマルリサイクル」がどの程度の環境対策になっているかは怪しいものです。有害ガスは発生しないのでしょうか?サーマルリサイクルとして古い靴を出すよりも、新品を買わずに、数ヶ月でも数週間でも、靴を長く使った方が(「Ecology」と言う意味でも「Economy」と言う意味でも)「エコ」でしょう。このキャンペーンによって、まだ履ける靴を買い取ってもらって、新しい靴を買う人もいることでしょう。「エコ」と言う意味では逆効果です。でも、「靴を少しでも沢山売る」と言う戦略は達成するからいいのでしょう。
 さらにページのリンクを辿っていくと案の定「SDGs」のマークが出て来ました。これだけの事でも十分に「我が社はSDGsに参加して社会貢献しています。」アピールをするのです。
 靴に限らず、「モノ」はサーマルリサイクルするよりも、出来るだけ長く使う方が「Ecology」と言う意味でも「Economy」と言う意味でも「エコ」なのです。

 「エコキャップ運動」のような、下手なリサイクルで、資源やエネルギーを無駄にするくらいなら、サーマルリサイクルの方がいいのかも知れません。しかし、「環境問題に対する社会貢献活動の一環」と、宣伝するほどのことでも無いでしょう。大した効果的な環境対策とも思えません。なんだかこの靴量販店で靴を買う気が失せてきました。
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Comments 2

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guyver1092

現代社会

 現代社会は、拡大再生産が基本ですので、すべての政策等は経済成長につながるよう制度設計されているようですね。例えば100円ショップに関するブログをグーグルが拾ってニュースにしていましたが、あるもの一つを買うため100円ショップに行って家に帰ったところ、袋いっぱいの買い物をしていた上、当初の目的物は買っていなかったという出来事に対し、あるあるという反応がごまんと来たとか。
 本当に二酸化炭素が人類の未来を破滅に向かわせると主張するなら、経済マイナス成長するよう人類の制度を改定すべきですね。

2022/04/02 (Sat) 10:22
☘雑草Z☘

☘雑草Z☘

Re: 現代社会

この靴量販チェーン店の「靴の下取りキャンペーン」は、社会貢献や環境の事を考えての事と言うよりも、仰るように、会社の成長を目指しているだけですね。脱力です。

>100円ショップに行って家に帰ったところ、袋いっぱいの買い物をしていた上、当初の目的物は買っていなかったという出来事に対し、あるあるという反応がごまんと来た

私も何年か前はそうでしたね。流石に当初の目的物を先に探しますから、その売り場へ直行しますけれど・・。最近は、荷物が増えるのが嫌なので、衝動買いは滅多にしませんが。

>経済マイナス成長するよう人類の制度を改定すべき

全くその通りです。

2022/04/03 (Sun) 23:31
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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